スキー検定 1級とテクニカルプライズの違いについて 120
今回は少し長めの記事を書いていきます。
スキーバッジテストを受けている方から
必ずと言っていいほど受ける質問が
今回のタイトルである
『スキー検定1級とテクニカルプライズの違いは何ですか?』
ということ。
※テクニカル合格ポイントの動画はこちらから
もしあなたがスキーバッジテストを受けているとしたら
この質問にパッと答えられますか?
勿論テクニカルとその上のクラウンの違いは何ですか?
と聞かれることもかなり多いですがそれはまた今度の機会に。
ある意味スキー検定1級は上級者の証であり
ゲレンデで滑っていれば十分上手く見えます。
普通のスキーヤーからしたら
それ以上上のレベルを目指してどうするの?
と思われるかもしれませんが、
むしろ1級をとれるレベルまで熱心に練習したスキーヤーであるからこそ
その上が欲しくなる感覚はとてもよく分かります。
さてスキー検定1級とテクニカルプライズでは何が違うのか?
という事ですが、
評価の内容を見てみると
1.ターンの構成(ポジショニングとエッジング)
2.斜面状況への適応度(スピードとターン弧の調整)
3.運動の質的内容(バランス、リズム、タイミング)
となっています。
これ読んであなたはどう感じるでしょうか?
具体的に何をどうすればいいの?
と感じるのではないでしょうか?
実際細かい採点の中身は
事前講習などで直接聞き出すか
SAJのレッスンに入ってみる以外
なかなか情報がありません。
それでも1級とテクニカルで
この部分のレベルは上げておく必要があるという項目はいくつもあります。
今回はできるだけ分かりやすく
具体的に書いていきます。
①ターンの構成(ポジショニングとエッジング)
1級レベルのスキーヤーの多くは
ある程度自分の中の正解があり
その滑りをすでに出そうとします。
正しいポジションがここだ!
という自分の中で正解を見つけたら
常にどのような状況でも
そのポジションにいようとします。
エッジングも一緒です。
小回りはこれくらいのエッジング
という自分の中での正解を見つけたら
ひたすらその強さでエッジングをしてきてしまいます。
しかし実際の検定バーンは
斜度や傾斜がスタート付近とゴール付近では違う場合が多く、
雪質はその日や時期によってまるで異なります。
それなのに毎回全く同じ滑りをしてしまう
スキーヤーの方が非常に多いのです。
自分の滑りに雪上の条件があれば
合格点が出ることもあるでしょう。
でもテクニカルになると
雪上の条件に自分の滑りを合わせることがより求められます。
柔らかい雪なのに強めのエッジングをしている。
雪面に水が浮いてきて板が滑りづらいのに
ポジションを前側に持って行く意識で常に滑る。
このように条件に合っていない
滑りは厳しく評価されます。
因みに前はこの滑りでOKと言われたのに
今回の検定員はなんでダメだと言うんだ、おかしい!
と思った経験がもしあなたにあるなら、
それはその日の雪に合っていない滑りをしている可能性が高いです。
テクニカルを目指すのであれば
自分の中での正解の滑りをいくつも作りましょう!
②斜面状況への適応度(スピードとターン弧の調整)
まずは斜面状況に合わせたスピードです。
はっきり言ってテクニカルレベルになると
1級レベルよりもはるかに高速域での滑りが評価されます。
ではスピードが速ければ速いほどいいのでしょうか?
スピードを速くしようと思うとどうしても
『暴走』とみられるリスクが増えてきます。
あなたは『暴走』と『スピード感のある滑り』の違いが分かるでしょうか?
よく考えてみると不思議ではありませんか?
暴走していると評価されるスキーヤーより
スピードを出して滑っているにもかかわらず
暴走と評価されないスキーヤー。
この違いはそのスピードでも
板をきちんと操作できるのかという事を見られています。
暴走と評価されるスキーヤーは正直
ポジションも後ろだったり
腰が引けて板を操作できる状況にありません。
スピードがあってもポジションが良く
板が操作できるのであれば評価されます。
ですから1級の時以上にスピードを出した状態で
板を操作する練習が絶対に必要です。
もう一つはターン弧の調整です。
例えば急斜面で大回りをする時に
少ないターンで回ってくる方が正直簡単ですよね?
良いポジションにのってスピードがあっても
あまりターンをしないで降りてくると
ただ落ちてきているだけと評価されます。
ここで重要となってくるのが
『深回り』の技術です。
深回りとはターンを深くすることで
下までのターン数が増えて、
尚且つスピードコントロールが可能になります。
ただ急斜面で深回りをするためには
遠心力を上手く利用してより内側に傾くことや、
板に対して力を加えてたわませることが
求められます。
また深すぎると
エッジが強くなりすぎてしまい、
外脚が外れて内倒してしまうなど
リスクも伴ってきます。
さらにスピード感を求められているので、
斜度が緩くなってきているのに
同じようにずっと深いターン弧で滑ってくると
スピードがなくなり評価されません。
スピードが出る急斜面では
深回りでコントロールして
斜度が緩くなって来たら
縦長のターン弧でスピードをつなぐといった
正にターン弧の調整が求められるのです。
テクニカルからは
総合滑走の種目が加わり、
とくにこの種目は
スピードをつなげるターン弧の調整が非常に重要になってきます。
ゲレンデでも最後まで
スピードがつながるような滑りを意識してみてください。
③運動の質的内容(バランス、リズム、タイミング)
よくターンの質が違う、
運動の質が大事
といった具合に『質』というものが
検定のレベルが上がれば上がる程求められます。
あなたは質のいいターンと質の悪いターンの違いはなにか分かりますか?
何となくイメージはつくけど、
具体的に何がと言われたら分からないスキーヤーは
少なくないと思います。
それが分からないまま、検定員に
『もう少しターンの質を上げましょう』
と言われても分からないのも無理ありません。
まずはターンの質とは何なのかについて考えていきます。
先程かいた『運動の質的内容』では
バランス、リズム、タイミング、
とあります。
バランスはイメージしやすいかと思いますが、
雪質や斜度に合わせて自分の重心をきちんとコントロールできているか
評価されています。
このように書くと難しく感じるかもしれませんが
要は急斜面で落下についていけずに後傾になったり、
スピードが出ていないのに内傾角を作ろうとして
内倒してしまうなど、その状況に合っていない動きが出ればすぐわかります。
一級では多少許されていた誤差も、テクニカルでは厳しくチェックされます。
斜面状況は同じバーンでも様々に変化する為
同じ感覚でずっと滑るのではなく
常に変化に対応しなければなりません。
次にリズムですが
小回りはこれぐらいのリズム、
大回りはこれぐらいのリズムでと
これといった規定がないため、
よく検定ではどれぐらいのリズムで来た方がいいのか
受験生を悩ませます。
ただリズムに関して言えばある程度許容範囲が広いという点と
検定バーンの幅によって変わってくるので
余程外さない限りは、事前講習で確認すれば十分だと思います。
それよりも重要なのが
斜度が変化していっても同じリズムで滑ってこられるかの方が重要です。
よくありがちなのが
急斜面の時はリズムが大きくなってしまい、
斜度が緩くなってくると細かくなるといったパターンです。
このように斜面の上と下でリズムが違うと
自分でコントロールできていないという判断をされます。
つまり一つのバーンに対して、テクニカル以上は
最低でも二つ以上の滑り方を求められるケースが多くあります。
最後にタイミングです。
これはリズムにも近いですが、
板に対してどのタイミングで一番力を加えるのか?
どのタイミングで切り替えるのか?
どのタイミングでターンを開始するのか?
などその時その時の斜面に合わせたタイミングが求められます。
一つ一つの動きの質が高くても
タイミングがあっていなければ
質のいいターンは生まれません。
とくにこの滑りが正解と決めつけているスキーヤーは
雪質や急に検定バーンの変更があると
すぐ滑りに影響が出てしまうので気をつけましょう。
ターンの質を上げるためには
まずは沢山の滑りの引き出しを作ってあげること!
その引き出しの差が
一級とテクニカルプライズとの差とも言えるでしょう。