一般スキーヤーが知らないトップスキーヤーだけが出来る秘密の荷重 #399
今回の記事はスキーの基本3要素(荷重・角付け・回旋)の一つである
荷重について深堀していきます!
荷重とは簡単に言ってしまえば板に重さを乗せる事ですが、
よく荷重動作で質問をいただくのが
「脚を伸ばすのか?曲げるのか?」
といった内容です。
確かに荷重動作はスキーにおいて非常に重要な部分ですが、
一般的なスキーヤーの方はどうしても質問にも出てくる
“ある領域”から抜け出せずにいます。
そのある領域とは何か?
それは
…
…
…
内力の荷重の領域
です!
今回は一般スキーヤーの多くが知らない
トップスキーヤーは行っている荷重の秘密を深堀していきます!
目次
スキー界で認知されていない2つの荷重
荷重に対する質問の多くは
「私はどのような動作をすればいいのでしょうか?」
といった背景があるかと思います。
つまり『荷重= 何か自分がするべき動作』という
固定観念があるということです。
自分が何かして行う荷重を
SKIER`sLABでは『内力荷重』と位置づけています。
ではその一方で、自分で何かする様な
内力ではない荷重とは何か?
それは
…
…
外力荷重
です!
この内力荷重と外力荷重という
スキー界ではあまり聞きなれない荷重の整理こそ、
トップスキーヤー達のような板にしっかり力が伝わる
重い荷重が出来る為の第一歩となります!
しかし内力荷重と外力荷重は
SKIER`sLABで使っている用語であり
スキー界ではあまり聞き馴染みのないワードです。
ですからこのように言われても
いまいちピンとこないケースが多いかと思います。
そこで内力荷重と外力荷重がわかりやすい
荷重と加重が分かりやすい一例を
紹介したいと思います!
トップスキーヤー達が使う荷重に対する不思議なワード
それがこちらの2つの記事です!
1つ目は 須川直樹選手、2つ目は高瀬伸一選手が
以前のスキーグラフィックで解説している記事です。
どちらもトップスキーヤーである2人の記事ですが
この2つに共通する部分は何でしょうか?
見出しを読んでいただけければ分かると思いますが
ぶつける
という表現です!
曲げでも伸ばしでもなくこのぶつけるという表現が
実は荷重動作において非常に重要になってきます!
あなたは身体をぶつけるというワードを聞いて
どのような動作を思い浮かぶでしょうか?
その場で足を伸ばしたり曲げたり
上体を左右に振ったりといった
部分的な動作をイメージするでしょうか?
多分しないですよね!
きっと多くの場合が体当たりのような
身体全体で激突していくイメージかと思います!
ラグビーのタックルだったり
相撲の立会い
といった感じが分かりやすいかと思います。
(ぶつかり稽古と言うぐらいですから)
よくトップ選手は滑りの感覚の中で
このぶつけるというワードを使っているのですが
一般スキーヤーの方で荷重動作で悩んでいる人から
「どうやって身体をぶつけていけばいいですか?」
といった内容はあまり聞きません。
なぜなら先ほどお伝えした様に
荷重とは脚部の曲げ伸ばしや、上半身を寄せたりといった
部分的な動作で荷重を考えているケースがほとんどだからです!
因みにあなたは普段スキーをしていて
スキー板に体をぶつける感覚があるでしょうか?
「バッチリあります♪」
という場合は今回のテーマである
内力荷重と外力荷重の使い分けが
きちんと出来ている可能性が高いです!
その一方で
「ぶつけるってどういうこと?」
という場合は、荷重動作そのものの本質を
見失っている可能性が高いので
ぜひ今回の記事で整理してくださいね!
スキー板に力をぶつける荷重とはどのような事か?
この外足のスキー板に身体をぶつけて行くには
どのようにすればいいのでしょうか?
結論を言ってしまえば
何もしないです!
ラクそうでとても良い響きですね(笑)
何もしないと聞いて驚いたでしょうか?
または「何もしないわけないでしょ!!」
と思われたかもしれません。
しかしトップ選手達の中でも
「何もしないでただ乗ってくればいいだけだよ♪」
といった感じの表現を聞いたことがありませんか?(笑)
何もしないというワードに、いまいち納得ができない場合は
ここでいくつか例を挙げるので考えて見てください!
先ほど例で出した
「ラグビーで 相手に体をぶつけていってください」
「相撲で相手に体をぶつけていってください」
と言われたらどのような動作をする
イメージが浮かぶでしょうか?
多分
・相手に向かって走っていく
・身体全体の体重を預けていく
と言った動作をイメージするかと思います!
ではその一方で、
「自転車で坂道を走っていって
目の前の壁に激突してください!」
と言われたらどのような動作をするでしょうか?
お分かりの通り何もしないですよね(笑)
では前半に質問した内容と後半に質問した内容の
違いは何か分かるでしょうか?
正解は
体をぶつけるエネルギーを
自分で生み出さなければいけないのか?
外力が生み出してくれているのか?
ですね!
ラグビーや相撲の様に自分で生み出さなきゃいけない場合は
走る、地面を蹴る、などといった動作が必要ですが、
後半の外力が移動する力を生み出している場合は
何にもする必要性はないはずです。
壁にボールを投げた時に
私たちは投げるという動作をしなければいけないですか、
ボール自体は何もしなくても壁にはぶつかるはずです!
この投げるという人間が外力で
ボールが自分だと思えばわかりやすいかと思います。
(逆にわかりづらいですかね(笑))
ですからさきほどお伝えしたように
何もしないっていうのが正解なわけです!
「でも何もしなかったら
そのままコース脇に突っ込んでしまいますよ!」
と思ったかもしれません。
確かにその通りで何もしなければ
コース脇に突っ込んでしまいますね(汗)
まさにこの問題こそ、体をぶつけるという感覚の荷重が出来ずに
伸ばし荷重、曲げ荷重といった動作のイメージになってしまう根本な原因です!
何もしなければコースの脇に落ちてしまうし、
何かをすればぶつけられない…
この八方ふさがりの状態を
どう解決していけば良いのでしょうか?
スキー板に力をぶつける荷重をする為に必要なもう一つの基本要素
以前メルマガで同じ内容を配信した時に
読者の方から同じ内容の記事を紹介してもらいました!
それがスキーグラフィック2022年3月号にある
大場朱莉選手の特集です!
動画の説明にも
「スキーを走らせるために
彼女が常に意識しているのは、
ターンの外側に壁をイメージして、
外の壁にスキーをぶつけるように、
常に外方向へ働きかける動きだ。」
とあります!
また動画内で「自分がボールになって」と大場選手が言うように
まさに先ほど説明したイメージと同じですね!
(パクリではないですよ(笑))
大場選手が特別な事を言っているわけではなく
このぶつける感覚を知っている人は
似たような表現をするという事です!
しかし自分がボールになって
何もしないままぶつかっていく事をイメージすると
「何もしなかったらコースの脇に落ちていってしまう」
と感じるスキーヤーがほとんどです。
実はこのように感じるスキーヤーの方には
ある共通点があります!
それが
突っ込んでいく方向に
ぶつかるものが何もない!
という事です!
何度も出てきているボールの壁当てですが
当然壁が無ければボールはそのまま遠くに行ってしまいますよね(笑)
ではスキーにおいてぶつかる事の出来る
壁とはなにか?それは当然ですが
スキー板
です!
つまりここで重要なのが、
ぶつかるという感覚を手に入れるためには
ぶつかるという動作を最初に練習するのではない
という事です!
まずは
ぶつかることができる壁を作ること
最初に取り組むべき練習ですね!
これをスキー用語に直すなら
荷重(ぶつかる事)の練習をする前に、
角付け(ぶつかる事の出来る壁をつくる)の
練習をしましょう!
といった感じです!
しかし先ほどご紹介した動画もそうですが、
外側の壁をつくる事と、外側の壁にぶつかる事は
セットで表現されるので
荷重と角付けを混同してしまうスキーヤーが大勢います。
あなたは外側の壁をつくる練習をする段階ですか?
それとも外側の壁はあるから
そこにぶつかる練習をする段階ですか?
この順序が狂うとスキー上達の道は
かなり難しくなってしまいます。
内力荷重と外力荷重で変わる動作感覚
ここまでを通して、
自ら内力で板に力を伝える内力荷重と、
何もしなくても物体としての自分の重さをぶつける外力荷重の違いや、
ぶつける為にはまずはぶつける壁をつくる
角付け動作を練習することが必要だという事が
整理できたでしょうか?
そして、この外側の壁にぶつける、
もしくはぶつかるという感覚がある人とない人とでは
そもそも根本的な動作の感覚が変わってきてしまいます。
そもそもトップ選手達がよく使う
脚部を曲げて荷重、脚部を伸ばして荷重といったワードは、
ぶつかるという前提条件を
満たしたうえでの話
です!
分かりやすく言えば、ボールで壁当てをする際に
ぶつかるボールは柔らかい方が良い?(曲げ)
それとも硬い方が良い?(伸ばし)
といったイメージです。
その一方で、そもそもボールがぶつかる壁がない、
そのボールを壁に上手く投げられないという人が、
ぶつかる時のボールの硬さを気にしても仕方ないのが
分かるでしょうか?
そして残念なことに、上記の状態には
さらに厄介なことがあります。
もし、ぶつかる壁もなく、
ボールを壁に上手く投げられない人が
曲げ荷重や伸ばし荷重を意識したらどうなるでしょうか?
曲げ荷重は荷重にならず吸収動作になり
さらにボールを投げられなくなり、
(強くぶつからない)
伸ばし荷重はぶつかるべき壁を壊してしまいます。
(シェーレンなど板がズレる)
こんな感じでただ出来ないだけじゃなくて
余計に上達を阻むデメリットになる
可能性が高いという事です。
逆にぶつかる壁があって、
そこにボールになってぶつかる事が出来る人は
別に曲げ荷重だろうが伸ばし荷重だろうが
それらの利点をうまく使って滑れます!
この感覚は実をいうと
あなたも日常で出来ているシーンがあります!
それが
階段を降りるシーン
です!
階段を降りる時は当たり前ですが
着地できる次の段がありますよね?
これがぶつかる壁です!
そしてそこに落下していくのが
ボールとしてぶつかる動作です!
スキーと方向が違うだけで
同じ現象が起きていますよね?
ではあなたは階段を降りようと次の段に着地する時に、
足を曲げよう、伸ばそう、と考えていますか?
多分何も考えてないですよね!
この様に言うと
「階段とスキーを一緒にするな!」
といった意見も出てきそうですが、
ではジュニアスキーヤーの子達は
曲げ荷重だ伸ばし荷重だ考えて板に乗っているでしょうか?
因みに私の息子2人にスキーしている時に
足を曲げてる?伸ばしてる?と同じ質問をしたのですが
両者揃って
「えっ?分かんない!」
と返ってきました!そりゃそうですよね(笑)
それでもさすがカービング世代いった感じでギュンギュン板を
きってターンをしていきます。(若干悔しいですが…)
こんな感じで曲げ動作、伸ばし動作、どちらでもいいから
まずはその前の土台である
外側の壁があって
そこにぶつかって荷重する
という領域に達しているかどうかを
まずは確認してくださいね!
そこの領域にくると、脚部を曲げるのかな、伸ばすのかな?
という疑問はかなり減ってくると思います。
なぜなら描きたいターン弧や斜面状況、
アルペンならセットなどによって使い分けるものであって
どちらが正しいという事ではないというのが分かってきますので!










