全日本スキー技術選のトップ選手達は、本当にターン前半は長い軸か?アルペンスキーとの比較は? 357

 

誤解されている技術選トップ選手達の滑り

 

前回の記事で

日本スキー界において

意見が分かれる

ターン前半の長い軸と外向傾について

お伝えしました。

 

 

まずはこちらの記事を読んでからの方が

今回の記事の本質が分かるので

まだあなたがご覧になってない場合は

まずはこちらからどうぞ!

 

 

スキー上達の分岐点!スキー界が持つターン前半問題とは? 356

  目次1 スキー界で意見が分かれる2つのターン前半2 ターン後半はどちらも同じ?3 なぜターン前半の外向傾は悪なのか?4 なぜターン前半の長い軸のデメリットは注目…

 

 

さて前回の記事の最後に

 

 

 

ターン前半の長い軸の

デメリットやエラーに

注目されない理由は

技術選の滑りの影響では?

 

 

といった声をご紹介しました。

 

 

 

 

確かにその通りの

部分もあるかと思います。

 

 

 

ただ今回確認して欲しいのは

まさに今お伝えした

 

 

技術選のトップ選手=長い軸なのか?

 

 

 

という所です。

 

 

 

例えばスキーグラフィックの
2020年5月号で
技術選に出場予定だった
選手達の大回りの連続写真が
掲載されています。

 

 

その中で注目して欲しいのが
3年連続女子チャンピオンとなっている
栗山未来選手の滑りです。

 

 

3連覇しているという事は
基礎スキー界においても
そうとう認められている
という事ですよね?

 

 

では栗山未来選手の
滑りをご覧ください。

 

 

引用:スキーグラフィック 2020年5月号

 

 

いかがでしょうか?

 

カッコイイですよね!

でも「あれ?」と
感じた部分はありませんでしたか?

 

 

もう1度ターン前半部分となる
8,9番辺りを見てください。

 

 

 

この滑りは下記の長い軸と外向傾

どちらに近いでしょうか?

 

 

 

きっと長い軸をとって
入ってくるというよりは
かなり強めにターン前半から
外向傾をとっていますよね?

 

 

「この写真のシーンが
 たまたまなのでは?」

 

 

 

と思うかもしれませんが、
栗山未来選手は前々から、
股関節をターン前半から
結構強めに入れてくるタイプの
滑りをする選手です。

 

 

つまり何が言いたいかというと

 

 

ターン前半から
股関節をしっかり入れて
外向傾をとってきても
技術選では評価される

 

 

という事です。

 

 

本当にターン前半は
長い軸でなければいけないのであれば
この滑りが評価されるのは
おかしいですよね?

 

 

 

実際にメールマガジンで

こちらの記事を紹介した時に

 

 

 

「こうやって連続写真で見ると
 かなり前半から
 股関節を入れて
 外向傾になっていて
 驚きました。」

 

 

「たしかにこれは腰外れでも
 違和感があまりなく
 一般スキーヤーが行うと
 腰外れに見えるという事は
 フォーム以外の事も
 関係しているんだと
 気付きました!」

 

 

といった感じの

感想をいただきました!

 

 

新たな気づきがあったようで
嬉しいです!

 

 

 

感想にもあるように、
静止画だけみると、
ターン前半の長い軸というよりは
外向傾のイメージですし、
腰外れかと聞かれれば
そうだと思います。

 

 

しかし実際の滑りをみると
そういった事が
気にならないくらい
素晴らしい滑りをしていますよね!

 

 

 

実は以前から
栗山未来選手が
連続で優勝をするように
なったのをきっかけに
今回テーマにしている

 

 

『ターン前半からの外向傾の
認識も変わるのではないか?』

 

 

と密かに思っていました。

 

 

 

しかしお察しの通り、
実際の現場では

いまだターン前半は

長い軸でなければダメ
という考え方は根強いです。

 

 

なぜ技術選では
ある程度認められているのに
一般的な解釈としては
NGなのでしょうか?

 

 

 

技術選のトップ選手は長い軸も外向傾も両方いる?

 

もしかしたら

 

 

「たまたま栗山未来選手だけ
 特徴的なのでは?」

 

 

「他の選手は長い軸で滑っていますよね?」

 

と思われたかもしれません。

 

 

 

もちろん長い軸で滑る選手が多いですが
栗山選手の様に
ターン前半に外向傾を
とってくる選手もいます。

 

 

分かりやすい代表例を
またスキーグラフィック2020年5月号から
抜粋しましたので
参考にしてみて下さい。

 

 

長い軸か、外向傾(くの字)か
いまいち分からないという方の為に
外脚、外腰、外肩を
赤い点線で結んでおきました。

 

 

これで判断しやすいと思います。

 

 

 

引用:スキーグラフィック2020年5月号

 

 

いかがだったでしょうか?

 

 

 

上から

 

①栗山 未来 選手
②佐藤 栄一 選手
③大場 優希 選手
④丸山 貴雄 選手

 

です。

 

 

 

 

いずれも技術選トップ選手達ですが

 

 

①外向傾
②長い軸
③外向傾
④長い軸

 

 

と並んでいるのが
分かるでしょうか?

 

 

前回の記事で

ターン前半に
外向傾をとってくるのは
何故いけないのか?

 

 

といった問いかけをしましたよね?

 

 

その時に出てきたのが

 

 

 

・腰外れになると
 お尻が落ちて後傾になる

 

 

・腰が内側に入り内倒になり
 外脚に乗れない

 

 

・X脚になる

 

 

・腰が外れてシェーレンになっていると
 言われます。

 

 

・板の真上に腰が無いから
 しっかりと板に乗れない

 

 

・外脚に強く乗りすぎてしまって
 内脚を使えず、両足バランスよく
 荷重できない

 

 

 

といったものでした。

 

 

さて上記の

ターン前半から外向傾をとると
起こるデメリットや
指導で言われてきた内容が
今回紹介したトップ選手達にも
当てはまるか考えてみて下さい。

 

 

 

当たり前ですが、
内倒、後傾、シェーレン、X脚もないですし、
板をたわませられない、
走りが出ないという事もありません

 

 

 

また長い軸でないと

基礎スキーでは
評価されないといった認識もありますが、
基礎スキーの最高峰である
技術選でしっかり評価されています

 

 

因みにこの画像を見ると
男子選手は長い軸で
女子選手は外向傾に
なりやすいのでは?

 

 

と思ったかもしれませんが、
ある意味正解で、
それにもきちんと理由があります。

 

 

この理由も知ると
とっても面白いんですが、
今回は

 

 

『ターン前半の外向傾は悪いと
されている理由は基礎スキーの影響か?

 

 

 

でも基礎スキーの最高峰である
技術選トップ選手だと
ターン前半の外向傾をとっても
評価されている』

 

 

といった部分がテーマなので
またの機会とさせていただきます。

 

 

 

さて今回ご紹介した内容からも
分かるように、
技術選の影響がないとも言えませんが、
技術選自体はターン前半の外向傾を
絶対NGとしているわけではない
というのがお分かりいただけたでしょうか?

 

 

ではこれまで

全日本技術選手権という

基礎スキーをメインにお伝えしてきましたが

アルペンスキーはどうでしょうか?

 

 

アルペンスキーはターン前半外向傾か?

 

 

長い軸は基礎スキーの影響が強いと
言われる一方で
ターン前半の外向傾が強いと
『アルペンっぽい』という
ワードもちらほら出てきます。

 

ではターン前半から外向傾をとる滑りは
アルペンスキーっぽいと
言われるところを見ていきましょう!

 

 

ちょっと基礎スキーの話題が続いたので
もしあなたが
アルペンスキーヤーでしたら
お待たせしました!(笑)

 

 

因みに一般的にターン前半から
外向傾を強くとるシルエットは
アルペンスキーっぽいと
言われている点に関しては
知っているでしょうか?

 

 

海外スキーのシルエットが
日本よりも外向傾が強く見えるのも
アルペンスキーを
基本としているからでは?
という点からも

 

 

アルペンスキー
=ターン前半から外向傾強い

というのは、
あながち間違いでは
ないように思えます。

 

 

ではあなたは
『アルペンっぽいすべり』
と聞いてどのような滑りを
想像しますか?

 

 

例えばこの動画様な滑りは
アルペンっぽい滑りに
見えるのではないでしょうか?

 

 

 

引用:Peter Szollosチャンネル

 

まぁアルペンっぽいというか
がっつりアルペンスキーヤー
なんですが(笑)

 

この動画のように
ターン前半からしっかり
外向傾をとってくる滑りは
レーサーの特徴のように
感じている方が多いと思います。

 

 

実際日本のスキースクールなどで
この動画の様な滑りや
練習をしているケースは
少ないですよね。

 

 

フルカービングはともかく
ズラシて滑るという基本練習でも
この動画0:15辺りから
行っているような

 

 

 

【ターン前半から外向傾ベースの
 ズラシ練習】

 

 

よりも

 

 

【体軸はまっすぐで
 身体は正対でのズラシ】

 

 

というのが指導の基本のように感じます

 

(もちろんそうじゃない
 スキースクールもあるかと思いますが)

 

 

 

 

ここまでの話や動画では

 

 

ターン前半からの外向傾は
・アルペンスキーヤーの特徴
・アルペンっぽい滑り
・レーサー滑り

 

といったイメージは
あながち間違っていないように思えます。

 

 

しかし本当にそうでしょうか?

 

 

 

アルペンスキーもターン前半の長い軸がある

 

それでは深い傾きでおなじみ?の
アメリカ代表テッドリゲティ選手の
フリースキーの動画を見てみましょう!

 

引用:U.S. Ski & Snowboard Sport Educationチャンネル

 

 

今回のテーマとはズレますが
アルペンスキーのジュニア選手や
もしくはその保護者の方は
ぜひこの中で語られている内容にも
注目して欲しいところです。

 

 

英語が分からなくても
YouTubeの機能にある
自動翻訳である程度
日本語字幕になりますので!
(右下に字幕のボタンがあります)

 

 

もう1つ、2018/19シーズン
女子ワールドカップ総合3位になった
ウェンディ・ホルデナー選手が
日本に来た時の動画が
スキーグラフィック2019 8月号で
紹介されているのでこちらもどうぞ

 

引用:スキーグラフィックチャンネル

 

さていかがだったでしょうか?

ターン前半からの
外向傾は強いかと言われたら

そんな事はないですよね?

 

 

長い軸で滑っている様に

見えるかと思います。

 

 

この様に

 

 

アルペンスキーでも

ターン前半に

長い軸の滑りもあれば

外向傾をとってくる滑りもある

 

 

という事です。

 

 

さて今回の記事で

技術選、アルペンスキーに限らず

ターン前半長い軸で滑る選手もいれば

前半から外向傾で滑る選手もいる事が

おわかりいただけたでしょうか?

 

 

 

このことから

一つの真実が浮かび上がってきます。

 

 

 

それは

 

 

 

トップ選手は

長い軸でも外向傾でも

関係なく滑れる!

 

 

 

という事です!

 

 

その一方で一般スキーヤーや

その指導現場では

長い軸はOK外向傾はダメといった

本質から離れた部分を

指摘しているという事です。

 

 

なぜこのような事が

起こっているのか?

 

 

次回いよいよ真相に迫ります!