後傾スキーヤーが混乱している【外足を前に出す事】と【アンクルポジション】の関係性とは?364
あなたはスキー技術論で
【外脚を前に出していく】
というワードを
聞いたことがありますか?
雑誌などでも
サッカーのボレーキックをするように
ターン後半外脚を
前に出していくと言った
意識が紹介されています。
ではその一方で
【アンクルポジション】
というワードを
聞いたことがあるでしょうか?
こちらの方はもしかしたら
馴染みのないワードかもしれません。
アンクルポジションは
トップデモの丸山貴雄選手が
最近よく使う事で
特に基礎スキーの方たちは
耳にする機会が
増えてきました。
今回の記事は
スキー界で一般的に
よく言われている
【外足を前に出す】
と
【アンクルポジション】
の関係性について
解説をしていきます!
目次
ターン後半に重要な足首の使い方!アンクルポジションとは何か?
まずはアンクルポジションという
ワードを知らない場合の為に
簡単に解説をしていきます!
アンクルポジションとは
そのまま直訳すると
『足首の位置』ですが、
簡単にいうと
足首がブーツの前傾角に
入った状態です!
アルペンスキーでも
「スネが起きない様に
足首をしっかり入れる」
「足首の緊張感を抜くな‼」
なんて言い方をしますね!
特に
ターン後半から
次のターン前半にかけて
この『アンクルポジション』を
しっかりキープしましょう
といった内容が推奨されています。
ではなぜこのアンクルポジションが
推奨されているのか?
これはもう説明いらずかもしれませんが
アンクルポジションが取れないと
後傾ポジションに
なってしまうから!!
ですね!
足首が緩んでお尻が落ちるというエラーは
まさにターン後半にかけて
このアンクルポジションが
キープできていないというのが
大きな原因の一つです!
ターン後半のアンクルポジションは外足を出す?外足を引く?
さてここであなたに
よく考えて欲しい事があります!
この推奨されている
アンクルポジションの様に
足首は曲がっていて
スネが前に倒れている状態を作るには
・足を前に出す
OR
・足を後ろに引く
どちらの動作で出来るでしょうか?
実際その場で行ってみて下さい!
イマイチ今回の動作がピンとこない方は
YouTubeに動画でアップしていますので
是非参考にしてみて下さいね!
さてアンクルポジションは
足を前に出すのと引くのでは
どちらがとりやすいか
お分かりいただけたでしょうか?
当然ですが、後方に引いたほうが
足首の角度は狭くなるので
アンクルポジションが
キープしやすくなります。
これは動画の様に
陸上で行っても
分かる動作なので
ぜひあなたも実際ターン後半の形をとって
外足を出したり引いたりして
アンクルポジションを確認してみてください!
さてアンクルポジションは
足を引いた方が
キープしやすい事が分かったところで
新たな疑問が出てきたことに
気づいたでしょうか?
そうです!
冒頭でもお伝えした
外足を前に出す事との関係性
です!
ターン後半に外足を出したらアンクルポジションはどうなるのか?
スキー界で一般的に言われている
外足を前に出していく行為を行えば
当然ですが足首の角度は緩んでいきます。
つまり
『外足を前に出す事』と『アンクルポジション』は
相反する動きというわけです。
たまに
「アンクルポジションをキープしたまま
足を前に出すんですかね?」
といった質問もありますが、
動画でも解説している様に
そうするとトップが雪面から上がり、
テールは雪面にめり込むことになりますよね。
さてここまでを通して
「外脚を前に出して」
という動作は
言葉のまま行えば
アンクルポジションを緩める動作
という事がお分かりいただけたでしょうか?
もちろん
ターン後半はスネをおこして
ふくらはぎに寄りかかりたい
という人にとっては
合っています!
でもそれは,
むしろやりたくない
動作ですよね(苦笑)
スネをおこしてふくらはぎに
寄りかかると
後傾ポジションに
なってしまう訳なので。
それなのに一生懸命
外脚を前に出す意識で滑り
「後傾になってしまう・・・」
「足首が緩んでしまう・・・」
と悩んでいるのは
よくよく考えてみると
おかしくはないでしょうか?
このように、
一見常識とされている事でも、
よくよく考えてみると
根本的におかしいという内容は
スキー界には非常に多いです!
もちろん外脚を前に出すという意識が
悪いとは言いません!
そのイメージで上手くいく人にとっては
正解ですので。
ただいつも指導で言われている内容で
意識しているけど
エラーになってしまう場合は
今回お伝えした根本的問題の
可能性が高いです。
さてここで話を終わらせてしまうと、
「外脚を前に出す事と
アンクルポジションの
関係性の答えは
なんなんですかーー‼‼」
とモヤモヤしてしまいますよね。
もちろんその答えもこの後
きちんと解説しますので
ご安心ください!
まずはスキーのシェーレンと外足を前に出す関係性を整理しよう!
さてここから
アンクルポジションと
外脚を前に出すという
整合性がとれない技術論の答えを
解説していきます!
【外脚を前に出すと
アンクルポジションが崩れる】
この問題を解決するには
「そもそもなんで
外脚を前に出せという
指導が言われるのか?」
という部分を明確にする必要があります。
これは質問を
少し違った視点からみると
分かりやすいです。
当たり前の事をいいますが
外脚を前に出せ!
と言われるという事は
外脚が前に出てこないからですよね?
外脚が前に出ずに内脚が
先行していくと
どうなるか分かるでしょうか?
内脚だけはターンをどんどんしていき
外脚はどんどん遅れていく、
そうなると内脚と外脚で
板の方向が変わります。
これがいわゆる
シェーレンという状態です。
(逆ハの字)
このシェーレンを
直すために【外脚を前に出す】
といった指導が入ります!
そしてもう1つ、
トップ選手達の滑りは
外脚の板がターン後半から
次の前半にかけて
ピュンッと前に出てきますよね?
特にSLや急斜面小回りの滑りを見ると
分かりやすいです。
大きくこの2つの要因
・外脚が遅れてシェーレンになる
・トップ選手は外脚がピュンと前に動く
といった事から
「外脚を前に出せ」
といった指導が導き出されます。
他にも
「前後差をつけるな!」
「外脚出して内脚を引け!」
という指導も同じ事ですね!
一見、論理的にも間違いない為、
この指導を言われたスキーヤーも
何の疑いもなく
その通りに意識します。
その結果外脚がしっかり前に出て
シェーレンがばっちり解決
…
…
…
…
とはならないから
悩ましいんですよね。
なぜならこの論法は
スキー指導によくある
原因と結果が混同しているケースの
1つだからです。
でも外脚が遅れているから
外脚を前に出す
という当たり前の論法の
どこに問題があるのでしょうか?
それは
板が前に出る理由を
置き去りにしている!
という点です!
シェーレンの原因となる
外脚が遅れてくる原因を
置き去りにしているとも
言い変えられますね!
あなたは
『板が前に出る』という現象が
あらわれる為の要素は
なんだと思いますか?
因みに何度もお伝えしている
スキー界でよく言われる
「外脚が遅れているから前に出せ」
というのは、
意識して自分の筋力を使って
脚を前に出す事が
板が前に出てくる要素という事です。
もしかしたらそのような
指導をしている方の中には
「そういうつもりでは言ってない!」
というケースもあるかもしれません。
でも外脚を前に出せという指導が入り、
受講者側が自分の筋力で
足を前に出す動作(けり出す動作)を
した時点で相手にはそう伝わっている
という事です。
話を戻して、
板が前に出てくる要素って
本当に自らの筋力で
足を前に出す事でしょうか?
もちろんそういった要素が
ゼロではないかもしれませんが
メインではないですよね?
では板が動く要素とは
・・・
・・・
板が力を受ける事によって動く事
です!
まさにスキーの本質ですね!
【板に力が加わることによって板が動く】
とてもシンプルであり
当たり前の事なんですが、
意外とこの練習をしておらず
自ら頑張って動かす練習ばかりやっている
スキーヤーの方が多いです。
低速でのプルーク練習を見ていれば
よく分かります。
先ほど【板に力加わる事】
と一言で言いましたが、
これを因数分解すると
・角付け
・荷重
・回旋
の3要素が複雑に絡み合い、
そこに
・外力
・内力
も入ってきて
その要素をさらに分解して
身体の使い方などが
出てきます。
今回はそれ出していると
きりがないので割愛して
テーマとなっている
足首に注目をしていたいと思います。
(やっと足首出てきましたね!)
あっ、ちなみに
「私の中では板が動く事は
サッカーボールを蹴る様な
自らの筋力で脚を動かす行為です!」
という考えが
悪いわけではありませんからね!
ただ本当に言葉通りの
現象が毎ターン行われれば
相当疲れると思いますが(苦笑)
今回はとりあえず、
板が動く要素は
(外脚が前に出てくる要素)
自ら動かしているのか、
板に力が加わって
板自体が動くのかについて
整理しておいてください!
さて少し長くなってきたので
ここまでのながれを簡単におさらいすると
①『外足を前に出す』
『アンクルポジション』
は相反する動作である
↓
②この整合性が取れない
2つの動作を整理するには
まず『外足を前に出せ』と
言われる理由から見ていく必要がある
↓
③外足を前にだせと言われる
最大の理由はシェーレンを直す為!
でも外足が前に出てくるのは
板が力を受けるからであって
自ら出すのとはちょっと違うよね!
という所まできましたね!
なぜこのような
まわりくどい説明をしたかというと
③でお伝えした
『板が力を受ける』という事と
『アンクルポジション』に
深い関係があるからです!
その部分が見えてくると
今回のテーマである
2つの技術要素の
整合性が見えてきます!
アンクルポジションは後傾を直す為だけではない?スキー板のトップに荷重しよう!
さてこの記事の冒頭では
アンクルポジションは
『後継ポジションにならない為』
といった事をお伝えしていました。
もちろんそれも大正解なのですが
実はもう一つ大事な理由があります!
それは
アンクルポジションの状態は
言い換えると
『トップ側に力が加わっている状態』
だからです!
足首が曲がって
スネがブーツのタングを押せば
そのまま板のトップに
力が加わる事はイメージできますよね?
特に現在のスキー板は
カービングスキーのため
しゃもじの様な形をしており
板のトップ側が真ん中より
広くなっています。
そのトップ側に力が加わる事により
雪の抵抗を受けて
板が曲がりやすいです。
逆にトップが浮いて
テールに重さが乗ると
板の向きは変えられますが
板の移動はあまりおきません。
この板の向きが変わる事と
板が動く事も混同もよく混同されているので
整理が必要ですね。
そこを説明していると
話が長くなるので
よく分からない方は
こちらの動画が
参考にしてみてください。
話を足首に戻して
板のトップに重さが乗ると
板が抵抗を受けて
動くまではイメージできたでしょうか?
もちろん板の傾き(角付け)も必要ですから
トップに重さが加わっただけでは
板は曲がりませんので
ご注意くださいね!
つまりアンクルポジションをとって
板のトップに対して荷重をする事が
先ほどシェーレンの時に出てきた
板が動く要素に繋がってくるわけです!
・板が動く要素は板に力が加わる事
・アンクルポジションをとると
板のトップに力が加わり、
板が動きやすい
この2つをきちんとまとめると
今回の話のテーマとなっている
『スネが前に倒れるように
足首を曲げておく状態は
外脚を前に出すと出来ないのに
なぜ多くの指導で外脚を前に出せと
言われているのか?』
の答えが出てきます!
まとめ:外足を出す事とアンクルポジションを両立させるには?
まず一般的にスキー界で言われている
指導内容は
外脚が前に出てこず遅れているから
シェーレンになる、
トップ選手みたいに
ピュッと板が前に出て来ない
↓
だから外脚を前に出せという指導
という論法ですね。
しかしここまでの内容が分かると
この原因と結果の考え方が
少し違っている事が
見えてきます。
正しい考え方としては
外脚が前に出てこず遅れているから
シェーレンになる、
トップ選手みたいに
ピュッと前に出て来ない
↓
外脚が前に出ない原因は
正しく力が加わっていないから
↓
正しく力を加える為に
アンクルポジションを意識して
トップに重みが乗った状態で
角付けをしていく
↓
そのエネルギーを受けて
“結果的に”外脚が前に出てくる
といった流れです。
もちろんアンクルポジション以外にも
正しく板に力を伝える為に
必要な要素はいくつもありますが、
今回は足首にスポットを当てました!
こう考えれば
アンクルポジションで
(曲がった状態)と
外脚が前に出てくるという
関係性は
外脚前に出たら
アンクルポジションが
とれないのでは?
というものではなく
アンクルポジションが
とれるからその結果
板が力を受けて移動する
(外脚が前に出る)
という関係性にかわります。
つまり両者は
相反する要素ではなく
組み合わさったスキーの技術要素だと
いう事ですね!
⇩
しかし気を付けたいのは
一回きり成功しても
すぐ次のターンが来るため
外脚が動いた時には
既に次の外脚の
アンクルポジションはキープする
イメージが大事ですね!
しかし正直言って
そんな事意識するのは
かなり難しいです!
ですから、まずは
常にアンクルポジションの
意識を持ったまま滑っていて
あとは雪面とのやり取りで
足首の曲げ感が勝手に変わる
くらいでいいと思います!
選手達もよく
「スネをブーツのタングから離さない」
と言っていますよね!
もちろん足首を入れすぎない
と言っている人もいるので
ここら辺こそまさに
選手達のそれぞれの感覚ですね。
今回お伝えした
内容がしっかり整理出来れば
以前お伝えした
この動画で伝えたい
【シェーレンと前後差】
の関係性も分かっていただけると思います。
今度改めて『前後差』について
特集をしようかと思いますが、
一般的にスキー界でイメージされている
前後差の認識は間違っているケースが
かなり多いです。
前後差は間違いなく
つきますからね(笑)
ただ結果だけをみて指摘されてしまうと
今回の「外脚を出せ」の様に
逆にその意識がスキー上達を
阻んでしまうケースが多いので
気を付けて下さ!
まぁ「外脚を出してきて!」と
指導を受けて
「よし、逆にちょっと
外脚を引くくらいのイメージで
足首を曲げてスネの角度を倒し、
板のトップに重さが乗った状態を作り出し
そのまま外脚に荷重して
ターンをする事で
板が抵抗を受けて結果的に
外脚が前に出るようにするか!
という変換ができる
天才的な受講生でしたら
問題ありませんが(笑)
それではアンクルポジションと
外足を前に出す関係性を
しっかり理解して
スキー上達に繋げていって下さいね!