スキーのトレーニングメニューは戦略と戦術を使い分ける!【ジュニア編】233

前回のブログでは社会人の方向けに

スキーのトレーニングをする際に
戦略と戦術どのように使い分けていけば良いか
お伝えしました。

 

 

今回はジュニア編をお伝えします。

 

 

 

正直言って社会人の方より
ジュニア選手の方が
戦略と戦術の使い分けが非常に重要なんですが
とても難しいです。

 

きちんとできているジュニア選手は
ほとんど見たことがありませんし、
できていたとしても偶然の産物で、
再現性がありません。

 

 

 

トップ選手を次々と排出する国がある中で
なかなか日の目を見ない
日本スキー界の原因の一つは
ここにあるのではないでしょうか。

 

 

 

なぜジュニア選手の戦略と戦術の使い分けが
難しいのか?

 

 

 

今回は3つの理由をお伝えします。

 

 

 

 

※因みに戦略と戦術の違いについては
前回の記事をお読み下さい。

 

 

【スキーのトレーニングメニューは戦略と戦術を使い分ける!【社会人編】232】

 

 

 

一つお伝えし忘れていました。

 

 

このあとの3つの理由を読む前に
確認して欲しいことがあります。

 

 

この先はあくまでも

ジュニア選手の『将来的な成長』が目的

という前提で書いてあります。

 

 

・小学生でスキーはおしまい
・小さいころ結果が出ればいい

 

 

という事が目的ですと
また戦略と戦術はかわってきますので
この先は読まなくても大丈夫です。

 

 

 

理由① 大会が多すぎる

これは特にアルペンスキー界の方に
色濃く出ていますが

毎週のように大会に参加している

ジュニアスキーヤーを
多く見かけます。

 

 

 

基本的にジュニアにおける大会とは
練習の成果を試す場です。

 

 

 

しかしあまりにも大会が多いため
大会の調整を目的とした練習が繰り返され、
技術改善の為の練習が
不十分な選手が多いです。

 

 

例えばフリースキーとゲート練習(ポール)の
割合を考えてみて下さい。

 

 

 

あなたのお子さん、またはあなた自身は
どれぐらいでしょうか?

 

 

 

 

因みにアメリカのジュニア育成プログラムでは
6歳~10歳の段階で
フリースキー90% ポール練習10%
だそうです。

 

 

 

雪あり県のジュニアたちはまだいいですが、
雪がない週末スキーヤーのジュニア達は
一体いつ練習するのでしょうか?

 

 

 

この大会が多すぎるせいで
ジュニア育成の方向性が
大きく変わってきます。

 

 

それがこの後の理由②に大きく関わってきます。

 

 

 

理由② 目の前の成果が評価基準

理由①でお伝えした
大会が多すぎるせいで

出てくるの問題が
目の前の成果を追い求めてしまう
という事です。

 

 

 

当然大会が多くあれば
勝ちたいと思うのが選手です。

 

 

 

その為本来なら
ジュニア選手の大会参加の位置づけは、

 

 

『将来的にトップスキーヤーになる為に
 どうすればいいのか?』

 

 

という戦略の中で

 

 

それならこの大会に出て、
あとはこの練習をして、

 

といった戦術の一つに過ぎないのに
いつの間にか

 

 

その大会に勝つにはどうしよう?

 

 

 

という部分しか考えられなくなります。

 

 

 

そうなるとチーム全体の方向性も

 

基本的な練習を繰り返し
スキー自体が上手になろう

 

ではなく

 

実践的なポール練習を行って
目の前の成果につなげよう

 

となるわけです。

 

 

 

 

もちろん選手や保護者の方もそれを求めます。

 

 

あなたやあなたのお子さんが
週末練習に行って、

 

『今日は基本的な技術向上のため
 ポールは行いません』

 

と言われたらどう感じますか?

 

 

 

『おっ、将来的なことを考えて
 計画が練られているな!』

 

『そうだよね、この時期は
 このベースを作ることが第一優先だよね!』

 

 

と思えますか?

 

 

 

『せっかく練習に来たのに
 ポールやらないのか』

 

『来週大会だからポール入りたかったのに』

 

 

 

と感じませんか?

 

 

 

このように戦略と戦術が混乱して
日々目の前の結果に一喜一憂し、
小さなころは速かった(上手かった)のに
大人になってみれば他の選手と大差がない
というケースになりかねません。

 

 

 

 

理由③ 点の指導

理由②でお伝えした様に
目の前の成果が評価基準になってくると
当然指導者も目の前の結果を
重視した指導になります。

 

 

いわゆるその場だけの『点』の指導です。

 

 

もしあなたがジュニアスキーヤーか
その保護者の方でしたら、指導者の方から、

 

 

『今はまだこれができればいい』

 

といったような先を見据えた
言葉をどれだけかけてもらっているか
振り返ってみて下さい。

 

 

これは一般スキーヤーにも
いえることですね。

 

 

 

大半が

 

 

もっとここをこうして!

ここがこうなっている!

 

 

といった現状の問題を
指摘されるのではないでしょうか?

 

 

 

道具選びに関してもそうです。

 

『大会に勝つには』

 

という基準で道具を選んでいるため
どうしても硬すぎる、長すぎる
などのオーバースペックになりがちです。

 

 

これも全て目の前の大会に勝つという

『点』で物事を考えいるからです。

 

 

 

さいごに

 

今回お伝えした内容は

ジュニア選手が戦術と戦略を

使い分けられない理由の

ほんの一部分です。

 

本来は指導者側やスキー協会、
もしくはスキー業界全体が
きちんと戦略と戦術を考えた
育成プログラムを構築し
選手達に提供することが理想的です。

 

 

ただそれはあくまで理想で、
それを待っていたら
あなたやあなたのお子さんは
大人になってしまいます。

 

 

まずは自分たちが
戦略という『線』を基準にして
戦術という『点』を打っていくイメージを持ち
どのような練習を行い、
どのような大会に出るか?

 

 

 

という部分を考えることが重要です。

 

 

因みに戦略が上手くできずに
伸び悩んでいるにも関わらず
仕方がないことだと
納得させてしまう
恐ろしい言葉があります。

 

 

それが

 

『才能』『センス』

 

です。

 

 

 

そこに着地点を出してしまうと

成長はありませんので

気を付けて下さい。