スキー上達を妨げる【エラー動作の原因】を見つける為の4つの方法 297
スキー上達を目指すスキーヤーを
悩ますのが、
エラーを引き起こす【滑りの癖】
ですよね。
・シェーレン
・X脚シルエット
・後傾
・内倒
・ローテーション
・腰外れ
・外脚に乗れない…
などなど
スキーには多くのエラー動作があります。
あなたにも
「この滑りの癖なんとか直したい!」
というものがきっとあるはずです。
でも多くの場合、
意識してもなかなか直らないのが
エラー動作の厄介なところです。
エラー動作を直す為には
改善法よりも、
自分の立ち位置を明確にする
という事を前回の記事でも
お伝えしました。
自分の立ち位置とは
『自分がどういったエラーが出ているのか?』
だけではなく、
なぜその動作を行ってしまうのか?
といった原因まで分かって
初めて明確になります。
しかしそのエラー動作をしてしまう
【原因】を見つける事は
容易ではありません。
以前いただいた質問にも
「【どのような状態】は分かりますが
【その原因は何なのか?】
これが分からないから困ります
原因の見つけ方を
教えて頂ければ幸いです。」
といった内容のものがありました。
確かにそのエラー動作が
出てしまう原因によって
その後の行う方向性は
大きく変わります。
もちろん
人によって原因はバラバラであり、
その人のエラー動作の原因が
明確でない以上は
「●●を直すには○○ですよ!」
とは容易言えないのもこの為です。
しかしご質問にもあるように、
【その原因は何なのか?】
という部分は
簡単にわかるものではありません。
そこで今回は、
スキーで出る
エラー動作の原因を見つけるには
どうすればいいのか?
と言った部分を
お伝えしていきたいと思います。
エラー動作の原因を見つけるには?
エラー動作の原因を見つけるために
あなたがまずやることは
何でしょうか?
色々と思いつくかともいますが、
実際の行動よりも、
まず行っているのが
【仮説を立てる】
という行為です。
「きっと●●が原因なのでは?」
と無意識にでも考えて
次の行動に移りますよね?
つまりその仮説の質がそのまま
・原因を見つけられるか?
・改善策を見つけられるか?
に繋がってきます。
要は
仮説の質が
原因を見つかられるかどうか
左右している
という事です。
そしてなかなか上達せずに
悩んでいるスキーヤーの大半は
この仮説が間違っています!
では
仮説の質を上げるには
どうすればいいのでしょうか?
この仮説が間違って要るせいで
何シーズンも上手くならずに
悩むスキーヤーは非常に多いです。
一番よく立ててしまう仮説の一つが
【意識が足りない】
ですね。
これは仮説を立てるというよりは
無意識にそう思ってしまう事が大半です。
意識しても滑りが変わらないなら
もっと意識しなきゃと
思って滑りますよね。
それでも滑りが変わらず
ある時を境に
「根本的に違うのでは?」
と気づくわけです。
なるべくこうならない為にも
質のいい仮説を立てる力は
非常に重要です!
では今回のテーマである
質のいい仮説を立てるには
どうすればいいのか?
をお伝えしていきます。
質のいい仮説を立てる為の4つの方法
まず仮説を立てる為の
アプローチがいくつかある事に
お気づきでしょうか?
簡単に言ってしまえば
【何を元に仮説を立てているか?】
という部分です。
今回は代表的な
4つの仮説の立て方を
お伝えします。
①視覚情報
②感覚
③解剖学
④物理学
です。
この様に書くと
何だか小難しい様に思えますが、
中身を知ってしまえば
簡単ですので
もう少し読み進めてください。
①視覚情報から仮説を立てる
ではまず
視覚情報を元に
仮説を立てるケースです。
これは多くのスキーヤーが
取り入れており、
トップ選手や
チームに所属している人は
当たり前に行っている行為です。
要は自分の滑りをビデオなどで見て(視覚情報)
そこから
「もっとこうすればいいのでは?」
と仮説を立てるという事ですね。
しかし視覚情報には
大きな落とし穴があります。
それは
人は見たいようにしか見えない
という事です。
以前にもご紹介した
ハーバード大学の
【錯覚の科学】
という実験がいい例です。
詳しくはこちらから
(英語なので字幕をONにすると
分かりやすいです)
きっと、ビデオをみて
どんどん原因が分れば
苦労しませんよね。
視覚情報には
分かる人にしか分からない情報が
隠れています。
例えばトップ選手は
ものすごく内側に
傾きを作っているように
映像では見えますが、
いざ自分がやると内倒してしまう
というケースはよくありますよね?
これは映像の中に隠れている
傾きを作る為の重要な動作が
見えていないせいです。
現にサポートメンバーの方は
レッスンで
「そんな動きをしている様には見えない!
これは言われなきゃ分からないです…」
とよく仰っています。
ビデオを何度見ても
滑りが変わらない場合は
視覚情報からの仮説が間違っている
可能性が高いので
気を付けてくださいね!
②感覚から仮説を立てる
あなたは滑っている時に、
自分がどういう感覚で滑っているか
意識しているでしょうか?
意外と頭で考えるタイプの方が
使っていないのが
この感覚からのアプローチです。
簡単に言うと
「もっとグッとやった方がいいのでは?」
「さっきはガッとしたけど、
スッとやった方がいいかな?」
といった感じです。
一見、いいかげんに思える感覚ですが、
これが実は非常に重要です!
なぜなら
行っている事は合っているのに
行っている感覚が間違っている
というケースがよくあるからです。
例えば
【外脚に乗る為にくの字をする】
といったように
行っていることは合っていても
そのくの字を、
力いっぱいグイッとやるのか
スッと力を抜いてやるのかでは
結果は大きく違います。
さらに感覚は
部分ではなく全体を連動して
動かす事にも向いています。
ですから
「さっきは●●な感覚でやって
上手くいかなかったから
次は□□といった感じでやってみよう」
と仮説を立てて行い、
実際それで滑りが変わるなら
滑りのエラーの原因は
【●●な感覚で行っていること】
なるわけですね。
また自分の感覚からでなく
他の上手な人の感覚を聞いて、
自分との違いから
仮説を立てるケースもあります。
トップ選手達がよく
他の選手の滑る感覚を聞いて
自分の滑りに取り入れようとする行為が
まさにそれですね!
勿論、ある程度技術レベルが
近い事が前提ですし
具体性に欠ける事もよくあります。
しかし【感覚】からアプローチは
意外と上手くいくケースが多いので、
頭で考えすぎてしまう人は
是非試してみてくださいね。
③解剖学から仮説を立てる
解剖学から仮説を立てるというと
いまいちピンとこないかもしれませんが、
要は
身体の構造や仕組みから
エラー動作の原因の仮説を立てる
という事です。
例えばローテーションして
悩んでいる場合で考えてみます。
ローテーションといっても
・顔が回るのか?
・腕が回るのか?
・肩が回るのか?
・胸が回るのか?
・骨盤が回るのか?
といったように
身体の部分で考えると
沢山のローテーションがあります。
さらに、
もし肩が回るとしたら
・どの筋肉が反応しているのか?
・どの筋肉が反応していないのか?
・またはどの筋肉が脱力できないのか?
といった解剖学の観点から考えて、
「この筋肉を強く使ってしまうから
肩がローテーションしているのかな?」
といった様に仮説を立てていく感じですね。
この解剖学から仮説を立てる行為は
具体性が非常に高く、
仮説の質もとても良いです。
なぜなら、
特例を除いては、
身体の根本的な構造は
トップ選手もあなたも
同じだからです!
トップ選手だけ関節が一つ多くて
自在に動くから上手い!
…とはなりませんよね。
ですからトップ選手と
自分の身体の動いている部分の
ここが違うという事がわかる事は
非常に重要な情報です。
しかし解剖学から仮説を立てるのは
非常に難易度が高いです。
当たり前の話ですが、
ある程度、解剖学の知識が必要だからです。
そしてもう一つ重要なポイントが
【代償動作との見分け】
です!
先ほどの例で出た、
肩が回ってローテーションしてしまう場合、
本当に肩が回ってしまう事が原因の場合と
何か他の部分にエラーがあり
その代償となって
肩が回っている
という場合があります。
これが代償動作です!
代償動作で出ているものを直しても
根本が直ってない為
滑りは一向に変わりません。
逆に根本を直すと
今まで代償動作で出ていたエラーが
いつの間にか消えています。
現にサポートメンバーの方の多くは
「あれ?そういえば
いつの間にか直ってます。
あんなに意識しても
直らなかったのに…」
という事をよく仰っています。
解剖学からの仮説は
非常に質の高いものでありながら
その分難易度が高いという事が
お分かりいただけたでしょうか?
④物理学から仮説を立てる
これも一見難しく聞こえますが、
そこまで構えなくても大丈夫です。
物理学といっても
難しい計算式など使うという事ではなく、
【物理的に考えてみて】
といった程度のものです。
(私も物理学が専門という訳ではないので)
例えば、
内倒してしまう原因は何か?
と考えた時に、
そもそもターン前半に
内側に傾こうとしたら
内側に倒れるのは
物理的に当然ですよね?
でもその当然を無視して
多くのスキーヤーが
深い内傾角を作ろうと
谷へ谷へ倒れようとします。
そして何よりも
谷へ傾くという指導が多くある事は
重々承知しています。
勿論内側に傾けと言われて
本当に深い内傾角がとれるのであれば
問題ありません。
しかし多くのスキーヤーが
イメージしている滑りとは違い
内倒してしまうというのが
現実です。
さて話を戻して
内側に傾こうとすると
内側に倒れるのは
物理的に当たり前ですが
内側に傾いた状態を
キープする事も可能ですよね?
例えばストックを
手のひらで上から抑えて
内側に傾かせようとしたら内倒、
つまり内側に倒れてしまうでしょうか?
倒れず傾いたままキープできますよね?
因みに
【倒れる】と【傾く】は
きちんと分けてくださいね!
内倒と内傾は似て非なるものですので。
一方雪に刺したストックを
横から押せば簡単に内側に倒れる
つまり内倒します。
この違いは何か?
当たり前ですが、
【上から抑えているかどうか?】
ですよね?
つまり
内倒しまう原因は
内側に傾く力しか意識せず
倒れないように抑える力を
考えていない
ところにあります。
外脚を突っ張るように外に押し出せば
当然スタンスは開くのに
外脚に力を加えようと意識して
密脚出来ないと悩む
などもそうですね。
この様に物理的に考えると
当然のことが
意外と気付かないケースは多いので
理系の方はぜひ物理的な観点からも
仮説を立ててみてください。
これでざっくりとですが
仮説を立てるアプローチ方法である
①視覚情報から仮説を立てる
②感覚から仮説を立てる
③解剖学から仮説を立てる
④物理学から仮説を立てる
をお伝えしました。
もしあなたが
自分の滑りの癖が何か
原因が分からず悩んでいる場合は、
・まず仮説をどこから立てているか?
・違うところからのアプローチで
新たな気づきはないか?
という部分を見直してみてください!