【コブ攻略】板が発射する原因は「後傾」ではない?スキー界の常識を覆す物理学的真実 #401

 

 

 

 

 

 

 

 

あなたが本当に向き合うべきスキーの「真実」

 

コブ斜面に入った瞬間、制御不能なスピードで板が前方へすっぽ抜けてしまい、次のコブに入れずにはじき出されてしまう・・・多くのスキーヤーが経験するこの「発射」というエラーですが、あなたはこれまで、その原因は「ポジションが後ろだからだ(後傾)」とおもっていませんか?

 

 

その結果、必死に重心を前に運ぼうと「足首を曲げる」「目線を先に向ける」「コブの裏にストックを突く」「腰を前に運ぶ」といったような意識を持っているスキーヤーが大半です。

 

 

もちろんそれで修正ができれば良いのですが、一向に発射の癖が直らないのであれば、あなたが取り組んでいる改善策が、コブの物理的メカニズムを無視した「的外れなもの」だからです

 

 

【1】多くのスキーヤーが勘違いする前後ポジション

 

 

「谷=前」という致命的な認識のズレ

 

コブで発射してしまう最大の原因として挙げられるのが「後傾」です。理屈としては、重心が後ろにあるから板が前に逃げる、というのは通っています。しかし、ここでスキーヤーが陥る最大の罠が、後傾という言葉の「定義」の曖昧さです

 

 

実は、ポジションの前後には2つの全く異なる前提が存在します。

 

 

①板のトップ方向に対しての前後

 

 

 

②斜面の「谷側か山側か」という前後

 

 

このように板に対しての前後(赤➡)は谷側、山側の前後(青➡)とはズレていますよね?

 

 

 

多くの指導現場では、この2つが混同されています。谷側に重心を移動させることが「前傾」であると教え込まれますが、これが成立するのは板が真下(フォールライン)を向いた一瞬だけです

 
 

 

コブの中で板が斜めを向いている時、あなたが「谷側(下方向)」へ身体を運ぼうとすると、板が進む方向と身体が運ばれる方向のベクトルがズレてしまいます。身体だけが下へ落ち、板が置き去りにされる。この「板と身体の分離」こそが、あなたが「後傾だ!」と指摘される現象の正体なのです。良かれと思って谷へ動くことが、皮肉にも自ら後傾を作り出し、発射を誘発させてしまいます。

 

 

トップ選手は「谷」へは行かない

驚くべきことに、一流の選手たちは私たちが信じているセオリーとは真逆の意識を持っています。元技術選チャンピオンで、コブの名手と言われていたの丸山貴雄選手の上空画像を確認すると、板の進行方向に対して忠実に重心が移動しており、決して「斜面の真下」へ突っ込んでいるわけではありません

 

 

 

また、石田俊介さんは「切り替えで谷に落ちなくていい」と発信し

 

 

 

徳竹剛さんは「谷に行き過ぎ、身体はもっと山側・後ろにいなさい」と指導しています

 

 

 

世間の常識である「遅れないために谷へ谷へ」という意識こそが、あなたをコブから弾き出す元凶となっているのです

 
 

 

【2】常識と真逆!?コブでは吸収動作はしないのか?

 

そもそも発射する原因はなにか?

そもそも、なぜ整地では後傾になっても板が「発射」しないのでしょうか?答えは単純です。整地にはコブという「発射台」が存在しないからです。物理的に見れば、板が発射するのはあなたのポジションが悪いからではなく、コブという斜面の形状が、板を前方に跳ね飛ばす巨大なエネルギーを生み出しているからです

 

 

ここで考えるべきは、以下の2つの視点のどちらが根本原因かという点です。

 

 

①コブのエネルギーを受けるから、後傾になるのか?

 

 

 

②後傾だから、板が発射してしまうのか?

 

 

 

多くの人は②だと信じていますが、現実は①です。どんなに前傾を意識しても、コブのエネルギーを適切に処理できなければ、物理法則に従って板は前方へ弾き飛ばされます。逆に、そのエネルギーを上手く「受け止める」ことができれば、多少後ろにいても発射はしません。

 

 

「受け止める」ための解剖学的ポジション

トップ選手の滑りを見ると、意外にもお尻が落ちた「後傾気味」のポジションでコブに当たっていることが分かります。これは、彼らが「コブの衝撃を受け止めるために最も効率的な骨格の配置」を選択しているからです。

 

 

イメージ

 

ここで重要なのが「吸収」という言葉のです。 SKIER's LABでは、コブを滑る過程で「脚を曲げる」といったいわゆる吸収動作の練習はほぼ行いません

 

 

スキーグラフィック2021年11月号から3号に渡って元モーグル全日本代表、附田雄剛さんと丸山貴雄さんの『コブ研究』という特集記事が組まれていました!

 

 

 

その中で丸山貴雄選手は「多くの人は吸収しようとして関節を曲げるが、僕の感覚では吸収ではなく『荷重』である」と断言しています。元モーグル代表の附田雄剛さんも「レッスンで吸収という言葉はほとんど使わない」と語っています

 

 

 

これは「自ら曲げる動作」「物理的な圧によって曲げさせられる動作」という『領域違い』の話です。一流選手は、山側にポジションを残してコブの圧を骨格で正面から受け止め(荷重)、その巨大なエネルギーによって「勝手に関節が畳まれている」だけなのです。自ら筋肉を使って脚を畳んでいる一般スキーヤーとは、使っている筋肉も神経回路も全くの別物です。

 
 

 

【3】よくある質問と勘違い(FAQ)

Q1. 「足首をぎゅっと曲げて緩まないようにする」のが大事ではないのですか?

 

A:足首を筋肉の力で無理やり曲げ続けようとしても、滑り出せば一瞬で緩みます。重要なのは「曲げる」意識ではなく、物理的な圧によって「曲げさせられる」骨格のポジションに自分を置くことです

 

 

Q2. 谷へ重心を運ばないと、スピードが出すぎて怖くなりませんか?

 

A:逆です。谷側へ重心が突っ込むから、板の進行方向とのズレが生じてコントロールを失い、加速してしまいます。山側にポジションを残してコブの圧を受け止められるようになれば、コブとの衝突エネルギーをスピードコントロールのブレーキとして利用できるようになります

 

 

Q3. 吸収動作をしないなら、膝を痛めませんか?

 

A:仰る通り厳密には吸収をしなければ衝撃で身体を痛めてしまいます。ただ自ら脚を曲げる「吸収」は関節に余計な負担をかける可能性が高いです。骨格で正しく荷重を受け止めれば、筋肉への過剰な負担は減り、怪我のリスクも下がります。トップ選手が何年も激しいコブを滑り続けられるのは、この「骨で受ける」技術があるからです

 

 

【4】まとめ

長くなってしまいましたが、コブでの発射を克服するための真実をまとめましょう

 

 

①「谷側=前傾」という思い込みを捨てる:板の進行方向を無視した谷への突っ込みが、後傾と発射を招く

 

 

②「吸収」ではなく「受け止め(荷重)」:自分から脚を曲げるのではなく、山側で圧を受け止めて「曲げさせられる」のが正解

 

 

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