スキー上達に繋がる、滑りを改善する時の3つのコツ 251
前回の記事に引き続き
効率よくスキーが上達する練習法を
お伝えしていきます。
前回までに
自分のイメージと現実のズレを
正しく確認する事の重要性を
お伝えしてきました。
まだ読まれていない方は
まずこちらからご覧ください。
②【スキーを効率よく上達するには、滑走後に●●をしよう! 250】
今回はいよいよ核心の部分です。
脳内でイメージしていたものと
現実の滑りがズレていたら
次にやることはただひとつ、
滑りの修正です。
因みに前回までの内容にある
イメージと現実のズレを埋めないまま
修正に突入すると
『自分では出来ているつもり』
になりやすいので気を付けてくださいね。
では前回と同様、
私が行っている実際のレッスンの
代表的な流れをもとに
お伝えしていきます。
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私『まずその場で滑走ポジションを
取ってみましょう』
受講者『はい!こうですか?』
私『OKです!
ではビデオ撮りますんで
ずっとそのイメージで
滑ってみてください!』
受『わかりました!』
~滑る~
私『OKです!
どうでしたか?』
受『かなり意識してやってきたつもりです。』
私『では映像見てみましょう』
~映像確認~
私『どうですか?』
受『あれ!?ぜんぜん出来てないですね。』
※前回まではここまでの
イメージと現実のズレの確認法を
お伝えしました。
私『いま○○さんは、●●関節を
このような形で使っているので
結果的にビデオで見た
この形になってしまいます。
本当は●●関節はこうで
さらに△△関節もこの状態にないと
この形できないんですよ。』
受『ほんとだ、確かにそうしてる!』
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ここまで
さてこの滑りの修正ですが
実は多くのスキーヤーの方は
この修正の仕方を間違えている為
なかなか滑りが変わりません。
あなたもいくら意識しても
結局同じことを注意されてしまうという経験が
一度はあるはずです。
そこで今回滑りを修正するうえでの
3つのコツをご紹介します。
それは
①エラー動作の『具体的な』原因の確認
②修正するための『具体的な』身体の使い方の確認
③その場でまずその動作が出来るかの確認
です。
一つ一つ説明していきましょう。
①エラー動作の『具体的な』原因の確認
まずやるべきことは
エラー動作が起こる
『具体的な』原因の確認です。
『具体的な』というのは
ターンのイメージやタイミング、
力の強弱など様々ですが、
ほとんどの場合
各関節の使い方、
つまり身体の使い方が原因です。
正しく身体が使えているという土台の上に
ターンのイメージやタイミング、
力の強弱などの技術的な要素が
積み重なってきます。
レッスンの流れの中にもあるように、
まずしっかり身体のどの部分が原因で
エラー動作が出ているのか
明確にすることがスキー上達の近道です。
ここがないと、
直すべきところが分からないのに
修正しようと練習していることに
なってしまうので。
因みに
エラー動作が出ている場所が原因でない
というケースが多いです。
お尻が落ちる原因は
お尻に原因があるのではなく、
もしかしたら腿裏の硬さかもしれませんし、
足首の硬さかもしれません。
上半身の可能性だってあります。
くれぐれもお尻が落ちているから
お尻を高くしようという
漠然とした意識で練習しないように
気を付けて下さい。
それで滑りが修正できるなら
ずっと同じことを
言われ続けることはありません。
滑りがイメージとずれてしまう原因は
どの関節か?
これが具体的になればなるほど
滑りが修正しやすくなります。
②修正するための『具体的な』身体の使い方の確認
エラーが出ている具体的な原因が分かったら
次に何をすれば具体的に直るのか?
という部分が重要です。
・お尻が落ちているからお尻をあげる
・ポジションが後ろだから前にする
・外脚に乗れてないからもっと乗る
言っていることはすべて正解ですが、
その意識で直るなら
きっとあなたもスキー上達に
悩んでいないはずです。
本当に知りたいのは
それが出来るようになる為に
具体的に何をすればいいのか?
ですよね。
レッスンの流れを
もう一度見返していただくと
分かるかと思いますが
『いま○○さんは、●●関節を
このような形で使っているので
結果的にビデオで見た
この形になってしまいます。』
※この部分は
【1】エラー動作の『具体的な』原因の確認
『本当は●●関節はこうで
さらに△△関節もこの状態にないと
この形できないんですよ。』
※ここが
【2】修正するための『具体的な』
身体の使い方の確認です。
具体的に体をどう使えばいいのか?は
スキーの技術の理解もそうですが
身体の仕組みの理解も大きく関係してきます。
どの関節をどのような意識で使うと
イメージしている動作が可能なのか?
また同じ動作でも
人によって体の使い方のイメージが違うので
伝え方も変わってきます。
例えば内腰を内側に入れていくのも
外腰を内側に入れていくのも
骨盤が内側に入っていく事には変わりませんが、
人によってどちらかのイメージだと出来て
どちらかのイメージだと
出来ないケースがあります。
内腰意識するとキレイに入ってくるけど
外腰意識するとわき腹を使ってしまう
逆に内腰を意識するとお尻が落ちて
内脚に乗ってしまうが
外腰を意識するとキレイに入ってくる
といった感じです。
これが腰ではなくて
股関節の意識の方が上手くいく方や、
部分的な事を考えずに
『カコッといれてください』
という全体的なニュアンスで意識した方が
上手くいく方もいます。
(ジュニアはほぼそうですね)
因みに最後のニュアンス的なイメージだと
全然具体的じゃないのでは?
と思ったかもしれませんが
その人にとって行いやすければ
それがその人にとっての具体的な
イメージだと考えています。
一般的に具体的でも
イメージしづらくてよく分からなければ
その人にとっては抽象的になってしまうので。
このように
滑りを修正する為には
あなたにとって
具体的に身体のどの部分を
どのように使う必要があるのか?
ここが明確にならないと
毎シーズン滑りが変わらないという
状況に陥ってしまいますので
気を付けてください。
③その場でまずその動作が出来るかの確認
自分の滑りのエラーは
・具体的にどこが原因で起こっているのか?
・また、具体的にどうすれば修正出来るのか?
この部分が明確になったら
後は滑りでそれをやるだけだ!
・・・
と簡単にいけばいいのですが、
そうはいかないのが現実です。
なぜならその前にもうひと段階あるからです。
それは
『そもそもその動き根本的にできるのか?』
という部分です。
今回の前後ポジションの例でいえば
スネが起きないような足首の使い方が
本当に正しくできるのか?
上体が起きないような
体幹部の使い方が正しくできるのか?
ポジションが前の方向に行くための
股関節の動きが正しくできるのか?
といった感じです。
根本的に出来ないのに
いくら滑りでやろうと思っても
出来ないのは目に見えていますよね。
そこで
③その場でまずその動作が出来るかの確認
が重要になってきます。
その場で行ってみて
意識している体の使い方が出来れば
次に滑りの中でその動きを出せるように
練習する段階に入れます。
一方その場で出来ないのであれば
まずは身体の使い方が
根本的に違っているという事になります。
その場で出来ない事を
滑って練習しているスキーヤーは
非常に多いです。
幸か不幸か、人間の身体は
代償動作といって
本当に使いたい部分が正しく使えていなくても
他の部分が代償となって
それっぽく動く事が出来ます。
股関節の代わりに
膝やわき腹が曲がるといった感じです。
厄介なのはそのまま滑り込むと
代償動作を身体に染み込ませてしまう
という危険性です。
もちろん滑走中と
その場で静止している状態では
外力の有無など異なる点はありますが、
身体の関節を動かすという点では
同じです。
ですからまずはその場で動かしたい関節を
正しく動かせるのか?
↓
できるならそれを滑走中でも出来るのか?
といった流れをお勧めします。
因みにもうお気づきだと思いますが
その場で出来なかったら
・・・
・・・
・・・
そうならない為に
オフシーズンのトレーニングがあるわけです。
ここをクリアして
シーズンに入っているかどうかで
上達のスピードは格段に変わります!
勿論、その場で出来れば
滑走中でもすぐ出来る!
というわけにはいきません。
だからこそ雪上では
陸上動作(静止状態の動作)を
雪上動作(滑走中の動作)に変換すること
に集中し、
できるだけ根本的な部分は
前もってクリアしておくことが
上達の近道といえます。
ですから私も
サポートメンバーの方に指導するときには
その方が根本的に出来る事しかやりません。
『止まってだと出来るのに
滑りだすとどうして・・・』
という部分を直していくのがメインです。
いかがだったでしょうか?
ただ滑りを修正するといっても
【1】エラー動作の『具体的な』原因の確認
【2】修正するための『具体的な』
身体の使い方の確認
【3】その場でまずその動作が出来るかの確認
この3つのコツが
きちんと出来ているかどうかで
結果は大きく変わってきます。
あなたも雪上で練習する際は
意識して取り組んでみてください。
次回の記事は最後の仕上げである
認知の修正です。