スキーで板をたわませる為に使い分けたい2つのトレーニングとは? 265
スキーの悩みで
定番となっているもの一つに
『板をたわませられない・・・』
というものがあります。
板がたわまない悩みは
スキーヤー自身が
自ら悩みだしたというよりは
指導者から
『もっと前半からしっかり板をたわませて!』
『外脚に乗れてないから板はたわまないよ!』
と言われて
悩みだした・・・
というケースが
大半ではないでしょうか?
そしてその悩みは
なかなか解決できないまま
毎シーズンのように
指摘されているケースも
非常に多いです。
まぁ指摘だけで
解決方法は指導されません
というケースも多いようなので
解決出来ないのは
仕方がない部分もありますが。
ではもしあなたが
板をたわまそうとしたら
どのような動作を行うでしょうか?
多くのスキーヤーは
板をたわます=力を出して板を押す事
だと勘違いしています!
ショップなどで
板の硬さを確かめる時には
板を手でグイグイ押すように、
一生懸命外脚で
エイッエイッと
力を出して押しているのです。
しかしトップ選手や指導者が
板を押すや踏むと言うより
板に『乗る』という表現を
よく使う事からも分かるように
力を出すイメージよりは
受け止めるイメージの方が
板をたわますうえでは重要です!
しかしそれが分かったところで
そう簡単に受け止める事はできません.
その理由は普段のトレーニングが大きく関係しています。
使い分けたい2つのトレーニング
陸上でトレーニングをはじめると
多くの場合なんの疑問もなく
筋トレの要領で
重いものを持ち上げたり、
走り込みをして
体力をつけようとします。
しかし実際は
同じにように見えるトレーニングでも
おおきく2つの種類に分かれます。
それが
①力を出すトレーニング
と
②力を受け止めるトレーニング
です!
あなたのトレーニングは
力を『出す』練習と『受け止める』練習、
どちらを中心に行っているでしょうか?
多くの場合、基本的に筋トレとよばれる
ウェイトトレーニング系は
力を出す意識でやっています。
しかし実際雪上で求められているのは
冒頭でもお伝えしたように
自ら出すことよりも雪面からの圧を
受け止める事の方が多いです。
そう言った場面で
普段から力を出す動きが染みついていると
雪面からの圧が来た瞬間
無意識のうちに力を出してしまい
反発して板がバタついたり
ズルズル流れて行ってしまうわけです。
もちろん力を出すトレーニングが
いけないわけではありません。
ただシーズンが近くづいてきた
この時期は力を受け止める練習を
きちんとしておいた方がいいです。
例えばスクワットですと、
しゃがんで持ち上げる時に
力を入れるのではなく、
しゃがむ瞬間力を抜いて
その重みをキャッチするように
止まるといった意識をします。
あまり深い角度でやるよりは
クウォータースクワット(1/4くらい)で
行うとやりやすいです。
クウォータースクワットが
分からない方はこちらから
階段かから降りて片足着地!
なんて言うのも
力を受け止める練習ですね。
しかしこの受け止める系の
トレーニングには
落とし穴があるので
注意が必要です!
受け止めるトレーニングの注意点
まずもっとも気をつけたい注意点は
予想以上の負荷がかかる!
という部分です。
踵でいうと体重60kgの人は
歩行時(体重×1.2)72kg
ランニング時(体重×3)180kg
ジャンプ時(体重×5) 300kg
重さがかかると言われています。
ただ着地の瞬間体重の●倍
といった情報は
人間の体は剛性ではありませんし、
吸収動作を使った場合や、
関節によって違うことも考えると
それほど正確ではありません。
しかし自ら力を出すときよりも
遥かに強い力がかかるのは事実です。
その強い負荷を
もし、間違った身体の使い方で
受け止めていたら
どうなるでしょうか?
例えば階段から降りて
片足着地の場合、
・土踏まずがつぶれている
・膝が内側に入っている
・股関節が抜けてしまう
・わき腹が曲がる
・肩や腕が過剰に動く
といったような
エラー動作のもと
いくら受け止める動作を行っても
マイナスでしかありません。
ケガにも繋がってしまいますね・・・
このことを知らずに
直ぐに受け止めるトレーニングを行うのは
非常に危険です。
上記に挙げたようなチェックポイントを
鏡で見る、スマホで撮る、などして
しっかりチェックして行いましょう。
このように
力を受け止めるトレーニングは
正しい体の使い方で行わないと
意味がないどころかマイナスになる!
という部分は
必ず知っておいてくださいね!
では正しく受け止められる方は
どんどんやってください!!
・・・
・・・
・・・
というわけにはいかないのが
受け止めるトレーニングの
難しいところです。
着地面も考えよう!
さて身体も上手に使えて
しっかり力を受け止めることができる!!
という場合、
このトレーニングを行うことで
どんどん雪面からの圧を
受け止めるできるようになると
思っていませんか?
もちろんなるにはなるんですが、
これはこれでリスクが高いんです。
その理由は
衝撃をもらいすぎてしまうから!
ただしく身体を使えると衝撃が強すぎて
骨や関節に負担がかかりすぎるケースが
よくあります。
コンクリートだったり
地面の堅いところで行う場合は
注意が必要です。
そもそも人間本能的に、
力を受け止めるよりは
吸収したり逃がすようにします。
高いところからジャンプして
着地するときに、
足をピンっと伸ばさないですよね?
そんなことしたら足が折れちゃいます。
ですから完璧に力を
もらいすぎると
良くないということです。
そっかじゃあ吸収を・・・
となると吸収してしまったら
今度は受け止めるトレーニングに
なりませんよね?
そうなんです受け止めすぎても
身体に悪くて吸収してもダメ!
八方ふさがりですね。
では受け止めるトレーニングを
上手にやるためにはどうすればいいのか?
力を受ける止めるトレーニングを上手に行うために!
力を受け止めるトレーニングを
上手にやるための具体例を
ご紹介します。
最初にお伝えしておきたいのが
地面で行う場合は
力をもらいすぎてしまうと
身体に負担がかかりますが、
スキーの場合はある程度
負担が減ります。
その理由は
雪上だという事と、
何より板がたわむからです!
もちろんたわむ空間を作るために
角度は必要です。
リフトからアイスバーンにまっすぐ落ちれば
当然ケガしますので・・・。
話を戻しますと、
階段から降りて着地した先が
トランポリンなのかコンクリートなのかでは
全然衝撃が違いますよね。
つまり身体で吸収動作をするのではなく
身体は力を逃がさない使い方をしつつ、
ある程度力を吸収してくれる
足場に着地すればいいのです!
例えば
・足元に厚めのマットなどを引く
・座布団を何枚か重ねる
・外でやる場合は芝生で行う
・靴は衝撃吸収が
しっかりしているものを選ぶ
といった感じです。
また上から下への自由落下だと
衝撃が強すぎる場合は
坂道を利用する手もあります。
坂に対して横を向き、
山脚側から谷脚側に横跳びするのも
力を受け止める練習には向いています。
また根本的な
『トレーニングの総量』
を考えるのも大事です。
基本的に体育会は根性論で
やればやるほどいいといった
文化が根強いので
その考えの犠牲になっている
ジュニアスキーヤーはかなり多いです。
(もちろん大人も)
このように受け止めるトレーニングを
上手に行うには
・自らが吸収するのではなく、
足場が吸収してくれる状態にして、
自分はしっかり力を受け止める
身体の使い方をすること!
・トレーニングの総量に気を付けること!
この2つをお勧めします。
因みに先シーズン、
女子アルペンスキーの女王
ミカエラシフリン選手も
スラックラインを2本並べて、
左右に乗り込む練習を行っていましたね。
力を受け止める感覚をつかんで
来シーズンはばっちり
板をたわませてくださいね!
この感覚がなくして
雪上で滑っても板をたわませるのは
難しいですから。