【スキー板選び徹底解説!あなたにとっての理想のスキー板を選ぶためには?】#402
目次
なぜ多くのスキーヤーがスキー板選びの迷路に迷い込んでしまうのか?
スキーヤーが自分に合ったスキー板を選べず迷路に迷い込んでしまう最大の理由は、「自身の目的に対する理解不足」と「スキー検定の級などの外面的な指標だけで道具を選ぼうとしている点」にあります 。
本来、スキー板は「滑り手自身が内力(自分の力)で操作しているのか、それとも外力(重力や遠心力)を利用して滑っているのか」という身体操作の方向性によって選ぶべきモデルが根本から異なります 。
自身の身体の使い方や目指す滑りの質を整理しないまま情報だけを収集してしまうことこそが、迷走を引き起こす本質的な原因です 。
検定の「級」や「バッジの有無」だけで板を選ぶことの致命的な落とし穴
スキー界では一般的に、「1級を持っているからこのモデル」「2級だから扱いやすいこのモデル」といったように、スキークラウンや1級・2級といった検定の級数やバッジの有無を基準に技量を判定し、板を選ぶ風潮が根強く存在します 。
しかし、ここには大きな罠が潜んでいます 。
なぜなら、同じ「1級保持者」や「2級保持者」であっても、滑りの質や身体の使い方(バイオメカニクス)は人によって全く異なるからです 。
筋力やスピードに任せて力づくで板をねじり込んでいる人と、身体の軸とポジションを整えてスムーズに板を動かしている人とでは、求めている道具の機能が真逆になります 。
陸上の身体操作において正しく力を伝達・処理できない状態のまま、単に「1級に合格したから」という表面的な理由だけで硬いエキスパートモデルを選択してしまうと、板に振り回され、エラー動作を補強することになりかねません 。
道具のスペックを決めるのは検定の格付けではなく、自分自身がどのような身体操作で滑っているかという実態なのです 。
カタログやショップのレビューが、あなたにとっての「正解」とは限らない理由
新シーズンが近づくと、多くのスキーヤーがメーカーのカタログやYouTubeなどの試乗レビューを参考にします 。
そこでは「この板はグリップ力があって素晴らしい」「非常に操作性が高い」といった絶賛の声が溢れています 。しかし、こうしたレビューを鵜呑みにすることは非常に危険です 。
スキー板の評価は車選びに非常によく似ています 。スポーツカーやF1マシンは圧倒的な性能を持っていますが、だからといって軽自動車やファミリー向けのミニバンが「悪い車」であるわけではありません 。
一人で街乗りを快適に走りたい人にとって軽自動車がベストチョイスになるように、道具の良し悪しは「滑り手の目的」と合致しているかどうかで決まります 。
また、試乗レビューの多くは「純粋な性能としての良さ」なのか、「特定のカテゴリー・特定の目的に合った上での良さ」なのかが曖昧なまま語られがちです 。
さらに、ショップや試乗レビューで「この板はペラペラで全く使えない」といったネガティブな評価が表に出ることはほとんどありません 。
自分自身の使用目的や技量の方向性を欠いたまま他人のレビューに頼ってしまうと、自分には扱えないオーバースペックな板や、目的と噛み合わない板を選んでしまう結果になります 。
スキー板選びを左右する根本原因:あなたの滑りは「内力ベース」か「外力ベース」か
スキー板選びで失敗しないための最大の土台となるのが、「内力ベースの滑り」と「外力ベースの滑り」という身体操作の解剖学的・物理的な違いを理解することです 。
• 内力(ないりょく)ベースの滑り
自分自身の筋力やスピードを使って、力任せに板を強引に回したりねじり込んだりする滑りです 。
筋力で強引に抑え込む必要があるため、軽量で扱いやすい板でなければコントロールが難しくなります 。
• 外力(がいりょく)ベースの滑り
重力(落下)、遠心力、あるいは道具そのものの重さといった「外の力」を効率よく利用し、力みに頼らずスムーズに板を動かす滑りです 。
物理的な外力を活かせる身体操作ができていれば、ある程度重く硬い板であっても、板自体の重みと張りを利用して安定したターンを描くことが可能になります 。
陸上の段階で自分の身体を筋肉の力任せで動かしている(内力依存)のか、骨格と物理法則を活かして動かしている(外力利用)のかによって、最適なスキー板の選び方は180度変わります 。
この身体操作の基準を持たずに板を選ぼうとすることが、多くのスキーヤーが板選びの迷路から抜け出せなくなっている本質的な根本原因なのです 。
スキー板のポテンシャルを決定づける「4つのカテゴリー(ABCDランク)」の構造的真実
スキー板選びにおいて、漠然と「中上級用」などの基準で選ぶことは上達の停滞を招く根本原因です。
そこで市場に溢れるスキー板は、SKIER's LAB独自の基準である「ABCDの4つのカテゴリー」に分類して物理的構造を整理してから選択することをお勧めします。
スキー技術の本質は、「自身の筋力(内力)で板を回す」状態から、「重力や遠心力といった外力を利用して板を動かす」身体操作への移行です。
陸上での正しい身体操作で外力を受け止める土台がないまま、雪上で板の性能だけを引き出そうとしても不可能です。
この物理的な前提を理解した上で、各カテゴリーが持つ構造的特徴をATOMICを例にして解説します。
※決してATOMICを推奨しているわけではありません!
【Aランク】ワールドカップ直系のFIS公認トップレーシングモデル
Aランクは国体や全日本などの公式大会の厳格なレギュレーションをクリアした、最高峰のレーシングモデル(FISモデル)です。
構造上、アルペン競技において最も速く走るよう、極めて硬いトップモデルとして設計されています。
一般流通のカタログには掲載されない、ワールドカップ選手に支給されるようなヨーロッパモデル(Sランク)も存在しますが、私たちが手に入れられる枠組みではこのAランクが最上位です。
雪上での強大な外力に対して、骨格で圧を受け止め的確に方向付けを行えるスキーヤーのみが、この物理的な硬さを推進力に変換することができます。
【Bランク】レーシングのセカンドモデル(エリートへのエントリー)
Bランクは「レーシングのセカンドモデル」もしくは「レーシング入門モデル」として位置づけられるカテゴリーです。
入門用と表現されることが多いですが、あくまでレーシング仕様として作られているため、雪上の強い外力に耐えうる物理的な強度と重さがしっかりと確保されています。
筋力(内力)で板を強引に振り回すのではなく、外力をベースにした滑りを構築しているスキーヤーにとっては、その十分な重さと硬さが逆にターンの安定性と操作性を引き出す構造となっています。
【Cランク】基礎スキーシーンを牽引するデモトップモデル
Cランクは基礎スキーやデモンストレーションに向けた「デモ用のトップモデル」です。
ゲレンデで最も多く見かけるカテゴリーであり、代表的な例としてアトミックの「S9i」などがここに該当します。
レーシングモデルほどの極端な剛性はありませんが、基礎スキーにおいて板に的確に仕事をさせるための強度を持つ、各メーカーの顔とも言えるモデルです。
【Dランク】扱いやすさを追求したデモ・基礎のセカンドモデル
Dランクはデモトップモデル(Cランク)からさらに一段階、硬さと重さを落とした「基礎用セカンドモデル」です。アトミックの「SC」などがこれにあたります。
物理的に軽く柔らかい構造は、自身の筋力(内力)で板を無理やりねじり込むような操作には向いています。
しかし、外力を利用して滑る技術においては、重さと硬さがないために高速域での安定性が失われます。
陸上での正確な身体操作が雪上の外力とリンクしたとき、このランクの板では物理的な強度が不足する点に注意が必要です。
【補足】特殊な領域に位置する「技術選専用モデル」および「マスターズモデル」の実態
「技術選専用モデル」や「マスターズ用モデル」は、一見すると基礎スキー用のカテゴリー(Cランクの最上級)に思われがちです。
しかし実際は、ではなく、Aランクの直下に位置する「Aマイナス」と呼ぶべき特殊なカテゴリーです。
実際にはスラロームの入門モデル(Bランク)よりもはるかに硬く、FISモデルに匹敵する構造で作られています。
アトミックの「S9i Pro」やサロモン、ヘッドの技術選専用モデル、さらにマスターズ用スラロームモデルなどがここに該当します。
カタログ上の見え方と実際の物理的スペックが大きく乖離しているため、この構造を理解せずに選ぶと、オーバースペックによる深刻なエラーを引き起こす原因となります。
【アルペンスキー・草大会編】リザルトを極限まで高めるための物理的アプローチ
アルペンスキーや草大会においてリザルトを極限まで高めるための核心は、近年のスキー板における構造変化を物理的に理解し、サイドカーブに依存した「片付け(エッジング)」だけに頼るのではなく、スキーヤー自身が能動的に板の「方向付け」を行う身体操作を獲得することにあります。
一般的にタイムが出ない原因は「技術不足」の一言で片付けられがちですが、本質的な理由は、道具の物理的特性の変化に対して、人間の身体運動(バイオメカニクス)が正しく適応できていないことに起因しています。
公式レギュレーションの厳格な確認:購入前に潜む致命的な罠
アルペンスキーの板選びにおいて、最初にクリアしなければならない絶対条件がレギュレーション(規則)の確認です。
全日本スキー連盟(SAJ)や国際スキー連盟(FIS)の公認大会に出場する場合、年齢やカテゴリーによって使用できる板の全長やラディウス(回転半径:R)の規定が厳格に定められています。
もしこの確認を怠り、規定を満たさない板を購入してしまえば、大会に出場することすらできないという致命的な罠に陥ります。
一方で、草大会やレギュレーションの存在しない市民レースにおいては、この規則に縛られる必要はありません。
ルールによる制限があるのかないのかを明確にすることが、リザルト向上のためのスタートラインとなります。
最新FISモデルの構造変化:単なる片付けでは曲がらない「方向付け」の時代へ
近年のFIS公認トップレーシングモデルは、その物理的構造が大きく変化しています。以前のモデルは、いわゆる「しゃもじ型」のようにトップ幅が広く設計されており、板を内側に傾ければ(片付けを行えば)オートマチックにトップが雪面を捉えてターンが始まる特性を持っていました。
しかし、最新のFISモデルは全体的に細身のストレートに近い形状へと移行しています。カタログや雑誌のサイズスペックを確認すれば一目瞭然ですが、トップ幅が細くなったことで、ただ傾けるだけでは板が勝手に回ってくれなくなっているのです。
現在のアルペンシーン(特にGSなど)では、セットの振り幅が非常にタイトであり、スピードに乗った状態で「板自体の方向付け」をスキーヤー自身が行い、そこから鋭く切り込んでいく滑りが主流となっています。
この物理的な特性を理解せず、従来の感覚のまま「角付けだけで曲がろうとする」スキーヤーにとって、最新のトップモデルは「非常に扱いづらく、曲がらない板」へと変貌してしまいます。
あえてFISモデルを外す選択肢:セカンドモデルやロングターンモデルがタイムを縮める理由
レギュレーションの縛りがない草大会において、リザルト(タイム)を最優先する場合、必ずしも「最上位のFISモデル」が正解とは限りません。
あえてワンランク下のセカンドモデルや、マスターズモデル、あるいはデモ用のロングターンモデルを選択することが、劇的なタイム短縮につながるケースが多々あります。
なぜなら、トップ幅が広く設計されているセカンドモデルやマスターズモデルは、最新FISモデルに比べて「内傾角を確保した際に、トップが雪面を噛んで内側へ回ってきやすい」という物理的メリット(サイドカーブの恩恵)を最大限に利用できるからです。
どれだけ硬く強靭なFISモデルを履いていても、スキーヤー自身の身体操作が追いつかず、ターン前半で板の方向付けができなければ、結果として大回りをしてしまいタイムロスにつながります。
少しスペックを下げてサイドカーブで効率よく回れる板を選び、プレートやビンディングの硬さを調整してトータルのバランスを整える方が、物理的に速いラインをトレースできる確率が高くなります。
あなたの操作性を視覚化するチェックテスト:低速域での足元回旋とタイム計測
道具が自分に合っているか、そして正しい身体操作ができているかを客観的に見極めるためには、感覚ではなく「数値」として視覚化することが不可欠です。
おすすめするチェックテストは、実際のゲレンデにおいて、以下の2つのアプローチを行うことです。
1. 低速域での足元回旋テスト
スピードが出ない緩斜面において、サイドカーブの力に頼ることなく、自分の股関節と足元の回旋運動だけで板の向きをコントロールできるかを確かめます。
低速で板を動かせないスキーヤーが、高速域のレース中に正しい方向付けを行うことは解剖学的にも不可能です。
2. 同一条件下でのタイム計測
同じセット、同じバーンコンディションの中で、FISモデルとセカンドモデル(またはマスターズモデル)を履き比べ、実際にタイムを計測します。
「滑っている感覚が硬くて強そうだから」という主観的な理由ではなく、どちらの板がより速いタイムを刻んでいるかという「客観的な事実」をもとに、最終的な道具の評価を下す必要があります。
【基礎スキー・検定編】バッジテストの評価基準から逆算する最適なマッチング
基礎スキーの検定において、多くの方が「自分の技術レベルに合わせた板」を選ぼうとしますが、合格を掴むための道具選びの本質は「現在の検定の評価基準(ルール)が何を求めているか」から逆算し、自身の身体操作のタイプと掛け合わせてモデルを選択することにあります 。
単に「1級だからこの板」「2級だからあの板」という表面的な基準で選ぶと、道具が上達や合格の足を引っ張る原因になります 。
スキー検定の不都合な真実:トータル技術ではなく「高速域のカービング」という評価の偏り
多くの一般スキーヤーは、スキー検定(バッジテスト)を「あらゆる状況に対応できるトータル的な技術力」を測る場であると誤解しがちです 。
しかし現実のスキー検定は、レベルが上がれば上がるほど「高速域のなかでカービングターンができるか選手権」の側面が非常に強くなっています 。
たとえば、最高峰であるクラウンの種目に「緩斜面での低速小回り」という設定が入ったとしたら、現行の検定で高得点を出している人であっても、途端に苦手意識を持つケースが少なくありません 。
現在の検定は、急斜面かつ高速域という条件下で、スキー板のサイドカーブ(板の形状による回転性能)に助けてもらう滑りが主流であり、それが高く評価される仕組みになっているからです 。
つまり、低速域で外力(重力や遠心力)に頼らずに板を回す技術が不足していても、高速域のカービングさえ形になれば受かってしまうという偏りがあります 。
この評価基準の前提を理解していないと、検定の数字(級)だけを基準にした見当違いな板選びに陥ってしまいます 。
【クラウンレベル】雪質やバーン状況に左右されないトップコントロール能力と板の選択肢
クラウン合格を目指す、あるいはすでにその領域にいるスキーヤーであっても、実は「外力ベースで板をきれいに回す技術」や「トップのコントロール能力」を高いレベルで備えているケースは驚くほど少数です 。
もし、あなたが緩斜面やザブザブの悪雪でもスピードを完全にコントロールして低速小回りができる高い技術(外力ベースの操作)をすでに持っているならば、板の選択は自由です 。FIS公認のレーシングモデルを履こうが、デモのトップモデルを履こうが、問題なく合格点を出すことができます 。
ただし、板が過剰に反発しすぎるリスクを避けるため、トップ選手であってもFISモデルそのものよりは、アルペン用をベースにしながらも失敗しにくい設定に調整された「技術選専用モデル(アトミックのS9i Proなど)」を選ぶケースが主流です 。
一方で、「良い雪質でスピードを出してサイドカーブに乗ればギュンと回れるが、低速や悪雪になると回せない」というタイプ(内力・スピード依存)の場合は注意が必要です 。
こうした方が技術選トップモデルのような硬く難しい板を履くと、アイスバーンや春のグサグサ雪(悪雪)、あるいはコブに入った途端にまったく滑れなくなるという罠にハマります 。検定では技術選のような完璧なコース整備が入らないことも多いため、無理に最上位モデルを履く必要はありません 。
ワンランク下げて、扱いやすいスラロームのエントリーモデル(セカンドモデル)やマスターズモデルを選び、プレートやビンディングを硬めのセッティングにして調整するほうが、あらゆる雪質に対応しやすく結果的に合格への近道となります 。
【テクニカル・1級レベル】技術選モデルは本当に必要か?エラーを誘発する「板任せの滑り」からの脱却
エキスパートレベルとされるテクニカルや1級を目指す層において、最も多いエラーが「プライズ検定だから良いものを履こう」とした結果のオーバースペック状態です 。
結論から申し上げると、テクニカルや1級レベルにおいて、技術選の最上位選手が使うようなモデルは必要ありません!
これらの硬い板は、スピードに乗ってタイミングがバチンと噛み合ったときだけは、まるで自分が上手くなったかのように「ギュンと走る感覚」を味わわせてくれます 。しかし、これこそが大きな落とし穴です 。
一度その快感を覚えると、自分で板を支配してコントロールするのではなく、その時の状況やスピードといった運任せの滑り、すなわち「板に乗らされている滑り」に陥っていきます 。
このレベルで推奨されるのは、スラロームのセカンドモデル(エントリーモデル)や、デモ用のトップモデルです 。
クラウンレベルよりもプレートを少し軽め、あるいは柔らかめのセッティングにしておき、足元がしっかりと「たわみやすい」状態を作ることが重要です 。
道具の過剰なサポートに頼るのをやめ、陸上で構築した正しい関節運動によって自分自身で板をたわませる感覚を掴まなければ、この先のクラウン領域へ進むことは厳しくなります 。
【2級レベル】「初心者用・中級者用」という甘い言葉が上達を阻む:アンダースペックが引き起こすフラつき
2級レベルのスキーヤーの多くは、まだ板の性能の違いを正確に体感することが難しいため、ショップの店員や指導者に勧められるがまま「デモ用のセカンドモデル(中級者用とされる軽い板)」を選びがちです 。
ショップ側も、難しい板を売って「重くて滑れなかった」とクレームになるのを避けるため、軽くて扱いやすい無難な板を勧めます 。
たしかに、2級で求められる斜度やスピードであれば、その軽い板でも合格することは可能です 。
しかし、上達という視点で見ると、この「アンダースペック(技量に対して板の性能が低すぎる状態)」は非常に非常にもったいない選択です 。
「軽くて柔らかい板=扱いやすい」というのは大きな誤解です 。
車で例えるならば、アンダースペックの板で滑るということは、軽自動車で高速道路を走るようなものです 。
スピードが上がったりバーンが荒れたりした途端に、足元がフラフラと振動して安定性を失い、恐怖心から余計な力みが生まれてしまいます 。
逆に、ガシッとしたSUVのような適度な重さと硬さがある板(デモ用のトップモデルやスラロームのセカンドモデル)を履いたほうが、外力を板が受け止めてくれるため、滑走中の足元は圧倒的に安定します 。
「私なんかの上級レベルではない者が、トップモデルなんておこがましい」と謙遜して軽い板を履き続ける限り、板のバタつきを抑えるための無駄な「内力(筋力によるねじり込み)」を使い続けることになり、いつまでも外力を利用した滑らかなターン操作(外力ベース)へ移行できません 。
これから先の1級、テクニカルへの上達を見据えるのであれば、2級レベルであっても勇気を持って「デモのトップモデル」以上の、ある程度重量と張りのある板を選択することが正解となります 。
解剖学・物理学から導く「オーバースペックの道具が正解になる」カラクリ
一般的に「オーバースペック」とされる硬く重いスキー板やブーツが正解となる理由は、スキーヤーが自身の筋力(内力)ではなく、重力や遠心力といった「外力」をベースに滑るためです。
外力を適切に処理できる身体操作が備わっていれば、道具の重さや硬さは安定性を生み出す絶対的なアドバンテージへと変わります。
サイドカーブに頼らない身体操作:板の重さと硬さを「安定した外力」に変換するロジック
オーバースペックになるかどうかは、どのような技術要素をベースにして滑っているかによって決まります 。
自分自身の筋力で板を無理やり回す「内力」ベースの滑り(プロペラターンのような動き)をしている場合、当然ながら軽くて短い板の方が動かしやすいです 。
しかし、重力や遠心力、道具の重さといった「外力」を利用して滑る技術の方向性を持っていれば、板にある程度の重さや硬さがあった方が安定し、板が回ってくれやすくなります 。
サイドカーブに頼らずに板のトップを動かせる板操作ができていれば、板が多少重くて硬くても問題なくターンを描くことが可能です 。
スキーブーツのチグハグを解消する:正しくチューンナップされたワールドカップモデルの真価
スキーブーツに関しても、2級レベルのスキーヤーがワールドカップのトップモデルを履くことは、一般的には明らかにオーバースペックで滑れないと考えられています 。
しかし、正しくチューンナップが行われていれば、トップモデルのブーツであっても滑走中に硬さを感じることはありません 。
脱ぎ履きの際に冷えて硬いと感じることはあっても、正しく履いてしまえば問題なく動かせます 。
技術の方向性が外力ベースであり、正しいチューニングという条件が満たされていれば、トップモデルであってもオーバースペックにはなりません 。
スキーブーツの選び方については今回は割愛しますが、興味がある方はこちらの動画シリーズで詳しく解説しているので、ご覧になってみてください。
スキー板以上に衝撃の内容がたくさん出てくるかと思いますので。
一般スキー界の常識(固定観念)と本質的な道具選びの乖離
一般スキー界のイメージと、本質的に重要な情報との間には大きな乖離が存在します 。
例えば、アルペン競技におけるスラロームのセカンドモデルは、本来アルペンを始める人が履く「エントリーモデル」です 。
それにもかかわらず、基礎スキーの1級やテクニカル保持者が「セカンドモデルは難しい」と評価するのは極めて不自然です 。
適切な道具を選んだ結果、周りの仲間や指導者から「難しすぎるのでは」と指摘されたり、分かる人から「いい板を履いている」と言われることが心理的ストレスになるケースもあります 。
しかし、実際の滑りを見れば何の問題もないことは明白であり、メーカーのイメージや周囲の固定観念に惑わされず、自身の技術要素に基づいたモデルチョイスを行うことが重要です 。
メーカーのネームバリューに惑わされないための最終取捨選択
スキー板選びにおいて最も重要なのは「どのメーカー(ブランド)を買うか」ではなく、「どのモデル・スペックを選ぶか」です 。
現代のスキー板は各メーカーともに完成度が極めて高く、ワールドカップレベルの主要ブランドであれば性能面で大外れすることはありません 。
ブランド名への固執を捨て、ご自身の目的や滑りの方向性に合致したモデルを選び、プレートやビンディングのセッティングで「たわみ」の硬さを調整することこそが、最適な道具選びの最終解となります 。
ブランドやデザインで選んでも大外れしない現代スキー板の完成度
現代のスキー板、特にワールドカップなどで実績のある主要メーカーのプロダクトは、非常に高い完成度に達しています 。
そのため、どのメーカーを選んだとしても性能面で致命的な失敗をすることは基本的にありません 。
特に基礎スキーやゲレンデ滑走においては、好みのデザインや気に入ったブランドを基準に選んだとしても、性能不足によって滑りに重大な支障をきたすようなケースはまず存在しません 。
メーカーごとに細かな味付けやフィールの違いはあっても、現代のモデルのベース性能は十分に確保されているため、最終的な見た目のフィーリングやデザインの好みで選択しても何ら問題はありません 。
最も重要なのは「どのメーカーか」ではなく「どのモデル・スペックか」
多くのスキーヤーが「有名ブランドの板を選んでおけば安心だ」という固定観念に囚われがちですが、本質はメーカー名ではなく「モデル・スペックの選択」にあります 。
たとえば、基礎スキー界で絶大な人気と知名度を誇る有名ブランドを選択したとしても、モデル選び(オーバースペックやアンダースペック)を誤ってしまえば、それは自分にとって「良くない板」になってしまいます 。
一方で、ゲレンデで見かける機会が少ないメーカーであっても、自分の技術や滑りの方向に合致した適切なモデルチョイスができていれば、抜群のパフォーマンスを発揮する「良い板」となります 。
ブランドのネームバリューに依存するのではなく、自分が目指す滑り(外力を活かす滑りか、自力で操作する滑りか)や求めている操作性に対して、そのモデルの剛性や構造が適しているかという視点で選ぶことが不可欠です 。
プレートとビンディングのセッティングによる「たわみ」のグラデーション調整法
スキー板の性能や操作感は、板本体のスペックだけで決まるわけではありません。
板の上に装着する「プレート」と「ビンディング」の組み合わせによって、実際の硬さや「たわみやすさ」の印象は大きく変化します 。
たとえ同じ板であっても、足元のセッティングによって以下のように剛性や反発のグラデーションを自由自在に調整することが可能です
• 剛性を高めたい場合
SLのエントリーモデルやマスターズモデルに対し、あえて重く硬めのプレートやビンディングを組み合わせることで、板の張りを強めて足元の安定感を高めることができます 。
• 扱いやすさ・たわみを優先したい場合
少し硬めのモデルであっても、軽めで柔らかいプレートを選択することで、足元の張りを抑えて板を容易に「たわませる」セッティングに仕上げることができます 。
このように、板の本体スペックに加えてプレートやビンディングのセッティングを組み合わせることで、トップモデル寄りの硬さから扱いやすいセッティングまで、自分に最適なグラデーションを作り出すことができます 。
板のモデル名だけで判断するのではなく、足元のセッティング全体で剛性とたわみをコントロールするという視点を持つことが重要です 。
最後に簡単にですが、板選びのポイントをまとめたフローチャートを出しておきますので、板選びの参考にしてくださいね!
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