なぜオフトレでスクワットなど筋トレを行い下半身強化しても、スキー上達に繋がらないのか? 328

 

以前いただいた質問に

 

 

「スキー雑誌で

 下半身の力でピタッと止める

 筋トレの様なものがあったのですが

 こういったトレーニングは

 スキーに効果があるのでしょうか?」

 

 

といった内容のものがありました。

 

 

このご質問にもあるように

スキーを安定して滑る為に

下半身の筋力を鍛えるというのは

オフトレで取り組まれている

基本中の基本です。

 

 

 

スクワットは勿論のこと

ランジと呼ばれる

脚を一歩前に出して

その脚に乗り込みながら

ピタッと止まるトレーニングや

片足立ちでバランスをとるのもそうですね。

 

 

 

 

いつもお伝えしている様に

トレーニングは手段でしかないので

実際行ってみて次のシーズン

滑りが変わったかどうかで

判断してもらうのが確実です。

 

 

 

ただ多くの場合

この様なトレーニングは

筋力がついて疲れづらくはなるものの

滑りのエラーなどは

根本的に変わらないケースが多いです。

 

 

 

なぜトレーニングを通して

陸上動作においては

下半身が安定するのに

滑りには活かされないのでしょうか?

 

 

あなたはその環境が作れているか?

 

その理由はずばり

 

 

その能力を発揮する為の

環境がないから

 

 

 

です!

 

 

 

能力を発揮できる環境?

と言われてもピンと

来ないかもしれません。

 

 

 

例えば、陸上のトレーニングで

どんなに下半身を安定させる

筋肉の使い方を知っても

滑っている時に、

後傾やX脚という状態だったら

その筋肉は発揮されるでしょうか?

 

 

きっとそのエラーを

補うのに使われるだけで

本当の意味で

エラーが直るわけではありません。

 

 

陸上でグッと耐えられている時と同じ様に、

雪上でもグッと耐えられる

環境をまずは作ってあげないと

陸上でのトレーニングの効果が

発揮されないという事です。

 

 

しかしここで勘違いされているのが

 

 

 

陸上でグッと耐える

トレーニングをすれば

雪上でもエラーがなくなり、

グッと耐えられるようになる

という思い込み

 

 

 

です。

 

 

 

もちろんそうなるケースも

あるかもしれませんが

万人がそうだとすれば

トレーニングジムで

鍛えているトレーニーは

スキーのポジションが

みんな良いということになります。

 

 

逆に雪上では

ギュンギュン板に乗れるジュニアが、

陸上でグッと止まる様な

トレーニングを行っても

初めのうちはフニャフニャしてしまう事も

珍しくありません。

 

 

 

ここまでで簡単にですが

陸上で下半身を安定させる

トレーニングをしても

滑りの根本的なエラーが

変わらない理由を

お伝えしました。

 

 

ただスキーで考えると

いまいち分かったようで

分からないケースが多くあります。

 

 

ではもう少し分かりやすい例で

お伝えしますね!

 

 

最優先で取り組むべきは?

 

これまでの話を

簡単にまとめると

その陸上で鍛えた

能力を生かす環境を

雪上で作れなければ

滑りは変わらないということです。

 

 

いつもながら誤解のないように

お伝えしておくと

決して上記の様なトレーニングに

意味がないわけではありません。

 

 

トレーニングはあくまでも手段なので

目的が達成されれば

正解ですし、

目的が達成されなければ

間違いとなるわけです。

 

 

 

さてそれではこれまでの内容を

もう少し身近な例でお伝えしていきます。

 

 

 

スキーだけで考えると

イメージしづらい事も

他の事で考えると

分かりやすいケースは多いです。

 

 

 

その身近な例とは

生涯の健康寿命です。

 

 

介護予防なんて言い方もしますね。

 

 

あまり若い人には

ピンとこない内容かもしれませんが

実は人生において非常に重要である

 

 

 

「いつまでも健康で

 動ける身体」

 

 

 

というテーマにおいても

今回のスキーと同じような

考えからのエラーが起きています。

 

 

 

 

以前私は、

公共機関や施設などで

機能訓練の指導や講演のお仕事を

やらせていただいていたので

実際の現場をよく見てきました。

 

 

 

『いつまでも

健康で動く為に

下半身を鍛える』

 

 

 

というのは

今でも常識として

取り組まれている内容です。

 

 

 

スキーで安定して滑るには

下半身を鍛えるのと

何となく似ていますね(笑)

 

 

そこでまず取り組まれるのが

椅子に座って膝を曲げ伸ばしして

太腿の筋肉を鍛える

という事です。

 

 

 

実際脚の筋肉が鍛えられますから

いつもまでも動ける

丈夫な下半身が手に入りそうですよね。

 

 

 

しかし現実は・・・

 

 

鍛えているのに

膝が痛くて歩けないという人が

かなりの人数います!

 

 

スクワットも同じです。

 

 

毎日回数を決めて

取り組んでいる人でも

次第に立てなくなる人も

多くいました。

 

 

この理由はまさに

これまでにお伝えした様に

 

 

せっかく鍛えた筋肉を

使える環境を

作れていないからです!

 

 

 

いくら脚の筋肉を鍛えても

その筋肉を発揮する為の

重心位置、関節角度、

といった環境がなければ

当然ですが意味がありません

 

 

逆に環境がきちんと作れれば

そこまでトレーニングをしていなくても

スイスイ動ける人もいます。

 

 

高齢になってもスイスイ動ける人は

意外とムキムキの人より

ひょろっとしている人が

多いですし、

ジュニアが筋力のある大人より

グイグイ板をたわませられるのも

納得です。

 

 

 

この様な内容を話しても

一般的には

 

 

 

筋肉を鍛えれば

いいポジションに

(その筋肉を使える環境)

自然になると思われている

 

 

 

という事から

取り組みの方向性は

あまり変わらないケースが殆どです。

(いいポジションなる人はOKなんですが)

 

 

 

ですからこの先も

 

 

 

・スキーで滑りを安定させるには

 まずは下半身強化

 

・いつまでも動ける

 身体でいる為には

 まずは下半身強化

 

 

 

の流れは変わらないと思います。

(絶対に間違えという訳ではないですし)

 

 

ただトレーニングは行っているのに

滑りが変わらない場合は、

 

 

 

「出す筋力を鍛える方が先か?

 出せる環境をつくる方が先か?」

 

 

 

という部分を

一度考えてみる事をお伝えします。

 

 

 

因みに雪上で必要な

筋力が出せる環境とは何か?

 

 

 

もしかしたら

既にお気づきかもしれませんが

ずばり

 

 

 

【外向傾】

 

 

 

ですよね!

 

 

この【外向傾】という環境を

正しく作れるスキーヤーが

非常に少ないです。

 

 

その為いくら鍛えても

その能力を発揮できずに

毎年滑りが変わらないという状態に

陥ってしまいますので

気を付けてくださいね!