なぜ!?スキー上達の為にはトップ選手のトレーニング(練習法)を真似してはいけない3つの理由 376
前回の記事で
オフトレを雪上モードに
移行する方法として
外力の利用やブーツを履いた動作など
ご紹介しました。
特に陸上で常に
私たちにかかる外力である
重力を利用したトレーニングは
前回の山野井選手の動画を
見ていただけると
分かりやすかったと思います。
まだご覧になっていない方は
一度見ていただくと
イメージしやすいです。
スキーのオフトレが実際の雪上の滑りに繋がる特別なトレーニング方法とは? 375
SKIER`sLABの発信では オフトレは常にスキーに 繋がるものが大事だと よくお伝えしていますが オフシーズン機関の中で オフトレも雪上モードに 移行していく意識が 非常に…
・階段を登るのではなくなぜ降るのか?
・なぜつま先、母指球は
段差の前に出すのか?
・なぜステップは反復横跳びの様に
速い動きではなく
上下の大きな動きなのか?
全てに理由があり
よく考えてあるメニューです。
ただ注意してほしいことがあります。
それは
この動画のメニューを
真似しないでください!!
という事です。
「えっ!?
早速このトレーニングを
行ってみようと思っていたのに!!」
と思われたかもしれませんが
今回ご紹介した動画は
あくまでも視覚的に
分かりやすいので
ご紹介したのであって
一般スキーヤーの方が
行うトレーニングとして
お勧めしているわけではありません。
その理由は大きく3つあるのですが
今回それをお伝えします。
身体を壊す原因! 理由① 前提を満たせてない!
まず1つ目の理由は
①重力を利用する前提を
満たせていないから
です!
「重力を利用する前提って何?」
と思われたかもしれません。
それは
【重力を利用して
発生した力を
受け止める能力】
です。
例えば
階段を登るのと降るのとでは
どちらが辛いでしょうか?
これは意見が分かれるところです。
心肺機能的には
登る方が疲れます。
登りの方が
ゼイゼイ、ハァハァしますよね?
でも降りの方が
後から筋肉痛になるという話を
聞いたことがないでしょうか?
降りは、移動する事に
エネルギーはあまりいりませんが、
そのエネルギーを受け止める時に
非常に負荷がかかります。
ですから心肺機能としては
辛くないのですが、
筋力としては負荷が強いんです。
普段は階段を登る方が辛くても、
きっと筋肉痛の時は
登りの方が楽に感じるはずです。
この落下を受け止める能力は
筋力だけの話ではなく、
受け止め方、
【動作の質】や【フォーム】も
含まれます。
つまりよほど鍛錬して
質の高い動きができていなければ
この重力を利用したトレーニングは
出来ないという事です。
その前提が満たされないまま
やってしまうと
間違った負荷がかかり、
身体を痛める原因になります。
因みにサイドステップの
トレーニングも同じで、
山野井選手は床からの反力を
上手につかって跳んでいます。
【反力を使う】という表現に対して
いまいちピンとこないかもしれませんが、
硬い床の上を飛んでいるにもかかわらず、
トランポリンをとんているように
バネがある動作をしているのが
分かりますか?
これが反力を上手に使っている
特徴なんですが、
陸上選手などはこの反力の使い方が
非常に上手です。
多分山野井選手も陸上競技経験が
何かしらありそうな動きをしてますね。
(違っていたらすいませんw)
この反力を使うのも
【動作の質】が求められるので
一般スキーヤー方がマネしても
筋力を使って
無理やりジャンプをしてしまいます。
こういった様々な
前提条件があってこその
重力を利用したトレーニングだと
いうわけです。
もし一般スキーヤーの方や
ジュニア選手がマネするなら
まずはその前提を満たすための
トレーニングをしなければいけません。
真似してはいけない理由の1つ目が
お分かりいただけたでしょうか?
それでは次に2つ目の理由です!
基礎体力よりも基礎技術 理由② 雪上技術がないから!
それは
《2》雪上技術がないから
です。
“?”が浮かんだでしょうか?
一般的にトレーニングは
『雪上技術向上の為に
行われるもの』
という認識があります。
しかし実を言うと
トレーニングには
大きく2つの種類があるんです。
それが
【1】技術習得の為のもの
【2】習得した技術をベースに
磨きをかけるもの
です。
【1】は、これまで出来なかった事を
出来るようになる為の
トレーニングです。
一方【2】は、
今ある技術に対して
さらに磨きをかけたり、
負荷に耐えられるように
能力を上げていくものです。
山野井選手が行っているトレーニングは
どちらといえば【2】に
属するトレーニングです。
雪上で板に乗る技術があるからこそ、
陸上でもその感覚にリンクする
動作ができます。
一方雪上技術がないまま
このトレーニングを行っても
結局このトレーニングが上手くなるだけで
スキー上達に繋がらないケースが
ほとんどだと思います。
つまり
・このトレーニングを行う
↓
・雪上技術が向上
ではなく
・雪上技術がある
↓
・このトレーニングができる
という順序が適切です。
つまり一般的に考えられている
常識とは
『順序が逆』
という事ですね!
日本ではトレーニングの事を
練習と言い変えることが出来ますが
練習にも2種類あります。
これは以前に動画や音声でも
紹介しましたが、
・トレーニング
と
・プラクティス
です。
この違いが分からない方は
こちらの動画からどうぞ
違いが分かるかと思います。
トップ選手たちは
雪上技術があり、
それを強化することが目的なので
トレーニングが重要です。
自転車に例えるなら
もうすでに乗れるところから、
たくさん漕いで、
疲れないようになる、
速く漕げるようになる
といった感じですね!
先ほどお伝えした
【2】習得した技術をベースに
磨きをかけるもの
がそれにあたり、
まさに山野井選手の動画も
トレーニングです!
その一方で
雪上技術の向上を目指すなら
プラクティスを行わなければ
いけません。
自転車に乗れないから
乗れるようになる練習ですね!
この様に
トップ選手たちのトレーニングは
雪上技術がある前提で
組まれているものが多いので
真似してもなかなか上達しませんし、
むしろ雪上技術がないと
正しくできないものが多いです。
これが真似してはいけない
2つ目の理由である
② 雪上技術がないから
ですね!
それでは最後の3つ目を
お伝えしていきます。
やはりスキー上達の肝は順序!! 理由③ 最優先でやるべき事ではないから
正直1つ目、2つ目の理由が分かれば
導き出される内容です。
それが
③ 最優先でやるべきことではないから
です!
当たり前といえば
当たり前ですよね!
理由①の
重力を利用する前提を
満たせていないのであれば
まずは前提を満たす練習が優先ですし、
理由②の
雪上技術がないと
できないトレーニングなのであれば
まずは雪上技術を向上する為の
練習が優先です。
ただここで難しいのが
最優先でやるべき事が何か?
導き出すのが
非常に難しいという事です。
例えば先ほど例に挙げた
自転車でいうと、
自転車に乗れるなら
自転車を漕ぐことを強化する
(トレーニング)
自転車に乗れないなら
自転車に乗る練習
(プラクティス)
ですよね?
ではこれをあなたの
スキーに置き換えてみてください。
スキー技術はあるから
それを強化するトレーニングかといえば
技術がなくて向上したいから
悩んでいますよね?
ではスキー技術がないから
まずはひたすら滑る事なのか?
といえば、毎シーズン滑っていても
上達しないから悩んでいるわけですし、
スキー自体は滑れるはずです。
つまり上記の理論は
トップアスリートのような
上のレベルか、
初心者の様なスタートのレベルだと
分かりやすいのですが、
その中間層にとっては
極論すぎて何をしたらいいのか
結局分からなくなってしまいます。
だからこそ何を行っても
なかなかスキー技術向上に繋がらず、
毎シーズン同じ事を言われてしまうわけです!
最優先でやるべきことを導き出すのは
大変ですよね…
…
…
…
で、終わってしまっては
元も子もないと思いますので
上達に悩むスキーヤーの方が
最優先で行うべき内容を
導き出す考え方を
次回の記事から
お伝えしますね!
その前に、
今回お話ししてきた
山野井選手の動画にあるような
トップ選手のトレーニングを
真似してはいけない3つの理由
①重力を利用する前提を
満たせていないから
②雪上技術がないから
③最優先でやるべきことではないから
は整理しておいてくださいね!