スキー上達にトレーニングは必要ない?一般スキーヤーが最優先すべきプラクティスの導き方 377
前回までの記事で
『トップアスリートのトレーニングを
真似してはいけない理由』
とお伝えしました。
なぜ!?スキー上達の為にはトップ選手のトレーニング(練習法)を真似してはいけない3つの理由 376
前回の記事で オフトレを雪上モードに 移行する方法として 外力の利用やブーツを履いた動作など ご紹介しました。 特に陸上で常に 私たちにかかる外力であ…
簡単に例えるなら
「まだ自転車に乗れてないのに
ペダルを漕ぐ筋トレをしても
あまり意味がないですよ!」
といったイメージですね。
トップ選手たちは
ベースとなる技術を土台に
そこに磨きをかけるために
トレーニングをしているわけです。
しかしここで問題が出てきます。
それでが前回の最後で
お伝えした内容ですね。
自転車に乗れるなら
自転車を漕ぐことを強化する
(トレーニング)
自転車に乗れないなら
自転車に乗る練習
(プラクティス)
といった考えを
スキーに置き換えた場合、
あなたは何を最優先でやるべきか
見えていますか?
といった部分です。
多くの場合、
スキー技術はあるから
それを強化するトレーニングをしたい!
というよりは、
技術がなくて上達しないから
悩んでいますよね?
ではスキー技術がないから
最優先はひたすら滑る事なのか?
といえば、毎シーズン滑っていても
上達しないから悩んでいるわけですし、
そもそもスキー自体は滑れるはずです。
土台となる技術があるわけではないけど
全くないからとりあえず
たくさん滑って
技術を向上させる段階でもない。
自転車の例で出したような、
自転車乗れないのに
トレーニングしてるよりも
まずは自転車に乗る練習をしよう!
といった極論は当てはまらないわけです。
前置きが長くなりましたが
ここまでの流れが
非常に重要なので
整理させていただきました。
それではいよいよ本題です。
スキー上達の最優先を導き出す方法とは?
最優先で取り組むべき課題を
見つけ出す方法は
…
…
…
細分化
です!
ただ細分化と言っても
いまいちピンとこないので
もう少し詳しく言うと
プラクティスレベルまで
深堀すること
ですね!
これでもまだ分からないですよね(汗)
これも自転車で
例えてみましょう。
これまでは
自転車に乗れない
↓
脚の筋トレするよりも
(トレーニング)
まずは乗れるように実践練習
(プラクティス)
といった極論でしたが、
ここをもっと細分化していきます。
分かりやすいのが
立漕ぎ
です。
専門用語ではダンシングと
呼ばれていますが
(座って漕ぐのをシッティング)
きっとあなたも
上り坂のきつい時や
スピードを出すときに
自転車で立漕ぎをするかと思います。
では自転車にまだ乗りたてで
立漕ぎが出来ない人がいた場合、
立漕ぎなんかできなくていいから
筋トレをして脚力を鍛えるのと
(トレーニング)
立漕ぎという技術を覚えるの
(プラクティス)
どちらが優先順位が先ですか?
これはあなたが通ってきた道を
思い返せば分かりますよね?
立漕ぎという技術を習得してから
さらに高みを目指すために
筋トレで脚力を鍛えた方が
効率的です。
このように、ただ
自転車乗れない
↓
自転車乗れる
という極論から
自転車乗れない
↓
自転車に座って乗れる
↓
自転車に立って乗れる
という細分化をどんどんしていく事で
出来ない事が明確化されて
それを出来るようになる為の
プラクティス、(やるべき取り組み)
が見えてきます。
ではスキーだと
どのような細分化が出来るでしょうか?
スキー技術を細分化してプラクティスを導き出すと…
ここまでで
お伝えしたように
上達が頭打ちになり
スキー上達に悩んでいる
スキーヤーの多くは
細分化が出来ていない為
トレーニングしか選択肢がない状態です。
例えば、
・パラレルターンで滑る事が出来る
というレベルから
・板をたわませて走らせる
といったレベルに
進化していきたいスキーヤーがいたとします。
(上達を目指している人は
ほぼ当てはまるのでは?)
スキー検定でいうなら
1級合格が目標というところから
テクニカル、クラウンと
進んでいくイメージですね。
その際、先ほどお伝えしたような
パラレルターンが出来る
↓
板をたわませて走らせる
という考え方だと
どうなると思いますか?
多くの場合上達しません!!
もちろんあなたが
毎シーズン滑り込んで
上達しているなら問題ありません。
しかし多くの場合は
滑っても滑っても
滑りが変わらないので
悩んでいるわけです。
この場合、思いつく代表的な選択肢は
・もっと滑走量を増やす
・トレーニングをして体を鍛える
の2つです。
しかしこれらは両方とも
新しい技術の習得
(プラクティス)
ではなく
これまでの動作の強化
(トレーニング)に
属します。
「滑走量を増やすことも
トレーニングですか?」
という疑問も出たかもしれませんが
“毎シーズン滑っているのに
滑りが変わらず悩んでいる”
といった場合はそうなります。
ただ初心者の様に
滑れば滑るほど上手くなる段階は
新しい動作を習得しているわけなので
プラクティスですね。
このように途中から
プラクティスだったものが
トレーニングに切り替わるから
ややこしいわけです。
さて話を戻して
パラレルターンが出来る
↓
板をたわませて走らせる
という考えでは
・もっと滑走量を増やす
・トレーニングをして体を鍛える
という2択しか出てこなくても、
細分化してみると
違う方向性が見えてきます。
例えば板をたわませるには
角付けと荷重という要素に
分ける事が出来ます。
ではその角付けの方に
注目した場合、
数ある角付け方法の中で
股関節での角付けが
出来なかったとします。
このように
細分化していくと
『股関節を動かして角付けする』
というプラクティスが必要な
新たな課題が出てくるわけです。
自転車に乗れない
↓
自転車に乗れる
の間に"立漕ぎ"という
新たなプラクティスが
あらわれたのと同じですね!
このような形で
今ある課題を細分化することによって、
トレーニングではなく、
新たに習得することが必要な
プラクティス課題が
見えてくるわけです。
ここまではなんとなく
伝わったでしょうか?
しかし、このような話をすると
必ず出てくるのが
「じゃトレーニングは必要ないの?」
という疑問です。
スキーの“トレーニング”はいつ必要なのか?
さてここまでの話を
一言で言ってしまえば
トップ選手のトレーニングを
真似するよりも
自分の最優先課題を炙り出し、
プラクティスに
取り組んだ方が良い!
という事ですね。
では今回のテーマの締めである
「じゃあトレーニングは必要ないの?」
という部分について
お伝えしていきます。
これまでの話を聞いても
「それでもトレーニングは必要なのでは?」
と感じているかもしれません。
もちろんトレーニングは
決して必要ないわけではありません。
むしろプラクティスをするより
トレーニングのする方が
優先順位が高い場合もあります。
その判断基準は
その人の課題によって決まります。
例えば、ワールドカップ選手が
皆一様に筋トレに励むのは
スタートからゴールまで
なるべく同じ質を保ったまま
滑り切りたいという課題があるからです。
当たり前の話ですが
あれだけのスピードで
ターンを繰り返せば
身体に疲労は溜まります。
さらに長いスパンで見ても
毎日の様に雪上で
滑走トレーニングもして
さらに連戦続きで各国を飛び回る、
これらに耐える為には
トレーニングは必須といっていいでしょう。
もちろんそういった中にも
これまで出来なかった
技術課題が出来るようになる為に
プラクティスを必要とする課題も
あるかと思います。
スキーに限らず
よくスポーツ選手が
「身体を1から見直しました」
という言葉の中には
新しい身体の使い方の習得、
つまりプラクティスが
含まれているわけです。
以前メルマガで
何度も紹介したのですが
100m9秒台を出した桐生選手が
ハンマー投げ室伏広治さんと
行っていた練習は
まさにトレーニングというよりは
プラクティスです!
ただお尻の筋肉を
鍛えるだけでいいなら
あんな特殊な練習は
必要ないので。
話しが反れたので
本題に戻しますが、
「トレーニングは必要なのか?」
「トップ選手たちは
トレーニングをしているけど?」
といった疑問に対しての回答は、
トップ選手たちの課題の優先順位に
トレーニングが必要なものが
含まれているからです。
ですからもしあなたが、
すでに技術的には
問題なく上達していて、
後はそのパフォーマンスを
コンスタントに出すことが大事!
という段階なら
トレーニングが最優先に
来ることもあるという事です。
逆に言ってしまえば、
その段階でもないのに
トップ選手がトレーニングしているから
自分も同じようにトレーニングをしても
当然最優先課題が違うので
上達には繋がらないという事です。
今回はトップ選手のトレーニングをテーマに
真似してはいけない理由、
一般スキーヤーがやるべき内容について
簡単にですがお伝えしてきました。
ここでいつもながら
分かってほしいのが、
トレーニング自体よりも
どのトレーニングをするか
選択する【考え方】が
何より重要だという事です。
ここがズレていると
トレーニングメニューも悪くない、
トレーニング量も確保できてる、
でも結果に繋がらない…
という苦しい状態になるので
気を付けてくださいね!