スキー上達のために『上下動』は必要か?224
あなたはスキーをしている時に
上下動を意識していますか?
スキーにおける上下動の是非に関しては
様々な意見があるとおもいます。
動画でもいくつか配信しているので
興味がある方はご覧ください。
さて今回は動画よりもより深く
上下動を考えていきたいと思います。
あなたがもし上下動に悩んでいるのであれば
ぜひ参考にしてみてください。
まず上下動に関して
いろいろな捉え方をしている人が
いるかと思います。
・上下動をしようと意識している方
・上下動をしないように意識している方
・上下動を意識していないのにしてしまう方
・上下動を意識しているのにできない方
・そもそも上下動について考えたこともない方
・・・
などなどありますが、
上下動については指導者の中でも
捉え方がわかれている部分です。
ここでまずお伝えしておきたい事があります。
それは
『上下動は選択肢の一つに過ぎない!!』
ということです。
上下動はあくまでもほかの技術テクニックと同じで
使う場面もあれば、使わない場面もあります。
上下動は良い、悪い、と判断するのは
じゃんけんでグーを出すのは良い、悪いと
言っているようなものです。
その時々で変わります。
スキーの滑りはどうしても
ある一つの型を正解としてとらえがちです。
今日の雪質、斜度、セット、ではいい滑りでも
明日にはそれはシチュエーションに合わない
間違った滑りになることが十分にあり得ます。
まずはこの前提条件をしっかり頭に入れて
続きを読んでください。
上下動のメリット
そもそもなぜ上下動をする必要が
あるのでしょうか?
このメリットをきちんと理解しておかなければ
やみくもに上下動をするだけで、
あまり滑りのパフォーマンスにつながらない
ケースがあります。
1.板に力を加える力が生まれる
上下動をするということは
当然重心が上下に動きます。
スキーは板に力を加えて
たわませることが重要ですので、
高い位置から力を加えた方が
より強く板をたわますことが出来ます。
動画でも説明していますが、
トランポリンでより高く跳ねるためには
より高い位置から降りた方が跳ねるのと同じです。
これはとてもイメージしやすいもので、
上下動を意識しているスキーヤーの多くは
これが狙いだと思います。
2.動き(重心の移動)が分かる
あなたは指導を受けている際
『動きが止まっている』
『流れがない』
といった内容を言われたこと、
または言われている人を見たことはありませんか?
カービングスキーが主流になって以来、
板を傾ければ簡単に曲がれるようになったので
自らがあまり動かず、
板の上にただ乗っているだけで滑っている
スキーヤーが増えています。
もちろんゲレンデを普通に滑ってくる分には
問題ありませんが、
アルペンスキーでタイムアップを目指す方や
バッジテストでクラウンを取りたい方などは
自ら動く技術も求められます。
しかし単にもっと動きてきてくれ
と言われても、どう動いていいかわからない
スキーヤーの方が大半ではないでしょうか?
基本的にスキーのたわみや切り返しに
とても重要なのが
重心の位置
です。
スキーは常に動き続けているので
重心も常に動き続ける事が重要です。
しかし普段から重心の移動を感じないまま
滑っているといざ動かそうと思っても
タイミングや量、身体のどこを動かせば
正しい重心移動になるのか分かりません。
多少タイミングや動きを間違えてでも
上下動を意識することで
自然と重心が動くことを覚えられます。
動きがないならまずは、
失敗してもいいから動かしてみる!
上下動はこの選択肢の一つです。
はじめから無駄のない動きを目指すより、
粗削りでも大胆に動くことを身につけてから
少しずつその動きを洗練させていく方が
正しい動きが見につく近道です。
上下動のデメリット
勿論上下動にも
メリットばかりではありません。
当然デメリットも存在します。
このデメリットに注目して
上下動をするなという
指導が入ることがほとんどです。
1.板への圧が抜ける
よく上下動をすると
『上体が上に抜けている!』
という指導が入ります。
これは要約すると、
板に力を加えたいタイミングで
上体がうえに上がることにより
板への力が逃げてしまっている!
という事です。
基本的にカービングスキーは
板が傾けば曲がるのですが、
板をたわませて走らせる
質の高いターンをするためには
板へ力を加える必要があります。
上下動を意識すると
その一番重要な板へ力を加えるタイミングが
なくなってしまうスキーヤーの方が
かなり多いので注意が必要です。
2.切り替えが遅れる
上下動をすると重心の移動は
一度上がってから下がる軌道を通ります。
低い姿勢でそのままダイレクトに
切り替える時よりも
どうしても遅れてしまう傾向にあります。
イメージがしずらい方は動画をご覧ください。
切り替えがおくれると
・後傾になる
・次のターン前半がきれいに作れない
・板に乗れない
・ラインから遅れてポールに入れない
・思い描くターン孤を描けない
など連鎖的に様々なエラーが生まれます。
上下動を使用する場合は
斜度、雪質は勿論のこと、
それに加えて
アルペンスキーなら
ポールのセット
基礎スキーなら描きたいターン孤
などを考える必要があるという事です。
ジュニアスキーヤーが身につけて起きたい上下動
これまで上下動の代表的な
メリット、デメリットを紹介しました。
最後にジュニアスキーヤーの為に重要な
上下動について書いていきます。
なぜジュニアスキーヤーという括りにしたかというと
ジュニアスキーヤーにとって
上下動は非常に重要な運動要素だからです。
なぜジュニアスキーヤーに上下動が必要なのか?
最近はジュニアと大人が一緒になって
練習をしているチームも多く見かけますが、
少し気になるのは
ジュニアと大人が全く同じ技術内容を求められている
という事です。
ジュニアといっても小学生~高校生
男女差や成長段階など
細かく分ける必要がありますが
大人が求められている技術内容は
ジュニアにはまだ体力(体格、筋力)的に
できないものがよくあります。
体重も軽く、筋力もないジュニアは
板に力を加えるためには
上下動など、大きく動いて
力を生み出す必要があるからです。
しかし大人と同じ技術要素を
小さなうちから求められてしまうため
その時は良くても後々伸びてこない
という状態になりかねません。
因みにその場だけの結果を求めるのであれば
上下動はしない方がいい場合があります。
そこら辺の内容は上下動と
また少し離れて言ってしまうので
別の機会に詳しくお伝えしたいと思います。
実は上下動だけでは完結しない・・・
何となくジュニアスキーヤーは
体格や筋力などを考えた時に
上下動をして力を生み出す必要があるんだな
とイメージできたのではないでしょうか?
もちろん大人である一般スキーヤーにも
同じことが言えます。
しかし実際上下動は
まだまだ推奨されません。
その理由は単純です。
上下動をしても板へ加える力が
増えないパターンが多いからです。
それなら上下動はデメリットが多いので
やらない方がいいという指導が増えても
おかしくありません。
なぜ上下動をしているのに
求めているメリットが増えないのか?
それは
上下動だけでは本当に求めていることが
達成できないから!!
です。
上下動は大事ですが
上下動だけではダメなんです。
最初にお伝えしたように
選択肢の一つなので。
上下動のメリットを
最大限に引き出すための要素とは?
また別の機会にお伝えしたいと思います。