効率的にスキーが上達するには『わかる』を理解する 277
日常生活では勿論のこと
スキーにおいて
何か今まで悩んでいた課題が解決した時や
新しい技術に対して何をすればいいのか
方向性が見えたときなどに
『わかる』という表現を使うと思います。
あなたも普段から
何気なくこの『わかる』という言葉を
使っていますよね。
ただ実際に『わかる』といっても
その種類や段階など様々な
『わかる』
実はこのがあることに
お気づきでしょうか?
さらにはその『わかる』という事を
きちんと理解することが、
スキー上達にも密接にかかわってきます。
なぜこの『わかる』を
ひも解くことが
スキー上達に繋がるのか?
その真意をお伝えしていく前に
まずは『わかる』の種類や段階について
今回は説明していきたいと思います。
『わかる』には種類がある
一言で『わかる』と言っても
『わかる』という言葉は
『分かる』『解る』『判る』と
表記が違うケースがあります。
『解る』は理解、解答、了解などに
使われますが、
物事の内容や理論がはっきりする事です。
(意味がわかる、英語がわかる)
一方『判る』は、判断、判決、判明
という様に事実がはっきりする
(身元がわかる、所有者がわかる)
という時に用いります。
例えば『答えがわかる』も
筋道を立てて考えて
その結果わかった場合は
『解る』ですが
事実がわかっただけでしたら
『判る』という事です。
余談ですが私の父親は
理系の高校教師だったのですが、
高校生時代に数学の問題を質問する度、
いちいちなぜこの公式が導き出されて、
どうしてその公式を用いるのかまで
説明されて面倒くさかったのを
覚えています(笑)
私としてはその問いに用いる公式や
その結果の答えが『判る』で良いのに
(それでテストは点が取れるので)
父親としては『解る』を求めていた
という事ですね。
その当時は面倒だと思っていましたが
今となっては『判る』よりも
『解る』事の方が面白いと感じています。
話をもどしますが
一般的には別にここまで『わかる』を
区別しなくても、
どちらも『分かる』と表記すれば
問題ありません。
ですから
あまり気にする必要はないのですが、
指導者側に立つならば
受講生がどちらの『わかる』を求めているかは
意識した方が良いですね。
『判って』から『解る』人もいれば
『解る』から『判る』に繋げる人もいます。
実は今後の社会はAIの進化によって
この『判る』と『解る』の求められ方や
優先度が大きく変わってきそうなのですが
どんどん話が反れて長くなりそうなので
とりあえず今回はやめておきます。
スキー上達には『わかる』の段階を意識する
さて『わかる』の種類について
お伝えしてきました。
トップ選手の滑りを見て
しっかり外脚に乗っているのが
『判る』のと『解る』では
違うという事ですね。
ただそこら辺の細かい使い分けよりも
段階の方が重要だと感じており
今回はその部分についてお伝えします。
あなたは『わかった』という言葉を
どういった時に使うでしょうか?
「どういった時も何も、
なにかわかった時でしょ!」
と思うかもしれません。
ただ実を言うとこの『わかる』は
様々な段階でも
同じように用いられています、
例えば、私が
「スキーを上達には股関節が重要です!
その理由は・・・」
と説明していくとします。
するとだいたい以下の様な流れで
『わかる』の段階が変わっていきます。
1.なるほどとうなずいて聞いている
↓
2.「わかりました!」とこちらに伝える
↓
3.こちらの言った内容を繰り返せる
↓
4.こちらの意図を
違う言葉(自分なりの感覚、例え)で
表現できる
↓
5.こちらの意図が実際に行動で出来る
↓
6.その行動が習慣化される
多くの場合『1.のうなずいている段階』で
わかる、もしくは相手がわかったと
思いがちです。
しかし本当の意味での『わかる』は
『6.習慣化』されてこそです。
今回例に出した
股関節の重要性ですと、
だいたい最初の説明で
『1.うなずく』から
『2.わかったと伝える』
まではいきます。
そして
「なるほど股関節が使えないと
滑る時にこういった
デメリットがあるんですね」
と『3.繰り返して言える』まで
いけると最初の段階では
かなり進んでいます。
その後理解が進むと
「この股関節の動きって
トップ選手が言っている
あの事ですよね?」
「つまりこういう事が
股関節を使うってことですよね?」
と
『4.自分なりの言葉や感覚、例えで表現できる』
段階に進みます。
そしてトレーニングしていく事で
『5.実際に行っている内容ができる』
となり、
最終的には何も意識なくても
股関節が使える状態
『6.習慣化』
となりこれで本当の意味での
『わかった』となるわけです。
もちろんジュニアの選手や
感覚的なタイプの方は
何だかよく分からないけど
股関節は使えるという
いきなり5、6になるケースもあります。
もちろん自分自身が上達するだけなら
それでOKなのですが、
指導やアドバイスする側にまわった時に
上手く相手に伝えられなかったり、
(名選手、名コーチにあらずという事ですね。)
スランプに陥った時に
戻せなくなるなどの弊害はあります。
先日メルマガでお伝えした
元アルペン選手星瑞枝さんの話もそうですが
どんなスポーツでも
トップ選手がよく
『いままでは感覚でやってきたけど
体や技術の仕組みがわかったことで
よりパフォーマンスがあがった』
というのはまさに
5、6段階から戻る事によって
『わかる』の質が高まったという事ですね。
まずはこのような『わかる』の段階を
しっかり理解しておいてください。