どの山を登っている?スキーが上達する未来があるスキーヤーとないスキーヤーの違い 361
目次
スキー上達の技術体系を考える前に前提を確認しよう!
前回の記事で
なぜパラレルになった途端に
ターン前半からの外向傾を
練習しないのか?
というテーマをお伝えしました。
スキー上達に超重要なのになぜ?技術要素から見るとおかしい日本スキー界 360
前回の記事で ターン前半からの外向傾が土台で ターン前半の長い軸は発展系 という考え方を ・身体構造 ・ターンスピード &nb…
この記事の最後に
登場したのが
登っている山(技術体系)が
違っている
というものです。
もしかしたら
この様に言われても
いまいちピンと来ないかもしれません。
しかしこの部分は
もしあなたがスキー上達に
悩んでいるのだとしたら
スキー人生を左右するくらい
重要な問題です。
今回はこの
登っている山(技術体系)
についてお伝えしていきます。
あなたのスキー上達におけるゴール(目的、目標)はなんですか?
さてまず考えたいのが
あなたのゴール(目的、目標)
です!
よく私はこの目標を
登山で例えるのですが、
ここで注意しなければならないのが
【標高】と【登る山】の2要素
を考える事です。
標高の高さは
簡単に言ってしまえば
技術レベルです。
例えば基礎スキーでお伝えすると
3500m 技術選
3000m クラウン
2500m テクニカル
2000m 1級
1500m 2級
としましょう。
(高さは適当です(笑))
例えばスキー検定1級合格する事が
ゴールであるなら
標高2000mまで登る事がゴールと
言い換えられます。
どの高さまで登るかは
スキーヤーそれぞれの自由です!
さてこのどこまでの登るか?
という【標高】の部分に
【登る山】の要素が
絡んでくることが
分かるでしょうか?
因みに日本で一番高い山は
富士山の3776m、
二番目は北岳で3193mです。
つまり
技術選(3500m)レベルを目指すには
富士山に登るしかないわけです。
逆に1級レベル(2000m)を目指すのであれば
富士山でなくても良いわけです。
当たり前の事ですが
実はこの部分が
非常に重要なポイントです!
あなたの登っている山(技術体系)に未来はありますか?
先ほどもお伝えした様に
標高が技術レベルとした場合、
富士山に登っている途中の
標高2000mにいるのと
標高が2100mしかない山の
標高2000mにいるのとでは
何が違うでしょうか?
どちらも同じ標高にいる、
つまり1級合格という
技術レベルは変わりません。
違いがあるとすれば、
先があるのか?
行き止まりか?
といった部分です。
ここが見落としがちなんですが
とっても重要です!
検定1級合格を目指している人でも
・技術選に出るなんて
夢にも思ってないけど
そこに繋がっている
成長過程の段階の1級合格
・1級には何とか受かるけど
その先の技術向上は難しい1級合格
この2人は同じ技術レベルを
目指していても
未来が違います。
しかし1級合格が
最終ゴールでそれ以上を
望まないのであれば、
どちらでも構わないので
どっちが正解不正解ではありません!
この図の場合は
どちらも1級合格、
つまり標高2000mまで
登れているわけですから。
極論を言ってしまえば
エラー動作とされている
シェーレンやX脚で滑っていても
「パラレルで滑れることが
私のゴールだからいいんです!」
という人にとっては
わざわざその修正を
する必要はありませんよね?
このように
【登る山】の要素とは
上達の伸びしろが違う
【技術体系】
のイメージです。
ここで今一度考えて欲しいのが
あなたががどれぐらいの標高に登りたい
(どれぐらい上手くなりたい)
というのも大事ですが
そこにどの山を登りたい?
(どの技術体系で上達していきたい?)
という部分です。
ここをまずはっきりさせておいた方が
この後の話がスムーズに入ってきます。
ちなみにオーストリアの様な
海外のスキー強豪国の多くは
アルペンスキーのメソッドを
そのまま体系化して
一般スキーヤーの指導にも
落とし込んでいます。
つまり頂上まで行きたい人も
(ワールドカップで優勝したい!)
標高1500mくらいまで上がって
きれいな景色を見たい人も
(ゲレンデを気持ちよく滑れれば満足!)
同じエベレストという山には
登っているという事です。
(同じ技術体系で練習している)
なぜこのような小難しい話をしたのかは
この後を読み進めていけば
分かってきます。
スキーが上達しない原因は根本的に登っている山が違う?
これまでの内容で
お分かりいただけた様に
標高2000mまでしかない山を
登り続けても
当然ですがその高さまでしか行けません。
つまり自分では高さのある山を
登っているつもりでも、
毎シーズン同じ注意ばかりで
滑りが変わらない状況の場合は
『もっと高く登りたいのに
今登っている山は
それ以上の高さが無い状況』
という事です。
そうなれば当然ですが
違う山を登る必要があります。
今回の内容を
メールマガジンで
配信した時の感想の中に
「どこまで上手くなりたいかは
人それぞれでも、
選手を目指す人と一般的な
技術体系が別物であるとは驚きでした。」
「土台となる基本技術は、
トップ選手や一般スキーヤー関係なく
同じであり上達に繋がる内容が
指導されるべきだと思います」
といった感想が多くありました。
もちろんどのレベルを目指しても
どのような滑りが理想でも自由ですが
幹となる技術体系は
トップ技術に繋がりのあるもの
(日本の山で言う富士山)
であって欲しいですよね。
因みに
標高が低い山を登る事が
決して悪い事ではありません!
問題なのは
まだまだ上があると思って
登っている山が
実は先のない行き止まりだという事に
気づけてないという事です。
そしてこの気づけていない事によって
様々な弊害が生まれます。
自分の登っている山が分かっていないスキーヤーが陥いる事とは?
では自分が登っている山が
分かっていないスキーヤーに
生まれる弊害とは何か
お伝えしていきます。
もっとも大きい弊害は
正しい情報が選択できない
という事です。
例えば、日本でもっとも登山客が多い山は
高尾山ですが、
(日本と言うより世界一らしいです)
そこに登るのと富士山に登るのでは
持っていくものも違いますよね?
関東エリアの人は
ご存知かもしれませんが
高尾山は標高599mで
途中までケーブルカーやリフトもありますし、
メイン通りはお店もいっぱいあるので
あまりお勧めはしませんが
手ぶらでも登れて
サンダルやヒールの人もいます。
一方富士山は
どこまで登れるかは別として
手ぶらでサンダル履いて登る人は
まずいませんよね?
つまり私が
「登山するなら
まずはきちんと登山靴を
準備する事が大事です」
(スキー上達するには
●●の技術が必要です)
とこの後お伝えしても、
富士山に登る人には
必要であっても
高尾山に登る人には
必要なくても問題ない
可能性があります。
この前提がきちんと
整理されていないので
スキー技術論の話になると
建設的な話し合いならまだしも
必ず口論の様な状態になり
YouTubeの動画には
誹謗中傷が飛び交うわけです(笑)
言ってしまえば
標高2000mくらいまでしかない
山(技術体系)に登りながら
富士山をみて
「あそこまで高く登るには
どうやったら・・・」
と悩んでいたり、
その山に登っている人同士で
意見をぶつけ合っているケースが
殆どです。
その一方で富士山に登っている人たちは、
「あの選手はあのルートで登るのね!」
「あの人は今何合目にいるのね!」
といった感じで
真逆の意見が出てきても
否定もなければ
意見のぶつかりもありません。
強いて言えば
「自分はこのルートで登るのが好き!」
「あのルートで登るのは好きではない!」
といったスタイルの好みで
意見が分かれるくらいです。
でもどちらも
否定しているわけではないですよね!
ですからスキー上達情報を
手に入れる際に
「でも俺そんなことしなくても
ある程度上手くなってきたけど?」
感じた場合は
今回のどの山に登る前提なのか?
といった点を思い出して下さね。
どうやって自分が登っている山を判断するのか?
トップ選手達の様になるには
(トップ選手達と同じ山を登るには)
幼少期からスキーをしていなければ無理と
思われているケースもあります。
よくトップ選手や指導者、お仲間で
幼少期からスキーを
行ってきた人を見て
「やっぱ小さいころから
スキーをやってきた人は
違うよねぇ!」
という事を聞くケースがありますよね!
確かに経験値でいったら
相当違います!
ただそれ以上に
大人になってはじめた人との違いは
登っている山、
つまり上達してきた技術体系が
違うケースが殆どです。
ここまでの話を通して
気になるのは
『はたして自分の登っている山は
どうなのか?』
という部分ではないでしょうか?
実際メールマガジンで
配信した際も
感想の多くは
上記の内容でした。
もちろんその方の
身体の状態や滑りを見てみないと
確実な事は言えませんが
ご自身でも判断しやすい考え方
の部分をお伝えします。
まず多くのスキーヤーは
プルークボーゲンからシュテムくらいまでは
同じように上手くなりますよね?
(その高さまでは登ってこられる)
ここではまだ
同じ高さに登れているので
どんな山に登っているのか
いまいち分かりません。
そしてパラレルになった時に
大きく分かれます。
それが前回の記事で
お伝えした内容にある
ターン前半からの外向傾が
できるかどうかですね。
まず自分が登っている山が
どんな山か確認する為の
最初のチェックポイントが
この部分です!
ここで
「じゃあターン前半からの
外向傾が出来ないから
まずはここを練習すれば
本来の山に登れるってことですね!」
と思ってしまいがちですが、
少し違います。
ここがすごく大事なポイントで
よく考えて欲しいのですが
プルークボーゲン、シュテムターンでは
ターン前半からの外向傾を
作れたにもかかわらず、
パラレルになると作れない山
(技術体系)という事は
実はプルークボーゲンや
シュテムの段階から
違う山に登ってきている
という事です。
本当に繋がりがある山なら
そのままの流れで
出来るようになっていくはずですよね?
現にジュニア選手達は
プルークボーゲンからパラレルに
繋がる流れを通っていきます。
(もちろん通れない選手もいます)
繋がりがないと
パラレルになった途端に
棒立ちのまま内側に傾く事でしか
ターン前半が作れなくなりますので。
このような事をお伝えすると
必ず出てくるのが
「でもトップデモや指導者の方は
ターン前半からの強い外向傾は
NGと言っているケースが
多いのですが、
あの方たちも
違う山を登ってきているんでしょうか?」
といった疑問です。
さてここで以前にもお伝えした
内容を思い出してください。
彼らは
『出来ない』のでしょうか?
それとも
『出来るけどやらない』のでしょうか?
いまいちトップ選手達が登ってきている山が
イメージできないかと思いますので
次回の記事でジュニアレーサー達の
成長をベースに解説していきますね!