スキーの左右差が無くならない落とし穴!一般的に指導で語られないスキー板との距離 #393

前回の記事で

 

 

・板との距離感とは?

 

・なぜ板との距離感が重要なのか?

 

 

といった部分を解説してきました。

 

意識しているスキーヤーが少ない!? コブ、整地、新雪、どんな環境でも上手にスキーを滑る為に重要な板との距離感とは? #392

    今回の記事は整地やコブ、新雪など ありとあらゆる環境を滑るにあたってとても重要でありながら あまり触れられていない要素について、解説していこうかな…

 

 

特に前回の

________________

ターン後半の距離感と
次のターン前半の距離感に繋がりがある

________________

という考え方は非常に重要です。

 

 

 

なぜなら、この考えがあるかどうかで
スキー上達の考え方が大きく変わるからです。

 

 

 

今回はその理由について深堀していきましょう!

 

 

 

スキーワールドカップ選手でもズレている左右の距離感

 

さて以前に日本女子のエース安藤 麻 選手と
アルペンスキー絶対的女王ミカエラ・シフリン選手の
フリースキー比較動画を
ご紹介したのを覚えているでしょうか?

 

こちらですね!

 

 

安藤選手とシフリン選手の違いは何か?
正直解説無しにパッと見て気づけたら凄いです!
当たり前ですがどちらも世界トップレベルの滑りなので!

 

その中でもどこに違いがあるのか?
それは安藤選手のターンの左右差を見ると分かります。

 

 

映像を撮っている位置が、真下より若干ズレているので
カメラアングルの影響もありますが、
わずかに右外足と左外足の時に違いがあります。

 

 

コメント欄でも英語ですが

 

 

・左右差がある

・(左ターン)右外足の方が良く見える

 

・左外足に苦労している

 

といった感じで簡単に言うと

 

 

右外足(左ターン)〇

左外足(右ターン)×

 

 

といった感想が多いです。

 

 

バツといってもあくまでも安藤選手の左右差であって
レベル的には当然どちらも◎ですが(笑)

 

 

いまいち分からない場合の為に、
シフリン選手と並べて、さらに左外足は反転した
比較画像をのせておきますのでご覧ください。

若干ですが安藤選手の方が
右外足と反転した左外足の画像では
フォームが違いますよね?

 

 

もし上記の画像でもいまいちよく分からない…
となってしまっていても今は大丈夫です!
この後わかってくるので!

 

 

スキー界で間違えている左右差の直し方

 

さてここまでの考察をすると、
Youtubeのコメント欄にもあるように

 

 

「左が悪いから左を直しましょう!」

 

といった方向性に考えます。

 

 

なおす方法としては
雪上エクササイズを提唱している人もいれば
脚の長さや柔軟性といった、身体の左右差など様々です。

 

 

ただ共通して言っているのは
上記に書いたように

 

『左を直そう!』

 

です。

 

 

 

さてここであなたはある可能性に気づいたでしょうか?

 

 

確かに左のフォームがおかしいから
左を直すというのは当たり前の話です。

 

 

でも前回の記事でお伝えした様に
1つ前のターン後半と次のターンは
繋がっていましたよね?

 

 

つまりこの左外足のターンは
右外足のターン後半の影響を受けているという事です。

 

 

 

では右外足ターン後半の画像を見てみましょう!

 

 

 

ターン後半の始めはほぼ同じですが、
安藤選手の方がだんだんと外足との距離が
縮んでいくのが(外足に近づいていく)分かるでしょうか?

 

 

その結果、次のターン(左外足ターン)に入るフラットのところで、
既に左外足との距離感が違います。

 

 

こちら分かりやすいバージョンです。
外足の踵と内足の踵に補助線を引きました。
頭の位置がどこにあるか分かりやすいかと思います。

 

もしかしたらほんの少しの差に見えるかもしれませんが
1,2㎜身体の位置が違うだけで、その後のターンの影響は大きいです。

 

 

つまりこれくらい目で見て分かるレベルという事は
かなりの影響があるという事ですね。

 

 

さてこの部分をみて、本当に左足のフォームは
左足だけが原因でしょうか?

 

 

右足は褒められていて左足は悪い物扱いですが
今回のメルマガを通してみると
意外と右足の後半から切り替えにかけてが原因では?
という見方もできますよね?

 

 

 

左右差が直ならないスキーヤーが持つCの字ターンイメージ

 

ここまでの内容から、左外足のエラーは
シンプルに左外足が原因なのか?
それとも他の悪い影響が左外足に結果として出ているのか?
という大きく2つの考え方があるとお伝えしてきました。

 

 

例えば私の様なトレーナーの業界でも
身体の痛みや上手く使えていない部分を見つけると
そこの修正をまずは考えてしまいます。

 

 

もしあなたがスキーをしていて
脚がパンパンに疲れてしまう事に悩みを抱えていたら、
トレーニングジムでスポーツトレーナーの方から

 

 

「下半身が弱いのが原因ですね!
 スキーは下半身が大事なのでスクワットで
 筋力強化をしましょう!」

 

 

と言われても、何も違和感がないはずです。

 

 

今回のスキーで言ったら

 

「左外足のくの字が弱いから左外足を直そう!」

 

といった感じですね!

 

 

しかし実際は他の部分が邪魔をしていて、
そのツケを払わされているケースは
(右外足の後半のせいで左外足のエラー)
珍しくありません。

 

 

ですから部分を見るのと同時に、
全体の連動性を見る必要もあります。

 

 

お気付きかもしれませんが
それによってオフトレで行うべきトレーニングも
大きく変わりますので。

 

 

・左外足に乗れないから
 左外足関係のトレーニングをする人

 

 

・右外足の後半の影響があるから
 左外足に乗れないので
 右外足関係のトレーニングをする人

 

ともにゴールは『左外足に乗る』ですが
その道のりはまるで違います。

 

 

この様に繋がりが分かると、
ターン修正をするための方向性が大きく変わるのですが、
左右差で悩む殆どのスキーヤーの方は、
目で見て分かる悪い方ばかり取り組んでいます。

 

 

 

これは言い換えるならターンを
『Cの字ターン感覚』で捉えているとも言えます。

 

Cの字ターンとは

右外足ターン

左外足ターン

右外足ターン



といった具合に、Cの字を繋げていくイメージの事です。

 

 

そして今回の

 

『ひとつ前のターン後半の影響が、
 次のターンに出てくる』

 

という考え方は

 

 

右外足から左外足への切り替え

左外足から右外足への切り替え

右外足から左外足への切り替え

といった
『Sの字ターン感覚』です!

 

 

 

もしこの『Cの字ターン』『Sの字ターン』
のイメージが分からない場合は、
以前の記事でまとめましたのでこちらをご覧ください。

 

基礎スキーヤーが知っておきたいS字ターンの考え方 111

あなたはターンをイメージする時に どのようなターン弧をイメージしますか?       多分ほとんどのスキーヤーの方は Cの字のターン弧の連続をイメージする…

 

S字ターンの考え方は知っているけど、
実践に落とし込んでスキー上達につなげるのは、
なかなか難しいという事ですね。

 

 

S字ターンという抽象的な考え方から、
具体的にS字ターンのどの部分が
自分のスキー上達に繋がるのか
見つけ出さなければいけないので。

 

 

今回お伝えした『板との距離感』
S字ターンという考え方を構成する要素の1つですね!

 

そしてここまで板の距離感おきながら
最後にどうしても伝えておかなければならないことがあります。

 

 

それが今まさにお伝えした様に

________________

板の距離感はあくまでも
ターンを構成する要素の1つに過ぎない

________________

 

という事です。

 

 

「同じ事2回言わなくても大丈夫ですよ(笑)」

 

と思われたかもしれませんが
とても大事なので敢えて言わせていただきました。

 

 

なぜなら今回の板の距離感の内容を聞いて

 

 

「なるほど!板の距離感には
 メリットデメリットがあり、
 それを修正すれば左右差が直るんだ!」

 

 

と思われたかもしれないからです。

 

 

確かにそうなんですが、
そのメリット、デメリットになる
スキーヤーの方はほんの一部分に過ぎません。

 

 

どちらを選んでもデメリットといった
『ダブルデメリット状態』の方が
むしろ可能性は高いです。

 

 

このメリットを受けられるのか
ダブルデメリットになってしまうのかを分ける
重要な要素は何か?
最後に解説します。

 

 

 

スキーの左右差を直す以前の根本的な問題とは?

 

さてここで

「板との距離感のメリット、デメリットって
   なんでしたっけ?」

 

と思われたかもしれませんので復習しておきます!

 

ターン後半のシーンで

________________
【谷に寄る(外足との距離が短い)】

 

メリット:荷重が増える
     次のターン角付けしやすい 

 

デメリット:角付けが緩む  
      次のターンに内倒しやすい
________________

________________
【山に離れる(外足との距離が長い)】

 

メリット:角付けが増える
     次のターン荷重しやすい 

 

デメリット:荷重が弱くなる  
      次のターンに角付けしづらい
________________

 

ここまでは大丈夫ですね?
ダメそうなら前回の記事で復習してみてください(笑)

 

 

しかし残念ながら多くのスキーヤーの方は
上記の様なメリットが受けられないケースが殆どです。

 

 

例えばよくあるターン後半の内倒は
言い換えれば角付けがしやすく、
次のターン前半は荷重しやすいというメリットもあります。

 

しかし実際には、ターン後半に角付けが弱いと言われたり、
次のターン前半も軽くなって荷重がかけられない
というエラーがよく出ます!

 

 

こういったダブルデメリット状態(メリットを受けられない)になる
スキーヤーにはある共通点があります。

 

 

それが


 

 

 

ヒップアウトサイドです!

 

 

 

はいここでも出てくる
厄介なエラーがヒップアウトサイドですね。

 

ヒップアウトサイドが分からない場合は
こちらの動画で
解説していますのでどうぞ

 

大げさではなく
本当にスキー人生を左右するのが
このヒップアウトサイドなんです。

 

 

今回の板との距離感の話も
実は

 

ある程度ヒップインサイドで滑れている

 

という前提条件のもとに成り立つ話です。

 

 

 

安藤選手も板との距離感に左右差はあるものの
どちらのターンもヒップインサイドで滑っています。

 

 

 

この様に散々板との距離感の重要性をお伝えしてきましたが、
結局たどり着くのはこの部分という事です。

 

 

やっぱり順序は大事ですね!

 

このヒップインサイドとヒップアウトサイドは
なんどもしつこいくらい出てきますが
それくらいとても重要な内容ですので
まだよくわからない場合はぜひ先ほどご紹介した動画でご確認くださいね!