スキー上達の分岐点!スキー界が持つターン前半問題とは? 356
目次
スキー界で意見が分かれる2つのターン前半
あなたはスキーのターン前半の
滑走イメージを
どのように持っているでしょうか?
以前youtubeで
2つのターン前半についての
分析動画を配信しました。
2のターン前半とは
軸の長いターン前半
と日本では腰外れと言われる
外向傾が強いターン前半
です。
今回のメルマガは
この部分を深堀しますので
まだご覧になっていない方は
まず動画をご覧になって
この2つのターン前半を
イメージをしておいてください。
冒頭でもお伝えした様に
一般的に日本のスキー界では
黄色いウェアの
股関節での角付けベースの滑りは
・腰外れ
・外向傾強すぎ
・ターン前半は長い軸でなければダメ!
とされています。
しかし実をいうと、
ターン前半に長い軸を
とろうとしているから
上達が出来ないスキーヤーが
多発している!!
という問題があります。
なぜターン前半に長い軸を
とろうとすると
上達が阻まれるのか?
またターン前半の外向傾は
なぜ悪者扱いされて
練習されないのか?
これは日本のスキー界において
かなり根深い問題なので
今回の記事できちんと整理していって下さい!
ターン後半はどちらも同じ?
まず整理しておきたいのが、
このターン前半の長い軸と外向傾は
全く違う動作なのか?
という点です。
本当に違う動作であるなら
どちらかが合っていて
どちらかが間違っているという意見も
分かります。
しかしここで不思議な現象が起きます。
ターン後半のシルエットを
ご覧ください。
ターン前半を長い軸で滑ろうが、
外向傾で滑ろうが
ターン後半は同じになります!
つまりタイミングや、
各関節の動きの量など
細かい部分は違えど
本質的に全く違う動きをしているわけでは
ないという事です。
全く違う動きをしているのであれば
後半に同じような動きに
収まる事はないですよね?
しかしながら
実際コメントにもあるように
黄色いウェアの
股関節ベースの滑りをすると
周りから色々と言われることは
もちろんの事
指導者からもダメ出しが入るケースが
ほとんどです。
ですから当然
「この2つの滑りが
本質的には同じなわけないじゃん!」
といった考えは
スキー界にはあまりなく
一般的な考えとしては
まだまだ
【ターン前半からの外向傾は悪】
が続きそうです。
なぜターン前半の外向傾は悪なのか?
ではそもそもターン前半の外向傾は
なぜ悪いといわれているのか?
という部分に切り込んでいきましょう!
もしかしたらあなたも
ターン前半からの外向傾は
いかがなものか?
と思われているかもしれません。
(それで全然OKですからね!)
また周りや指導者の方から
指摘をされていて
悩んでいるケースも
少なくないかと思います。
ただ意外と考えてみると
ターン前半腰が外れていると
“指摘”されただけで、
そもそもなぜ悪いのか?
具体的にどうすれば直るのか?
といった“指導”をされた事が
ないケースも多いです。
以前メールマガジンの読者さん向けに
「なぜターン前半の外向傾は
悪いと言われていると思いますか?」
といったアンケートを行いました。。
予想通り、
ご自身の考えや
指導者から言われた内容として
多かったのが
・腰外れになると
お尻が落ちて後傾になる
・腰が内側に入り内倒になり
外脚に乗れない
・X脚になる
・腰が外れてシェーレンになっていると
言われます。
・板の真上に腰が無いから
しっかりと板に乗れない
・外脚に強く乗りすぎてしまって
内脚を使えず、両足バランスよく
荷重できない
などなどですね。
これらはどれも
ターン前半に外向傾をとる事で
いわゆる腰外れになり、
それによって起こるエラーです。
さてまず確認して欲しい
重要なポイントがあります。
それは
ターン前半から外向傾をとると
絶対にそうなるか?
という部分です。
ここが本当に重要で
絶対にそうなる動作であるなら
確かにターン前半の外向傾は
悪い動作と言えるでしょう。
しかし、冒頭でご紹介した
動画を見ていただくと
お分かりいただけると思います。
ターン前半から
股関節を使った外向傾をとった
黄色のウェアの方の滑りでも
上記で出て来るような
・内倒
・X脚
・シェーレン
・外脚に乗れない
というのは
出ていないですよね?
しかし、実際に
ターン前半から外向傾をとると
上記に上げた癖が出るケースが出る
スキーヤーの方が多いです。
このようにターン前半から
外向傾をとっても
エラーが出ない人もいれば
エラーが出てしまう人もいます。
つまり、
ターン前半からの外向傾が
エラーなのではなく、
外向傾のやり方にエラーがある!
という事です。
ここが本当に重要なポイントです!!
この2つは同じようで
まるで違う意味があります。
前者はターン前半の外向傾=悪に
対して
後者はやり方によっては悪になる
というニュアンスですので。
ほんのちょっとの事なんですが、
指導者から
「ターン前半外向傾が強すぎる!
腰が外れている!」
と言われるか
「ターン前半から
外向傾を意識する事自体は
悪くないんだけど……」
といった前置きの言葉が一言入るかで
その後の方向性は大きく変わります。
前者は、ターン前半の外向=悪
後者は、やり方や状況による
という事ですから。
これまでに紹介したように
長い軸だろうが
ターン前半から外向傾が強かろうが
最後はしっかり外脚に乗る為に
外向傾になるというゴールは
同じです。
因みに私の動画の
ターン前半の外向傾は
まだ若干抑えている方で
海外の映像では
これでもかというくらい
ターン前半から外向傾を
とる練習をする動画が
たくさんあります。
そんな中でもとっておきの
ターン前半の鬼外向傾です(笑)
引用:bergfexチャンネル
こんなにやらなくても
いいですけどね(笑)
でもこれだけターン前半から
外向傾をとっても
内倒もシェーレンもX脚もありません。
外腰を前に出してと
日本ではよく言われますが、
この滑りは恐ろしいくらい
外腰が後ろに引けています(笑)
ただこの動画の最後に
内側の手を雪面に付けてするターンの時には
軸の長い滑りになっていますよね。
ここまでで
ターン前半の強い外向傾をとる事が
間違いなのではなく、
とる事によって出やすいエラーが
間違いであるという事が
お分かりいただけたでしょうか?
ここを混同しているスキーヤーの方は
非常に多いです。
さてここでちょっと不思議な事に
お気づきでしょうか?
ターン前半に強い外向傾をとる事による
デメリットはその動作そのものが悪いと
勘違いさせるほどに広まっているのに対し
ターン前半の長い軸をとる事の
デメリットはどうでしょうか?
当然ですがターン前半の長い軸にも
メリットデメリットがあります。
しかしながら
「ターン前半に長い軸はとってはダメだよ!」
と言われたことはありますか?
多分ないと思います(笑)
なぜターン前半の外向傾は
デメリットが強調されて
ターン前半の長い軸のデメリットは
一般的に言われていないのか?
次はこの部分を解説していきます。
なぜターン前半の長い軸のデメリットは注目されないのか?
これまでの話で
ターン前半に外向傾をとるデメリットは
その動作そのものが悪いと
勘違いさせるほどに広まっている事が
おわかりいただけたと思います。
ではターン前半の長い軸をとる事の
デメリットはどうでしょうか?
「ターン前半の長い軸はNGだ!」
と言われた経験が
あなたはありますか?
またそのような情報や意見を
聞いたことがありますか?
多分ないですよね(笑)
ターン前半の長い軸が正解で
ターン前半の外向傾は間違い
という日本スキー界からすれば
当たり前の結果です。
でも当然ながら
ターン前半の長い軸を
とる事による出やすいエラーがある
デメリットもあります。
ターン前半の長い軸をとると
出やすいエラーとは何か?
それはyoutubeでも
配信しましたが、
ターン後半に外向傾がとれず
外脚に乗れないというエラーです。
動画内でお伝えしている様に
ターン前半に長い軸を意識して
内側に傾いていくと
そのまま山側(斜面上)に傾いてしまい
谷側(斜面下)にある
外脚に乗れないエラーが出やすくなる
デメリットがあります。
もちろんこの動画は
ターン後半に注目していますが
ターン前半に内倒するケースも
よくありますね。
このデメリットの影響を受けている
スキーヤーは本当に多いです。
しかし、この様なデメリットが
ターン前半の長い軸にはありつつも
なぜかターン前半の長い軸=悪いという
混同は起きません。
ターン前半の内倒は
そのまま内倒していると指摘され
ターン後半の内倒は
ターン後半しっかり外脚に乗れてない
と指摘されます。
なぜターン前半の外向傾は
その動作が間違いと認識され
ターン前半の長い軸は
エラー動作と
認識されないのでしょうか?
あなたにはわかりますか?
スキー技術選の滑りをゴールに設定する弊害とは?
これまで話を
ざっくりまとめると
・ターン前半からの外向傾も
ターン前半の長い軸も
どちらにもデメリットがある
・しかしターン前半からの外向傾は
動作そのものがエラーだと混同され
ターン前半の長い軸は
混同されるどころか
そのデメリットにすら
あまり着目されてない
といった内容でした。
「ターン前半外向傾が強いから
エラー動作が出る!」
という指摘は受けても
「ターン前半長い軸をとるから
エラー動作が出る!」
と言われた経験はないかと思います。
ではなぜターン前半の長い軸は
エラー動作と混同されないばかりか
デメリットにもあまり着目されないのか?
この内容も以前メールマガジンで
アンケートを取ったのですが
最も多かったものをまとめると
日本のスキー技術のベースとなる
スキー検定や指導要綱が
基礎スキー、技術選ベースだから
といった内容のものでした。
確かに基礎スキーと呼ばれる文化は
日本独自のものであり
(最近は韓国とかにも広まっていますよね!)
その最高峰が全日本技術選手権、
通称【技術選】ですね!
アルペンやスキージャンプ、
ノルディックなどの
いわゆる競技種目とされるものは
SAJの競技本部が統括しているのに対し、
技術選は教育本部が開催していることから
スキー指導に強い影響があるのは
事実かと思います。
それゆえ技術選で求められる滑りが
そのままスキー検定や
スクールの指導に反映されるため
技術選で表現されない滑りは
NG動作であるという
考えが浸透しているというのが
日本スキー界の現状ですね。
確かに先ほど紹介した
海外インストラクターの動画の様な
ターン前半で恐ろしいくらい
外向傾をとって滑ってくる選手は
見ませんよね(笑)
ここまでお伝えすると
技術選をはじめとした
基礎スキーという文化が
ターン前半は長い軸が正しくて
ターン前半からの外向傾は
間違えていると考える原因
の様に思えます。
もちろんその影響は
無いとは言えませんが
本当に全て技術選のせいなのか?
という部分についても
考える事は重要です。
そこをここから深堀すると
また長くなってしまうので
次回の記事でお伝えしていこうと思います。
まずは、今回お伝えしたかった
・ターン前半からの外向傾は
悪いとされているけど
その理由は正しく動作ができなかった時のエラーや
そのエラーが出やすいという
デメリットに注目されているだけ
・ターン前半の長い軸も
エラーやデメリットが
同じようにある
・しかしターン前半からの外向傾は
動作そのものがエラーだと混同され
ターン前半の長い軸は
混同されるどころか
そのデメリットにすら
あまり着目されてない
ここら辺が整理出来ていれば
問題ありません。
それでは次回の記事を
お楽しみに!