そもそもなぜ腰高のポジションをとるのか? 219

前回に引き続き
『腰高のポジション』
について書いていきます。
 
前回はそもそも腰高のポジションとはなにか?
について書かせてもらいました。
 
ただ単純に高ければいいというわけではなく、
 
 
・足首が角度がある程度固定される
 
・雪面状況に対応するために
 関節は伸ばし切らない
 
・力が伝わる場所に足裏がしっかりついている
 
 
 
といった前提条件を満たす必要があります。
 
 
 
詳しくは前回の記事をご覧ください。
腰高のポジションがどのようなものか
分かったところで今回は、
 
『なぜ腰高のポジションを
 とらなければいけないのか?』
 
について書いていきます。
 
 
 
あなたがもし腰高のポジションを
意識しているとしたら
その理由はなぜですか?
ただよいといわれているから
形だけ行っているのと、
きちんと理由を理解して行っているのとでは
同じ動きをしていても
動きの質が違ってきます。
 
今回は
『板により強い力を加えてたわませたい』
 
ということを目的にしているという
前提条件のうえで
なぜ腰高のポジションが良いのか
その理由を2つ紹介します。
 
 
 
まず1つ目の理由は
『位置エネルギーを利用できる』
ということです。
 
 
位置エネルギーなんて書くと
難しく感じるかもしれませんが、
要は高い位置から力を加えたほうが
より強い力を加えることができる
ということです。
 
 
よくトランポリンを例にして説明されますが
より高く飛ぶためにはより高い位置から
飛び降りた方が力がくわえられますよね?
逆に低い位置から飛ぶには
筋力が必要になってきます。
 
このことから単純にかんがえて
高い位置からの方が力が加えられるので
腰高のポジションが推奨されます。
この理由はイメージしやすいと思います。
 
 
2つ目の理由は
 
『脚の筋力を発揮しやすい』
 
ということです。
 
 
人間には筋力を一番発揮しやすい
関節角度があります。
正しくは関節の角度というよりは
筋肉の長さです。
関節の角度は筋肉の長さで決まるので。
 
 
筋肉が伸び縮みする事は
イメージできるでしょうか?
 
力こぶは筋肉が縮んだ結果として
ボコッと盛り上がるわけです。
実はこの筋肉はどの長さでも
同じ力を発揮するわけではありません。
 
筋肉には力を発揮するために
一番いい筋節の長さがあります。
 
 
これを「至適筋節長」といいます。
 
 
筋節長というのは、
筋肉(筋繊維)の長さと同じ意味ですので、
筋肉が力を出すのに一番いい長さである
 
という意味です。
 
 
こんな風に書いていくと
難しく感じてしまう方もいると思うので、
分かりやすい例を出します。
誰かをおんぶすときどんな姿勢が楽か
イメージしてみて
(もしくは実際試してみて)下さい。
 
きっと中腰のような低い姿勢より
脚を伸ばした高い姿勢のほうが
楽ではないですか?
 
楽ということは
筋力を発揮しやすいという証拠です。
 
 
つまり足が長い姿勢、
(膝と股関節が伸びた姿勢)
の方が筋力を発揮できるので
当然板にパワーを加えられる
ということです。
 
 
まさに腰高のポジションをとった時の
脚の状態です。
 
アルペンワールドカップ選手の
滑っている写真をいると
どの選手もみな外脚が伸びていますよね?
 
これは足が長い姿勢のほうが
力が出やすいことを知っているからです。
脚の筋力が出やすい状態で
ターンに入っていくためにも
腰高のポジションを作って
最初から足の長い状態を作っておこう
ということです。
 
 
このようにその動作がいいと推奨されるのには
必ず理由があります。
 
その理由をきちんと理解することは
スキー上達において非常に重要ですが、
それ以前に、指導や雑誌などで情報を得たときに
なぜそれをやるんだろう?
と『なんで?』と思うことが重要です。
 
多くのスキーヤーの方は
指導者や雑誌の情報はすべて正しいと思い
鵜呑みにしてしまいがちです。
 
決してウソを教えられてる
というわけではありませんが、
指導者自身が感覚的な判断で
理論的に理解していない場合や
『この条件では・・・』
といった前提条件が裏に隠れているケースが
あるので、気を付けてください。
 
さてここまで読んでいただけば、
『腰高のポジションいいじゃん!!』
と思うはずですが、
日本人スキーヤーのほとんどは
腰高のポジションで滑っていませんね?
 
またそういった指導も入る機会は
少ないと思います。
 
それはなぜでしょうか?
 
腰高のポジションが浸透しない理由は
次回にしたいと思います。
 
今回のテーマとは反対に
もしあなたが腰高はなく
低い姿勢を意識しているとしたら
『なぜ低い姿勢をとらなければならないのか?』
を考えてくださいね。