前後だけじゃない!スキーで後傾で考えられていない『盲点』とは? 348
スキーというスポーツは
板という足場が
どんどん進んで行ってしまう為、
後傾ポジションになりやすいのは
言うまでもありませんよね。
サッカー、野球、テニス、
ゴルフ、バスケ、卓球
などなど・・・
数あるスポーツでも
あまり「後傾ポジション」に
悩んでいるというフレーズは
あまり表立って聞かないかと思います。
(もちろん他のスポーツも
ポジションの要素は重要ですが)
この多くのスキーヤーを悩ませる
後傾ポジションですが、
なかなか意識しても
直らないケースがほとんどです。
その理由の一つに
後傾ポジションで考えられていない
盲点があります。
今回の記事では
・その盲点は何か?
・またその内容を自分で
考えたことがあるか?
といった点を
イメージして読み進めてみて下さい。
後傾の話をする前に…
さてそもそもあなたにとって
後傾ポジションとは
どういう状態でしょうか?
スキーをしたことない人から
「後傾ポジションってどういう事?」
と聞かれたと思って
頭でイメージしてもらえると
分かりやすいです。
多くの場合、
「身体が後ろに遅れてしまう事だよ!」
といった内容を
伝えるかと思います。
正に後ろに傾いている状態なので
後傾ですよね!
この考え方は
大正解なのですが、
だからこそ盲点が存在します。
それが
左右の部分
です。
「えっ?前傾後傾って
前後の話だから
左右の話は
また別問題ではないですか?」
と感じられたかもしれません。
では前傾後傾を
谷側、山側
に置き換えて
考えていきましょう。
その前に山と谷を
少し整理しておきますね!
(意外と混乱するので)
谷側は斜面の下側
山側は斜面の上側
です。
当たり前ですが、
斜面の下側に谷があるし
斜面の上側に山があるので。
ただややこしいのが、
ターン前半を谷回り
といい
ターン後半を山回り
という点です。
さっきの理屈で言ったら
ターン前半は斜面の上側なので
山側であり
ターンの後半はターン前半よりも
谷側になります。
しかしターン前半は
谷側に向かっていく為
谷回りと表現しています。
一方ターン後半は
谷側に行かないように
山側に切りあがっていく為
山回りと表現されています。
つまりそのターンが
行われている場所ではなく
そのターンが向かう先で
表現されているという事です。
因みにこれは
右ターン、左ターンも同じですね。
右外脚側のターンは、
自分にとっては斜面の右側で
行う行為なので
右ターンとイメージしたくなりますが、
進行方向は左側に進むことになる為
左ターンとよびますし
その逆も同じです。
これも向かう方向で表現されていますよね。
向かう先と実際今行っている場所が
逆なのでややこしいという事です。
谷側と山側を説明で
脱線してしまい
長くなってしまいましたが
この谷側と山側を
きちんと整理しておいて欲しいのは
これからの話にとても重要だからです。
なぜならこの先の話で
「前傾と後傾はそれぞれ
谷側と山側どちらで表現しますか?」
という内容が
カギとなってくるからです。
後継ポジションの判断基準を変えよう!
さて、後傾ポジションの盲点を
整理する為に重要となる
谷側と山側の整理を
まずお伝えしました。
・谷側は斜面の下
・山側は斜面の上
とここまではシンプルなんですが、
山側で行うターン前半は谷回りと言い
谷側で行うターン後半を山回りと言うのが
スキー界のややこしいところですよね。
(右外脚が左ターンなのと同じです)
今回はややこしくないように
谷回り、山回りという表現は使いませんので
谷側=斜面の下
山側=斜面の上
という設定を頭に入れて置いてください。
先ほど
「前傾と後傾はそれぞれ
谷側と山側どちらで表現しますか?」
といった質問をしましたが
あなたの答えは
どうだったでしょうか?
きっと多くの場合
・前傾は谷側への傾き
・後傾は山側への傾き
といったイメージかと思います。
板がどんどん谷側に
落ちていくのについていけずに
後傾になるので。
分かりづらければ直滑降を
思い浮かべれば
簡単かと思います。
前傾=谷側
後傾=山側
ですよね!
ではここで考えて欲しい
内容があります。
もし後ろ向きに滑走している場合は
どうでしょうか?
フリースタイルスキーなどで
よく行われていますが、
この場合は
前傾が板のテールによる
後傾が板のトップによる
という事になります。
簡単に言ってしまえば
お尻が落ちているという状態が
前傾になる!
ということです。
言われれば当たり前ですが、
この点がきちんと
コントロール出来ていない為
滑走中にその場でクルクル回る事が
できないスキーヤーは
少なくありません。
(たまに練習でもありますよね)
そしてここからが本題です!
なぜこのようなややこしい話をしたのか?
その理由は既にお気づきかもしれませんが、
お尻が落ちるといった
板に対しての
フォームとしての後傾自体が
問題なのではなく、
谷側に落ちていく板に
ついていけずに
山側に取り残されるという
板と自分の位置の
関係性が問題
という事に
気付いて欲しいからです。
お尻が落ちているフォームでも
後ろ向きに滑っているなら
前傾フォームなんです。
この事をふまえると
見えてくるのが
左右の存在です。
多くの場合、
脳内ではフォールライン(斜面の下)を
向いている状態が前提で
(いわゆる直滑降)
板に遅れると後傾(山側に取り残される)
といったイメージかと思います。
まさに前後ですね。
これまでの話の内容も
そうでしたね。
しかしスキーは
ずっと直滑降しているわけではなく
ターンをしていますよね?
当たり前ですが
斜滑降の状況があるわけです。
この斜滑降の時にも
もちろん前傾後傾の概念は
存在しますが、
谷側、山側で考えると
左右の話も入ってくるのが
イメージできるでしょうか?
例えば右脚が斜面の下、
左脚が斜面の上として
横向きに立っている場合、
谷側は右、山側は左になりますよね?
この時本人のとしては
左右の感覚ですが
これまでの話からすると
右足側が前傾
左足側が後傾
となるわけです!
色々と話がややこしくなってきましたが、
まとめると、
・板は谷側に落ちていく為
一般的なイメージは
前傾できずに後傾になると
山側に残される
(前傾→谷側 後傾→山側)
・しかし横向きになると
板の向きと谷側、山側が
完全に一致しない為、
板に対しての前傾、後傾だけでなく
谷側、山側に対する左右の動きが出てくる
という事です。
山側に取り残されるのは
後傾だけの話ではないのが
何となくイメージ出来ていたでしょうか?
左右で見る前傾、後傾
これまでの話で
一般的にスキー界では
後傾は板に対して
前後でしか考えられてないが
山側に取り残されることも含めると
横の要素が入ってくることを
お伝えしてきました。
簡単にいってしまえば、
「落下できずに遅れるのは
前後だけの話じゃないよね!」
という事です。
斜滑降の時は
谷側山側は左右になりますよね。
さていよいよ核心です!
例えば前につんのめるぐらい
前傾をとっていたとします。
(板に対して前後の関係性)
その際、板が斜面下フォールラインを
向いている時は
板に遅れずについていけます。
しかし、
横の要素にエラーがあれば
斜滑降に入ると
前にいっているけど
山側に残ってしまう
状況になります。
これは
板の前後に対しては
遅れていないけど
谷と山の関係性から見れば
落下方向(谷)に行けずに
遅れている
ということになりますよね。
画像で見ると分かりやすいですが
ターン前半のような
内側に長い軸で傾いたままだと
ターン後半は後傾になり、
谷側に上体を傾ける
いわゆる外傾をとることが
前傾なります
このことから左右の動きをみると
外傾=ポジション前傾
が見えてきますよね!
しかし、タイトルにもあるように
後傾で悩むスキーヤーの多くは
この左右の要素を意識していないか、
後回しにしているケースが非常に多いです。
もちろん、前後の意識を完璧にしてから
左右の動きを行うという順序でも
問題はありません。
しかしイメージして欲しいのですが、
どんなに前にポジションを置いても、
左右の要素がゼロであれば
板は回らず、ただトップが重いまま
落下して行くだけですよね?
この様に、せっかく前後のポジションが
合っていても、
左右の要素にエラーがあれば、
ターン後半外脚は逃げていく為、
結局急斜面や悪雪は滑れず、
滑り全体としてはエラーとなってしまいます。
ですからSKIER`sLABでは
左右の要素はまずは徹底して
行ってもらいます。
前後の要素は
その左右の要素を
きちんと急斜面でも
出せるようにするための
条件という位置づけです。
「でも前後のポジションにエラーがあると
左右の正しい要素が出来ないのでは?」
と思うかもしれません。
仰る通り、
急斜面や、ハイスピードの中の滑走は
そうなりますね。
だから前後の要素をあまり必要としない
緩斜面で練習をするんです!
あなたもまず練習する時は
緩斜面から行うケースが多いですよね?
まずは急斜面で
前後のポジションを確認して
その後左右の要素を…
とはならないはずです。
左右の要素がある程度できたら、
その要素を急斜面やハイスピードでも
出来るように前後の動作を練習する。
もちろんこの順序が
絶対の正解ではありませんが、
後傾で悩むスキーヤーの多くは
その手前の左右の要素が
そもそもエラーであり、
意識すらないというケースが
ほとんどです。
SKIER`sLABのサポートメンバーの方は
ピンと来ているかもしれませんが、
前後だけ動きを意識するというよりは
「前横」というワードを
よくレッスンでも使いますよね!
この様に後傾と一言で言っても
単純に前後要素だけではないという事は
ぜひ意識しておいてください。
この全体像が掴めていないと
せっかく後傾にならないで
ポジションを前にしても
ターン後半にきちんと
板に乗れる要素が無い為
宝の持ち腐れになってしまいますので。
最後まで読んでいただきありがとうございました