勘違いスキーヤー多発!ターン前半からスキー板をたわませる意識が生むターン局面問題366
最近は技術選や基礎スキーの
話が多かったので
久々にアルペンスキーのご質問を
深堀していこうかと思います。
この様に書くと
「よっ!待っていました!」
という声もある一方で
「あっ、私は基礎スキーヤーだから関係ない」
「まだまだ技術レベルの低い私には
関係ない」
なんて思うかもしれませんが
全くそんなことはありません!
これは基礎スキーは勿論の事
むしろプルークからパラレルになりたいという
技術レベルのスキーヤーの方が
早いうちに整理しておきたい内容です。
それがタイトルにもある
『ターン前半局面問題』
です!
これまでに何度も
・ターン前半は重くする
・ターン前半からしっかり乗る
・ターン前半でエッジングをして後半は解放
といった内容について
解説をしてきましたが、
まだまだ食い違いや
勘違いしているケースが多いの
1度ここでガッツリ整理したいと思います。
YouTubeでも説明しておりますので
動画の方が理解しやすい場合は
こちらからどうぞ
では早速『ターン前半局面問題』とは何か?
解説していきますね!
目次
あなたにとってのターン前半はどっち?
「ターン前半から
しっかり乗ってきましょう!」
「ターン前半からエッジングを
しっかりしましょう!」
といった指導は
意外と幅広い技術レベルで
言われる事です。
そしてアルペンスキーにおいても
「ターン前半もっと早く捉えてこい!」
「ターン前半から
しっかりエッジングをして来い!」
といった指導がよくあります。
今回の記事でまず考えて欲しいのは
あなたにとってのターン前半は
この後紹介する2つのイメージの内
どちらか?
という部分です。
そしてタイトルにもあるように
そこが噛み合ってないから
スキー上達を妨げる
負のスパイラルに突入します。
ではこの2つのターン前半とは何か?
それは
スキーヤー位置
と
板の向き
です!
この2つのワードを聞いて
一瞬で理解できたのであれば
ターン前半、後半といった
概念に対して
しっかり整理できている証拠です。
一見難しく聞こえるかもしれませんが
実はとっても簡単なので
ぜひ頭の中で
イメージしてください。
よくターンの前半、後半といった
タイミングを分かりやすくするために
時計の時間が用いられますよね?
「ターン前半1時、2時のタイミングで!」
「ターン後半の4時では!」
といった感じですね!
ではここからが
とってもとっても
重要な質問です!!
あなたにとって
ターンの3時、9時は
板がどこを向いているでしょうか?
フォールライン、
つまり斜面の下を向いていると
答えるかと思います。
では6時の時は
板がどこを向いているでしょうか?
もちろん
6時は斜面に対して90°の向き
つまり真横ですよね?
…
…
…
えっ?違いますか?(笑)
だって画像にあるように
板が時計に沿うように
進んでいったら
3時、9時ではフォールライン(真下)
6時では真横に向きますよね?
でもほぼ間違いなく
多くのスキーヤーの板は
真横まで向かずに
斜滑降(斜め)を向いて滑っています。
という事は
全てのスキーヤーは
6時がないという事でしょうか?
さて少しずつ全貌が
見えてきたでしょうか?
ここが食い違いの
はじめの一歩です!
なぜターンの3時、9時と6時とでは概念が変わるのか?
先ほど時間を使ってターン局面を
表現する時に基準が
スキーヤー位置
と
板の向き
2つがある事を
お伝えしました。
一般的に3,9時の局面は
板がフォールラインを向くと
考えられている一方で
6時の段階では
板は真横を向いていない…
この部分がおかしいという事が
まず整理できたでしょうか?
板の向きで
時間を判断しているなら
先ほどお見せした画像の様になるはずです。
でも実際のターンは
3時、9時はそうであっても
切り替えの局面である
6時はこちらの画像の様に
板が斜めですよね?
この考え方で言えば
『ターン局面に6時はない』
という事になるのですが
一般的にそうは
考えられていませんよね?
つまりどこかのタイミングで
ターン局面の判断基準が
『板の向き』の話から
『スキーヤーの位置』の話に
切り替わっている
という事です!
もしスキーヤーで
ターン局面を考えるのであれば
横滑りで滑っていても
ターンの●時、●時の位置と
表現できるので、
3時、9時で板が真横を
向く事も可能と言えば可能です。
板の向きが変わっていないので
これをターンと呼べるかは分かりませんが
下記の画像の様な状況ですね!
この画像の場合、
『板の向き』で考えたら
ずっと6時でターンです。
さてここまでで、
ターンの局面の判断基準は
『板の向き』『スキーヤーの位置』
という2つの基準があり、
それがなぜか一般的に混在している
という事がお分かりいただけたでしょうか?
簡単に言ってしまえば
ターン前半から
ターンMAXまでは
『板の向き』で
切り替えの時は
『スキーヤーの位置』
ですね。
ただこの様に細かく
前提を見直さなくても
共通認識で問題なく伝わっているので
良いのでは?
と思うかもしれません。
確かにその通りで
ターン全体で見れば
食い違いはあまり起きていません。
しかし
『ターン前半』に関しては
この2つの前提が
混ざりあっている事で
大きな混乱を生んでいます!!
アルペンスキーワールドカップレーサーはターン前半で板はターン後半?
ここでアスペンスキーの
話に入ります。
アルペンスキーではよく、
次の旗門に遅れないように
「ターン前半にもっと早く
エッジングをして来い!」
「ターン前半の捉えを早く!」
といった指導が入ります。
基礎スキーや一般の指導でもありますね!
さてここで
『板の向き』と『スキーヤーの位置』を
区別しないと
大きな食い違い起こるのが
分かるでしょうか?
こちらの画像のA、Bを見比べて下さい。
スキーヤーの位置としては
ターン前半の1時、2時の局面です。
でも板の向きとしては
Aはスキーヤーの位置と同様に
1時、2時ですが、
Bはすでに4時くらいですよね?
つまりBはターン前半とも
後半ともいえるわけです!
あなたは
ターン前半に早くエッジングをして来いと
言われたら、
AとBどちらのイメージを持つでしょうか?
因みに
「えっ?Bの状況なんてありますか?」
と思ったかもしれません。
その理由としては
「Bだとブレーキ動作になる」
「板を横に振るなと言われる!」
といった感じですね!
確かに上記の指導からすると
Bの状態はNGだと思ってしまいます。
ただここで1つ考えて欲しい事があります。
それは
どんな状況で
「ターン前半にもっと早く
エッジングをして来い!」
という指導が入るのか?
と言う部分です。
きっとアルペンスキーで言えば
次の旗門に入れない、(遅れる)
基礎スキーや一般スキーにおいても
ターン後半にズルズル落ちてしまう
といった状態の時ですよね?
ではAの状況でエッジングをすれば
次のポールに入りやすくなるでしょうか?
答えはNOです!
なぜならAでエッジングを強めても
基本的に板の軌道は時計と
同じ流れを通るかと思います。
しかしBですと既に板の向きは
4時を向いているので
軌道が変わるのが
分かるでしょうか?
イメージしづらければ
こちらの画像で確認して下さい。
Aのターン軌道で
ポールを通過したら
次のポールに遅れてしまう可能性が
高いですよね?
しかし先ほどお伝えしたように
Bのイメージだと
・ターン前半でブレーキ動作になる
・板を振っている
といったエラーのイメージを
持っているスキーヤーの方が
非常に多いです!
ではワールドカップトップレーサーの
クリストファーセン選手が
Facebookで投稿していた
画像を紹介します!
いかがでしょうか?
「いかがって言われても…」
と思われたかもしれません。
確かにこの画像の場合、
クリストファーセン選手の
板の向きと時計の3時の向きが
合ってしまっているので
一見Aのイメージ(板の向きが基準)に
見えるかもしれません。
しかし無数についている板の跡を
見るとどうでしょうか?
Bと同じように
ターン前半の局面で
既にターン後半方向に
板が向いているのが分かりますか?
それでも分かりづらければ
こちらの画像ならどうでしょうか?
これならかなり分かりやすいですよね!
板の向きは1時の段階で
すでに4時の向きです。
しかしそのまま2時、3時と
板の向きはそのままで
ターンをしていますよね!
さてこの1時の局面は
ターン前半ですか?
ターン後半ですか?
これは説明しなくても
大丈夫かと思いますが、
スキーヤーの位置が基準なら『前半』
板の向きが基準なら『後半』ですね!
因みにこれが絶対的な正解ではなく、
通りたいラインによって
使い分けなくてはいけないという事です。
ワールドカップの映像を見ると
所々でこの動作を
行っているシーンがあります。
youtubeの設定で
動画速度をスローモーションにしながら
確認してみてください。
スタートしてからしばらくは
板の向きが時計の局面と
一致するようになめらかに
ターンをしていきます。
それがカメラが切り替わる
11:27以降の急斜面は
今回お伝えしている
ターン前半で板の向きが
後半になる要素が分かるでしょうか?
(11:35のターンは特に分かりやすいです)
マニアックすぎて分かりませんか?(笑)
それならこちらの動画は
とってもわかりやすいです!
人気YouTubeチャンネル
チーム金閣寺の企画で
基礎スキーのトップ選手達が
GSを滑っている映像です。
テロップで
「ワールドカップばりの高度なテクニック」
と出ているので
分かりやすいかと思います。
さて話がややこしくなってきたので
一度整理すると、
『ターン前半早めのエッジング』
と一言で言っても、
A:板の向きとスキーヤーの位置の
ターン局面が一緒
B:板の向きとスキーヤーの位置の
ターン局面が違う
という2種類があるよ!
ワールドカップ選手でも
急斜面やセットが振ってあって
ラインを変えなきゃいけないときは
【B】を使っているよ!
あなたが指導者から言われていたり、
意識をしているのは
A,Bどちらか整理できていますか?
という流れですね!
しかし多くのアルペンスキーヤーの方は
冒頭でお伝えしたように、
「Bだとブレーキ動作になる」
「板を横に振るなと言われる!」
と思っています。
でもAだと当然ですが
ラインは変わらないですよね?
また技術選と言った
基礎スキーにおいては
関係ないように思えますが、
実はしっかりこのBの技術を使っています!
では次にここの部分を
深堀していきます!
なぜ一般スキーヤーにはターン前半の操作が浸透しないのか?
ここまでで、
ターン局面には2つの基準があり、
ターン前半で板を操作する事で
ポールに素早く入りたい、
小回りで素早く板を回したい場合
どちらの基準で考えているかで
パフォーマンスがまるで違うと
お伝えしました!
しかしながら
スキーヤーの位置はターン前半で
スキー板の向きはターン後半といったBの状態は
トップ選手達が行うと
高度な技術とされるのに
一般スキーヤーが行うと
NGなのでしょうか?
その理由は
ワールドカップレーサー達と
一般的スキーヤーが行っている
【板の向きを変える】
という動作の質がまるで違うから
です!
板の向きを変える動作とは
どのような動作を
イメージしますか?
板の向きを変える動作は
色々ありますが、
大きく分けると
【角付け】と【回旋】です。
直滑降していて
板を傾けると
エッジが噛んて板の向きが
変わっていきますよね?
これが角付け板の向きが変わる現象です。
その一方で
回旋動作を行っても
その場でクルっと
板の向きが変わります。
実はターン前半に
板の向きを変えるといっても
この2つのどちらがメインになっているかで
結果は大きく違うわけです。
因みにワールドカップレーサー達が
行っているのは
減速要素が少ない
回旋ベースです。
ほぼ不可能に近いですが、
直滑降していて
エッジを噛まさずに(角付けせずに)
板の向きを変えれば(回旋)
ほぼ減速せずに
そのまま下に流れていきますよね?
(それは一瞬で
すぐに横滑りか逆エッジかで
ブレーキ動作が入りますがw)
しかし角付けの場合は
ブレーキ動作を用いて
板の向きを変える事になります。
だからアルペンスキー界では
ターン前半に板の向きを変えると
・ブレーキ動作になる
・板を振ってはいけない
と言われるわけです。
もちろん回旋を意識している
スキーヤーの方もいるとは思います。
ただ多くのスキーヤーは
回旋と角付けや荷重が
混同しています…
ですから
回旋させたつもりがブレーキ動作、
何もしないとラインが変わらず暴走
というどちらを選択してもエラーという
負のループに入るわけです。
常々お伝えしている様に、
荷重、角付け、回旋は
算数で言う所の足し算、引き算なのに
この基本をきちんと区別して
教えてもらう機会がない為、
自分がイメージしている事と
違う動作を行っています。
現にジュニアレーサー達は
フルカービングでピュンピュン滑るのは
もの凄い上手でも(角付け主体)
横滑りから横滑りといった動作が(回旋主体)
あまり得意でない選手が多いです。
まぁ混同していても
滑る事が出来るくらい
道具のすばらしさに
感謝ではありますが。
ターン前半のイメージが
整理できたとしても
基本動作が整理できてないと
パフォーマンスには
あらわれないので気をつけてくださいね!