スキー上達に外向傾は必要?不必要?259
スキーを上達するうえで
・外脚に乗る
・板の真上に立つ
・基本ポジションをとる
といったスキーの上達の為の
『基本』と呼ばれるものが
数多く存在します。
その中のひとつが
今回の記事のテーマにとなる
外向傾
です。
あなたも外向傾というワードを
一度は聞いたことがあると思います。
この外向傾姿勢は
非常に重要な反面、
さまざまな捉え方や表現によって
賛否が分かれる部分でもあります。
スキーには外向傾は絶対必要でしょ!
というものもあれば
反対にいや外向傾は必要ない!
といった感じの意見まで。
(実際にyoutubeのコメントにも
ありましたね)
同じスキーでも
このように意見が分かれる部分は
大抵がその事象に対する
認識や前提が異なるからです。
動画でもその内容についてお伝えしています。
最終的にはその人が
思い通りの滑りができれば
どのような解釈や意見でもいいのですが、
あなたがスキー上達に
役立てようとした時に
様々な意見があると困りますよね。
ですから今回は
この【外向傾】に対する認識を
改めて見直して整理しますので、
あなたの滑りに繋げてください。
そもそも外向傾って何?
そもそも外向傾ってよく聞くけどなに?
という部分から入っていきましょう。
あなたがもし、
スキーを指導する側に立った場合
「外向傾ってなに?」
と聞かれたら
どのように答えるでしょうか?
意外と難しいですよね。
外向傾とは
外向
と
外傾
という2つの言葉が
合わさった言葉です。
外向とは?
スキー板にから
進行方向より
外に向いた状態を
外向といいます。
下の画像を見てください。
この画像が右ターンをしている場合、
板の進行方向の外側(本人からみて左側)に
上体が向いていますよね。
この状態が外向です。
これは読んで字のごとくといった感じで
分かりやすいと思います。
外傾とは?
次に外傾です。
この外傾は大きく2つの解釈に分かれます。
【認識①】
板の垂直上より
上体が外に傾いた状態を
外傾と呼ぶケースです。
つまりこの画像の様に
板が傾き、全体のシルエットが
内側に傾いていたとしても
板の垂直上より上体が外に行けば
外傾です。
【認識②】
地面の垂直上より外側に傾くことを
外傾というパターンです。
この認識の場合、
内傾角と言って内側に傾く事が
出来ていないとみなされて
外傾が強い、外傾が必要ないといった
意見が出ます。
つまり認識②の場合は
認識①の画像は
外傾していないという事です。
この様に
外向は問題ないと思いますが、
外傾の認識があなたにとってどちらか
まずはしっかり整理してください。
なぜ外傾の認識が2つに分かれるか?
ここまでの外向と外傾の認識は
理解できたでしょうか?
この2つを合わせたものが
外向傾という事です。
実際の滑りの画像で確認してみましょう。
しかし外傾の認識が分かれるため
外向傾は必要か必要ではないかが分かれます。
そもそもなぜ外傾の認識が
分かれるかについて
考えていきます。
その要因の一つに
【内傾】【内傾角】
というワードとのつながりがあります。
これも一度は聞いたことがある
スキー界では有名な用語のはずです。
内傾も読んで字のごとく
ターンの内側に倒れる事をいいます。
内傾角はその角度ですね。
ターン中は外側へ引っ張られるため
内側に傾いた方が運動しやすいです。
これはスキーに限ったことではなく
バイクやインラインスケートのコーナーでも
同じことですね。
スキーでは特に
この深い内傾角を作りたいと
練習に励むスキーヤは多いです。
さてここからが本題です。
この内傾をしようとした場合
先ほど説明した、
外傾の認識が①と②とでは
内傾が出来るか出来ないかが
大きく変わってきます。
認識①の板の垂直上より
外側に傾くことが外傾の場合は
写真の様に
上体が内側に傾く(内傾)
形になっても
外傾はできますよね?
一方認識②の地面の垂直上から
外側に傾くことが外傾の場合は
内傾と反対の動作となる為
外傾していると
上体は内傾はできません。
つまり外傾の認識によって
『外傾しながら内傾できますか?』
という「とんち」のような問題に対して
認識①ならYES
認識②ならNO
という様に意見が分かれるわけです。
こうなると
当然認識①の人にとっては
外傾は必要ですし、
認識②の人にとっては外傾必要ない
という事になります。
あなたの認識はどちらでしたか?
この様に認識や前提が違っているだけで
どちらも言っていることは
正しいんですよね。
(正しいからこそ意見が分かれるわけですが)
どのように認識しておくのが良いのか?
さてこれまでのないようで
意見が食い違う原因が分かったかと思います。
ではここからが一番重要な部分です。
それは
『実際どちらの認識でいればいいのか?』
というところ。
ここがしっかりしていなければ
結局雪上レッスンや、
DVD、雑誌などで情報を手に入れても
混乱してしまいます。
どちらの認識がお勧めかというと・・・
どっちもです!!
「えっ、それだと
混乱したままじゃないですか!」
と思いますよね。
それでは
もう少し詳しくお伝えします。
どちらの認識も持っておいて欲しいと
お伝えしたのには訳があります。
何故なら
2つの認識が混合して
指導の中に組み込まれるケースが
殆どだからです!
ですからその時々によって
認識を使い分けていく必要があります。
今回は代表的な4つのケースで
どちらの認識でいるといいのか
お伝えしますね。
①もっと外傾を意識してというケース
これは内倒と言って
内側に傾こうとするあまり、
ポジションが内側になりすぎてしまい
内脚に乗ってしまうようなケースで
よく使われます。
その場合は内側に傾くのはいいけど
認識①の板の垂直上より
上体を外に傾ける
イメージを持つと効果的です。
認識②の状態をすると、
今度は強すぎると注意される事が大半なので。
※ただ個人的には認識②ぐらい
意識した方が内倒は
早く直ると思います。
②外傾が強すぎる、外傾を注意されるケース
これは上のパターンとは逆で
外傾をエラーとして
指導されるケースです。
この場合は認識②の状態に
なっていると認識してください。
外に傾きすぎているのだから
単純に内に傾けば良さそうですが
認識①の板の垂直上よりは外傾を
残しておかないと
今度は内倒していると言われるので
気を付けてくださいね。
③基礎スキーのケース
基礎スキーでは長い軸で
深い内傾角を求められるケースが多いです。
(最近は外向傾の意識の滑りも
評価され始めましたが)
その場合内傾角ばかり意識すると
今度は外脚が軽くなり、
内倒してしまいます。
外脚にしっかり乗りながら
内傾角を出していくには
認識①の板の垂直上よりは
外に傾きつつ、
内側に傾いていく事が重要です。
ただ厄介なのは
①のケースでもお伝えしましたが、
初めのうちは認識②ぐらい
強く外傾を意識しても
結果的には認識①の状態になる事が大半です。
まずは認識②で滑ってみて
実際の滑りがイメージ通り
認識②の状態になるのであれば
それかあら認識①にしてもいいかと思います。
④アルペンスキーの場合
アルペンスキーの場合は
高速域で滑る事と
ポールを避けなければいけない
という条件から
認識②で滑る事をお勧めします。
アルペンの場合は
どうしてもポールがある為
・ポールを避けなければならない
・次のポールに早く向かおうとして
内倒しやすい
と言う場合が多いです。
※ポールを避けるための強めの外傾
認識②ぐらい外傾をイメージして
外脚にしっかり乗ることが重要です。
アルペンスキーヤーの滑りで
認識②のような強めの外傾
で滑っているシーンを
よく見かけますよね?
この様にアルペンスキーでは
認識②の外傾のイメージで練習を重ねて
その後技術向上とともに
微調整が出来るようになると
良いですね。
まぁアルペンスキーから
基礎スキーに転向すると
その外傾の強さを注意されてしまう事も
よくありますが・・・
(私もそうですw)
まとめ
いかがでしたか?
今回お伝えした通り
一言で外向傾といっても
その認識が異なり、
目的によって
利用した方がいい認識も変わります。
あなたはどちらの認識だったか?
またあなたの目的を達成するには
どちらの認識を用いた方が良いのか?
ぜひ考えて雪上練習に活かしてください。
さて今回の内容だけでも
かなりのボリュームなんですが、
まだまだ外向傾に対する問題は
沢山あります。
それは
『腰外れ』
『アンギュレーション』といった
違う言葉で外向傾が表現されて、
さらにそれによって認識が変わるケースです。
この部分は次回の記事で
お伝えしていきますね!