スキー上達に本当に必要な基本練習(外向傾)が取り組まれない3つの理由 346
前回の記事に最後に
「なぜまず行って欲しい
土台となる外向傾の基本練習は
あまり広まらないのか?」
この原因となっている
代表的な理由を3つ紹介しますと
お伝えしました。
まだ読んでいない方は
まずはこちらからどうぞ!
スキー界の基本練習をしても上手くならない!?上達の常識を覆そう! 345
いきなり突拍子もない タイトルですが、 ぜひ今回の記事は スキーの練習を考える上で とても重要な内容なので 読んでいただけると嬉しいです。 スキ…
本当はもっともっと
あるのですが、
特に代表的なものに
絞っています。
さて前回の記事の最後に
「外向傾が正しくとれているか?」
「とれていないとしたら
それを徹底的に練習しているか?」
「練習をしていないとしたら
なぜその練習を選択していないのか?」
についても考えてみてくださいと
あなたはいかがでしょうか?
「いやいや外向傾は
十分とれているんですよ!」
「私の中では外向傾は基本ではありません!
もっと重要な事があります!」
といった場合は
それでOKです!
ただ毎シーズン上達しないと
悩んでいる場合は
この土台となる外向傾に
エラーがあるケースが殆どなので、
一度今回の記事を通して
考えてみてくださいね!
それではさっそく
3つの理由を紹介していきます!
外向傾練習が広まらないと理由その①
さて外向傾練習が広まらない
3つの理由の1つ目は
トップ選手や指導者は
無意識レベルで出来ているから
という理由です。
人間の構造上、
下半身で運動の主役となる
関節は股関節であり、
その股関節を大きく動かす動作は
外向傾になります。
試しに内向傾と外向傾、
どちらが股関節が動きやすいか
その場で試してみてください。
(そもそも内向傾なんて言葉
聞いたことないかと思いますが)
話を戻しますが、
身体が外向傾になるように股関節使う
という動作は、
本来人間にとって
自然な動作である為、
特に幼少期は無意識レベルで行えます。
私も2人の息子がいるのですが、
1歳の頃に上半身を抱えて
上体は地面に垂直になるよう
キープしながら左右に倒せば
教えなくても(というか教えられない(笑))
ビックリするくらいきれいな
外向傾を取れました。
取れたというよりは
そう動く構造になっている
といった感じです。
この画像をサポートメンバーの方に
お見せすると
みなさん驚きながら笑っています(笑)
この様に意識しなくても
自然と出来る状態のころから
スキーをしていると、
『意識して習得する』
という経験が無い為、
そこを徹底的に練習するという
感覚もなければ
どうやって出来るようになったかも
伝えられない状況に陥ります。
股関節の動きは
その最たるものですね!
そうなると当然ですが、
トップ選手や指導者は
無意識レベルで出来ている動作よりも
『いま自分が意識している動作』
に目が向くので
基本練習というよりは
それを土台とした
『応用練習』の方がメインになりやすいです。
例えばプルークボーゲンでは
初めの一歩は
外脚荷重やで外向傾を意識するのに
パラレルになると
正対や両足荷重、
内側への傾き、内脚の使い方
など途端にレベルが高い話になります。
また厄介なのが
基本練習の様に見えるけど
実は応用練習のケースもよくあります。
もしあなたがレッスンに入っていて
「自然に出来るものだから」
というワードが出てきたら
気を付けてくださいね!
このように1つ目の理由では
トップ選手や指導者は
幼少期のころに
股関節を使うことを
自然と覚えてきたので
意識的に練習しないということを
お伝えしました。
しかし最近では
トップデモの丸山貴雄選手が
海外から【ロール】という
股関節を使う概念を持ち込むなど
まずは意識的に動かそうとする
方針も見えてきました!
(海外だと当たり前の事のようですが)
しかしこれも
あまり広がらない可能性が高いです。
その原因は次にお伝えする
2つ目の理由が大きく関係します。
外向傾練習が広まらないと理由その②
スキー上達の基本練習である
外向傾をとる練習が
一般的に浸透しない3つの理由のうち
2つ目は
ミスやデメリットが許されないから
です!
どういうことだか
イメージできるでしょうか?
まず理解して欲しいのが
どんな動作にも
【その場面に合わせた適量】が
あります。
外向傾に限った事ではなく
どんな動作もやりすぎてしまえば
当然エラーとなってしまいますよね?
外向傾の場合は
タイミングや量が合わないと
腰外れと言われるシルエットになり
それに伴って
内倒やシェーレンなどがあらわれます。
この様にどんな動作にも
デメリットがあるのですが
それが許されないのが
日本のスキー界です。
なぜなら
指導のベースが
【ミスの指摘】
だからです。
新しい事を行う時は
誰しも最初から上手くいかないのが
当然ですよね?
これは股関節を使った
外向傾の練習にも言える事です。
しかし外向傾をとろうとして
出たエラーを
肯定されずに否定されます。
こうなると
せっかく上達に繋がっている道が
あたかも間違った道として
認識されてしまいます。
たった一言
「その動作の意識は良いんだけど、今のだと…」
という枕詞が入るだけで
変わるんですけどね…
【指導のベースがミスの指摘】
というのは
日本のスキー界だけではなく、
日本のスポーツ界全体的なものであり
さらにいえばスポーツというより
文化的なものなのかもしれません。
休日の野球クラブやサッカークラブをみても
コーチの声掛けは賞賛よりも
非難の声が圧倒的に多いです。
話を戻しますと、
外向傾を練習しようとしても
正しく出来るまでの間の
ミスやデメリットを指摘されて
止めてしまうという事です。
ただアルペンをやっている
ジュニア達は違いますね!
身体の構造的に正しい動きを
彼らはガンガン行い
良い意味で指導者の言っていることを
スルー出来るので、
(何言ってるかよく分からないからスルー(笑))
外向傾の強いすべりをしている選手が
大勢います。
それぐらい粗削りでいいから
しっかり土台を作っておけば
あとから調整する事は可能ですからね!
さて長くなりましたが
次回が最後3つ目の理由が
一番本質的であり
全ての根本といってもいいですね!
外向傾練習が広まらないと理由その③
もしかしたらすでにあなたは
ピンと来ているかもしれません。
それでは
スキーの基本である
外向傾練習が取り組まれない理由、
3つ目は
根本的に出来ない身体だから
です!
全ての理由はここにあると言っても
過言ではありません。
これまで外向傾をとる練習が
取り組まれていないと
お伝えしてきましたが、
「いえいえ、それがベースとして
練習をしています!」
もしくは指導者側なら
指導しています!というケースが
あるかと思います。
しかしながら
股関節が正しく動かない
スキーヤーが非常に多い為、
雪上でいくら練習しても出来ず、
滑りが変わらないから
違う練習をしよう!
となってしまいます。
1つ目の
『トップ選手や指導者は無意識で出来るから』
という理由でも、
じゃあ受講者は
『意識すれば出来るのか?』
と言われたら
そうではないので
八方ふさがりです。
2つ目の
『ミスが許容されない』
という理由にも関わってきます。
外向傾をとろうとしても
根本的に取れない身体の人は
エラーしか出ないので
その全てをOKとしていたら
一生前に進みまないので
仕方がない部分もあります。
しかし逆を言えば
根本的に正しく股関節が動き
外向傾が作れるのであれば、
上記2つの理由が
解決される可能性もあります。
トップ選手やジュニア選手の様に
無意識で外向傾が
作れるかもしれませんし
取り組んだ時にミスが出づらく
注意されることも
少なくなる可能性もあります。
もちろん外向傾練習は
あまり取り組まれない理由は
今回お伝えした
3つの理由である
①『トップ選手や指導者は
無意識レベルで出来るから』
②『外向傾をとる事のデメリットや
出来る過程までのミスが
許容されないから』
③『根本的に出来る身体の状態でない』
以外にも
「今のスキーは
正対して傾くだけターンが出来る」
「外向傾は昭和の滑り」
といった本質とは少しずれて
曲解されている事など
山のように理由はあります。
しかし元をたどれば
【根本的に出来ない】
というところです!
ただ『根本的に出来ない』と
と感じられているのであれば
かなり進んでいると言えます。
なぜなら多くの場合
『根本的に出来ない事にすら
気づいていない』
という状態だからです。
現に私の所に送られてくる
数多くの質問の中で
『根本的に股関節が動かないので
外向傾がつくれません』
という悩みはほぼありません。
ぜひ今回の記事をとおして
パラレルスタンスでの
基本動作となる
外向傾がまずきちんと
取れているのか?
いま意識していたり
指導されていることは
その土台がある前提の
内容ではないか?
という部分を考えてみてくださいね!