スキーが上達する人が持っている【板基準】の感覚を手に入れるには? #385

前回の記事で、自分の滑りを判断する上でよく利用されている
3つのチェック要素である

 

①指導者や仲間内など第3者からのフィードバック

 

②ビデオで撮って見た滑走フォーム

 

③自分の滑ったフィーリング

 

の落とし穴について解説しました。

まだお読みなっていない場合はまずはこちらの記事をどうぞ。

 

トップスキーヤー?スキー検定?スキースクール?スキー技術の正解は何が決めるのか? #384

いきなりですがあなたは、 スキー技術の正解をどのように決めているでしょうか?     ・自分で滑った時の感覚 ・尊敬する指導者や選手の意見 ・映像で見たとき…

 

 

では自分の滑りが上達したかどうか判断する上でおススメの要素はなにか?

 

今回はこの部分について触れていきたいと思います!

 

 

 

 

 

自分の滑りの上達は●●で判断しよう!

 

自分の滑りが上手くなったかどうか判断するにあたって
もっともおススメの要素は

 

 

板の反応

 

 

です!

当たり前ですが、スキーはスキー板という
道具を使って行うスポーツです!

 

しかしこの道具を使うスポーツにありがちなのが、
いつの間にか本来の目的である、道具の反応を置き去りにして
自分の体の感覚や見た目のフォームに注目してしまうケースです。

 

例えばゴルフでも、本来はクラブがどう動いてボールをどう打てるか?が目的であり、
そのための身体の使い方のなのですが、腰をもっとこうして、肩をもっとああしてと
クラブの反応を置き去りしてスイング練習をしているケースがよくあります。

 

陸上や体操、水泳といった、自分の体をどう動かすかにフォーカス出来る種目と、
身体の使い方は手段であり、目的は道具がどう反応するかの種目では、
少し違う考え方をしなければいけないという事ですね!

 

ではスキーにおいて、この道具の反応にフォーカス出来ていないことが
よくわかる事例をまずはご紹介します。

 

 

スキー検定で分かるスキーヤーと検定員の評価基準のズレとは?

 

もしあなたがスキー検定を受けたことがあるなら
少し思い返してほしいのですが、検定員の方が総評で

 

【板の動き】

 

というワードを言っているのを、聞いたことはないでしょうか?

 

検定のレベルが上がれば上がるほど、ジャッジするポイントのほとんどは
この【板の動き】を見ています。

 

総評や事前講習で、

 

「もっと外の肩が落ちたら点が出るよ!」

 

「もっと筋肉を使ったら点が出るよ!」

 

「もっと軸が傾いたら点が出るよ!」

 

「もっと体幹部をグッと固定したら点が出るよ!」

 

 

といったワードを聞いたことがあるでしょうか?

 

あまりないかと思います。

 

これらは全て自分の動作や感覚における内容です。

 

しかし上記に並べた内容の様な身体の使い方の要素を、
練習をしている時に意識しているスキーヤーは非常に多いです。

 

もちろん身体の使い方を意識することは
決して悪い事ではありません。

むしろ上達する上では必須要素なのですが、
そこで終わってしまっては意味がありません。

 

身体の使い方だけで終わっているスキーヤーが
検定などでよく言っているのが

 

 

「なんであのシルエットなのに点数が出るの?」

 

というワードです。

 

特に最近のスキー検定は、板の動きをよく見る傾向にあるのですが、
その場合、多少外向傾が強いといった荒削りでも
しっかり板の動きが出ているアルペンのジュニアレーサー達の滑りは
点数が出たりします。

 

その一方で、フォームはきれいなんだけど
板の動きが少ないスキーヤーの滑りは点数が出ません

 

ここで検定を受けているスキーヤー自身が普段から滑りを
【板の動き】で判断していれば、その点数の出方にも納得が出来ます。

 

しかし、普段から手の位置や身体の向き、筋出力の感覚といった
【体の動き】で滑りを判断している場合、
自分の滑りだけでなく他の人の滑りや情報もその判断基準でみてしまいます。

 

そうなると

「なんであの癖の強い滑りでも点数が出て、
 自分の滑りは点数が出ないんだ!」

という感想を持つわけです。

今回は検定を例に出しましたが、
レッスンでも同じですね。

 

この様に検定員や指導者が判断している部分と
滑り手が日頃から判断している部分が違うので
情報が正しく入ってきません

 

もちろんフォームの様な見た目で判断する部分も大事なのですが、
板の動きの部分を自分が滑っている時でも
判断基準の一つとして置いてみてください。

 

そうすると今まで

『フォームはまぁまぁ良いからOK』

『しっかり踏めているからOK』

『外肩を落として来たらOK』

『さっきより傾けたからOK』

などなど思っていた部分が

 

『●●が良くても、板が動いていないからダメ!』

 

といった判断基準が出てきますので!

 

 

スキー上達の判断基準が一発で分かるスキーレッスン動画

 

これまでの内容を読んでも、自分自身が【身体の使い方】で
スキー技術を判断しているのか、【板の動き】で判断しているのか
いまいちわからないかもしれません。

 

そこで非常に参考になる、おススメのレッスン動画をご紹介します!

この動画を通して、あなたは正しく板の動きで
スキー技術を判断できているか確認してみてください!

 

さて、そのおすすめ動画とは
技術選トップ選手である渡部浩司さんのこちらの動画です

この動画は、かぐらスキースクールのスタッフであり
技術選選手の五明さんという方に渡部選手がレッスンをしている動画です。

 

この動画の中には

【1】身体の動き

【2】板の動き

のどちらで判断しているのか分かるシーンが
山の様に溢れています。

 

ぜひこの後の文章と並行して確認してみて下さい。

 

まず動画の冒頭で五明さんが、ご自身の滑りの意識、感覚を
渡部さんに伝えているシーンからです。

 

内容としては

・股関節を使った前後動

 

・スネを押さない

 

・滑らせる

 

といった事です。

 

 

それに対して渡部さんが

 

「その時ってスキーにどうやって、重さを伝えているの?」

 

という質問が入ります。

 



 

はいこの時点で完全に滑りのイメージや
判断基準の違いが分かりますよね!

 

五明さんの内容は、

 

【1】身体の動き

がベースになっています。

 

要は“自分を”どう動かそうか意識しているといったイメージです。

 

 

それに対して渡部さんも質問は

【2】板の動き

がベースになっていて“板が”どう動くか?“板に対して”どうするか?
という事を常に意識しているイメージです。

 

 

因みに板を常に意識しているのであれば
「スネを押さない」という感覚はほぼ出てこないです。
(渡部さんがテロップでも驚いていますよね?)

なぜならスネでブーツのタングに力を伝えなければ、
板に対してこちらの力が伝わらないからです。

 

 

その後も渡部さんは

「一番はスキーをたわませたいわけじゃん?
 そう動きたとき板はどうたわむの?」

という板を主役として質問をしているのですが、
少し悩んだ後の返答は

 

「回らないように腰を外向」

といった自分の身体”が、主となる回答が返ってきます。

 

 

この様に噛み合わないやりとりは、
さきほどお伝えした、検定員は板の動きを見ているのに
受講生はシルエットを見ているのにも繋がります。

 

まだまだあります!

 

 

渡部さんは自分のイメージを

「板が回ってくるでしょ?その板に押されて…」

と話しています。

 

はいこれこそ完全に

【2】板の動き

の判断基準で滑っているという事です。
ただ【1】身体の動きをベースで滑っている人には意味不明ですよね。

 

現に五明さんも

「んっ?」

と戸惑っています。

 

この様に、そもそもの判断基準となる感覚が違っていると、
スキーというスポーツがまるで違うものになってしまいます。

 

そうなると当然ながら、意識する事や練習内容も変わるので
上達の方向性がまるで違ってしまい
毎シーズン上達しないという負のスパイラルに突入するわけです。

 

 

スキー技術に革命がおきて上達すると出てくる重要なワード

 

冒頭のシーンだけでもすでに判断基準が
全然違うと話が噛み合わないというのが
お分かりいただけ打かと思います。

 

では続いては、レッスンを受けている五明さんが、

1】 身体の動きから【2】板の動きの基準
進化する部分を解説していきますね!

 

2:50からプルークボーゲンを行っていますが、
プルークボーゲンを【1】ベースで荷重している事に対して

 

・自分でやりすぎ

・オーバー荷重

 

と表現しています。

 

そしてその後、練習を重ねた結果、
6:56辺りから改善された五明さんが発するワードが全てを物語っています。

 

「今までは“身体が”動いているという感覚で、
 今は“板が”動いている」

 

素晴らしい言語化だと思います!

 

まさに

 

 

【1】 身体の動きから【2】板の動きの基準進化した瞬間

 

 

です。

 

この領域に入ると9:22辺りからの滑りの感覚が

 

「反力で滑っている!今まではパワーで滑ってた。初めて(外力と)釣り合った」

となるわけです。

 

因みに今回は深堀しませんが

 

「自然と内足が畳まれる」

 

というのも、ものすごい×100重要な発言です。

 

この“内足畳む”でスキー上達を妨げられている
スキーヤーも非常に多いですね。

 

ここら辺の内容に興味がある場合は、
こちらの動画をご覧になってみてください!

 

こういった部分が分かってくると
オフトレでまずやるべきは筋トレではないという事も見えてきます。
(筋トレが悪いわけではないですからね!)

 

いかがだったでしょうか?

 

【1】身体の動き

【2】板の動き   

の判断基準の違いがこれ以上なく良く分かる
素晴らしい動画だと思います。

 

こういった貴重な動画が見られるのは
本当に良い時代になったなと改めて思いました。

 

ただはっきり言ってこの動画はあくまでも
判断基準が【1】か【2】のスキーヤーは
これほど違うという差や、
【1】から【2】へ進化すると滑りの感覚がまるで変わる事が
分かりやすいというのがメインです。

 

残念ながら、この動画をみれば
【1】の判断基準で滑っているスキーヤーが
【2】 になれる具体的な方法論が分かるというわけではありません。

 

「肝心な知りたいところが分からないじゃないか!!」

 

と思ったかもしれません。

しかしこの部分を知る為には、まず
「あなたが現状でどの様な動作をしているか?」という
情報が必要となります。

そして次に雪上ではなく陸上で正しい動作に修正できるか?
そこから初めて雪上での練習段階にはいれるわけです!

 

この順序をたどらないと何時もお伝えしているとおり
方法論だけいくら探しても一向にスキーは上達しないので
気をつけてくださいね!