知らないと下手になる!?スキーでよくある2軸運動と同側運動の混同にあなたは気づけますか? #388
前回の記事で、昔からスキー界で意見が分かれる
大きなテーマ
スキーは2軸運動か?
について、ご質問を戴いた動画をもとに解説してきました
まずはこちらの記事を読んでから
今回の記事に戻ってきていただけると分かりやすいです!
スキーは他のスポーツとは別物の同側運動(2軸運動)なのか?なんば歩きをすれば本当にスキーは上手くなる? #387
さて今回の記事も、 メールでいただいたご質問に対して解説をしつつ、 あなたのスキー上達に役立てていただければ嬉しいです! 今回のテーマはズバリ  …
さて今回の【スキーは2軸運動か?】というテーマに対して
ご質問いただいたTakehiro SKI さんの動画ですが、
こちらのシーンから2軸論について解説しているので、
分かりやすいかと思います。
https://youtu.be/VsS35JFrHyM?t=320
この2軸運動は同側の手足を使う事から
同側運動といった呼ばれ方もしますね!
歩行の時は右手を出したら左足が出る、という対角運動に対して
右手が出たら右足が出る、というのが同側運動ですね!
だから先ほどの動画のコメントにも
「なんば歩き」
「古武術」
「日本舞踊」
といったワードが出てきているわけです。
この動画の内容からしてスキーは同側が出てくるから
2軸運動だという考えは結構前からスキー界であります。
しかしその一方で、以前の記事で紹介した技術選の高瀬選手の
「スキーは歩行と同じ」といった発言や
アルペンスキー元日本代表の皆川健太郎の著書にも
「走るように滑る」というワードが出てきます。
当然、歩く走るは対角運動ですから、同側運動とは異なりますよね?
なぜ同じスキーで真逆の理論が出てくるのか?
(まぁスキー界あるあるですが(笑))
ここを簡単に解説していきます。
目次
スキー以外でも誤解されている?2軸運動と同側運動は別物!?
まずスキー界に限らずスポーツ界、
いや世間一般的に大きな大きな勘違いがあるので
そこを訂正しておきます。
それは
2軸運動=同側運動
ではありません!!
はいこれが混乱を引き起こす、全ての原因と言ってもいいですね!
前提から間違っているのですから。
一般的には2軸運動=同側運動と思われているので
2軸運動の話がでると必ず出てくるのが
前回もご紹介した【なんば歩き】です!
確かになんば歩きをすると(右手右足(同側)が出る歩き方)
身体に2本軸が出来る感覚があるので、
2軸運動=同側運動という考え方は合っている様に感じます。
しかし実際はイコールではなく、
2軸運動を感じるための1つの手段でしかありません。
また飛脚などの昔の人は、なんば歩きをしていたという
誤解もいまだに根強いです。
因みになんば歩きなどの2軸運動の誤解を、
詳しく解説してもいいのですが、
それよりスキーの話が良いと思いますので
もしそこら辺を深く知りたいという場合は
Youtubeなどで解説したいと思いますのでメールをください。
あなたはスキー動画から正しく情報を読み取れていますか?
さて話を戻して2軸運動、1軸運動、同側運動、対角運動など
スキーに限らずトップ選手が解説していても
動きを混同しているケースがよくあります。
以前ご紹介しましたが、百獣の王として活躍されている
元全日本10種競技チャンピオンである武井壮さんも
ご自身の動画の中で、これまで多くのスポーツ選手と話してきたが、
解説と選手自身が行っている動作が全然違っていると言っています。
ではどう言った形で
自分の動きの解説と実際に行っている動作が違っているのか?
それが分かりやすいのがこのシーンです
https://youtu.be/VsS35JFrHyM?t=336
もうこのシーンだけ見ていただければ十分なのですが
5:43の時に
「分かります対角線上に
使っちゃっているんですよ身体を!」
と言っています。
しかし5:41辺りで一時停止をした画像を
よくご覧ください。
あなたは不思議な点に気づけましたか?
この不思議な点に気づけるかどうかで
あなたが情報を正確にとれているかどうかが分かります。
今回の動画のテーマは
・スキーは日常動作やほかのスポーツと違い
対角運動ではなく同側運動である
・同側運動とは右手右足、右肩右腰といった
同じ側の手足を動かす事である
・スキーは同側運動なのに
対角線上に使っちゃうからダメ
といったものでした。
それを前提に際ほどの画像を見ると、
不思議な点が出てきます。
なぜトップスキーヤーでも自分の動きと解説が食い違うのか?
先ほどご紹介した5:41頃の解説では
「外足がバババーとなる(流れる)分かります?
対角線上に使っちゃってるんですよ!」
とありますね。
でも先ほどの画像にある動作って
右手が前にあって右肩も前にあって
右腰も前にあって右足も前にある
分かりましたか?
はいこれってこれまでの話からすると同側運動ですよね?
でもこの動作は、対角線上に使っちゃっているからダメだという解説です。
(因みにそう思ってしまう理由も実はあります)
この動画を最初からきちんと理解しているのであれば
間違いなくこの部分で、
「これまでと言っている事が違っているのでは?」
と不思議に思うはずなのですが、
意外にもこの部分には気づかないケースがほとんどです。
動画のコメントを見ても、
「対角線上に使っちゃっているとありますが、
それは同側運動ではないのでしょうか?」
といった不思議だと思うコメントはなく、
「なるほど!スキーはそうなんだ!」
「なんば歩きですね!」
といった形ですんなり受け入れられています。
先ほどお伝えしたシーンの動きがアウトなら
一般的な、なんば歩きもアウトです。
この様な状況を以前にも
解説したのを覚えているでしょうか?
それが栗山未来選手の動画に合った
ターン始動の順番は
【1】内足のアウトエッジグリップ
↓
【2】外足のインエッジグリップ
とありながらターン始動時内足が浮いている
という内容ですね。
トップ選手は嘘つきなのか!?スキーのターン前半のきっかけは 内足アウトエッジか? それとも外足インエッジか? #382
今回の記事は、スキーにおける ターン前半のきっかけ について解説していこうと思います! ターンが始まるきっかけをどのよう…
ただあれはまだ、「感覚やイメージ」という
前置きがあるのでまだいいのですが、
今回の動画は明らかに動作として解説がスタートしているので
注意して見ていきたいところですね。
(最後はイメージだと言っていますが)
もし今回の動画を見て
「スキーは同側運動だ!」
と信じて行った結果、
斎藤さんの仰っている様な正しい動作になることもあれば
同じ同側運動でも、斎藤さんが注意しているダメな動きにもなるわけです。
そして何より重要なのが、あなたが初見で
「なんだかおかしいぞ?」
と思わず、YouTubeのコメントの方たちの様に
そのままスルッと情報が入ってしまったとしたら
その原因は何だったのかを考える事です。
スキー動作の食い違いに気づけても…
さてここまでの内容で、
スキーは同側運動と説明をしているのですが、
後半の部分ではその同側運動を
これは対角運動だからNGと伝えている点について解説してきました。
「あれっ?どっち?今までと話が違うのでは?」
と思う場面ですが、
一般的には意外と気づかれない部分です。
因みに今回は動画内にある同側運動について
ご質問があったのでこのような解説をしましたが、
解剖学的に正しい事を言ってないから悪い!といった
あら捜しをしたいわけではありません。
確かに同側運動が途中で対角運動だという説明になってしまう点は、
気づいた後から見ると、おかしいと思えるかもしれません。
でもそれには理由がありますし、
トップ選手や指導者が言っている事と実際にやっている事のズレは
スポーツ界ではよくある事です。
そしてに、解剖学的に正しく解説していれば
スキー上達に繋がるのか?と聞かれたら、
決してYESでもありません。
逆にスキーの動作を解剖学的にきちんと
分析してしまっているからこそ
エラーを引き起こすケースもあります。
例えばよくあるのが
「ターンの時は外足は股関節の内旋(内絞り)
内足は股関節の外旋(外開き)…」
といった形で解説しているレッスンを
よく見かけます。
これは解剖学的には正しいです。
(内旋、外旋だけではないですが)
でもそれを意識しても上手くいかないスキーヤーが
ほとんどですし、さらに言ってしまえば
余計に動きがおかしくなる人もいます。
なぜなら
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そのように意識してするものなのか、
板が動いて結果的にそうなるのかの
区別が出来ていないからです!
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これはほかのスポーツで
考えてみると良く分かります!
例えばゴルフなどのスイング系動作で右利きの場合
後ろに引く時は
右肩は外転、外旋、
左肩は内転、内旋
そして上まであがったら
手首は屈曲して
それと同時に股関節は
…
…
…
なんて意識していたら、
スイングなんて出来ないですよね?
なぜならこの中には自分で意識して“そう動かす事”と
クラブの軌道によって“そうなってしまう事”が、
混在しているからです。
また、技術レベルによって、自ら意識して作り出すものと
勝手にそうなるものと変わってきます。
まさにスキーの外向傾もその動作の1つですね!
つまり何が大事かというと
“あなたにとって”もっとも最優先である事を意識する事です!
そしてそれができたら、
次に意識する必要があるものに
移り変わっていく事も重要です!
あるところまでは意識してOKでも
あるところに来るとその意識が邪魔になったりしますので。
もちろん簡単に言っていますが、非常に難易度が高い事ですし
ただしやり方だけでなく、順序が分かっていなければ出来ません。
さらにあなたにとっては最優先でも、
指導者や仲間、一般的なスキー技術論と違っていると
否定されてしまいます。
今回お伝えしたように解剖学的に正しければ
良いというわけではない事、
そして大事なのは、あなたにとって必要な最優先事項を
順序良く取り組んでいく事だという事が伝わると嬉しいです!